ケイの読書日記

個人が書く書評

島田荘司「漱石と倫敦ミイラ殺人事件」

2009-04-04 13:57:05 | Weblog
 そうだよね。夏目漱石がロンドンへ留学したのは明治33年だから、つまり1900年。ドイルの創作したシャーロック・ホームズが大変な評判になっていた時期だから、漱石もホームズ物をリアルタイムで読んでいたかもしれない、なんて想像すると楽しいね。
 いやいや、国費でロンドン留学しているのだ、シェイクスピアの勉強に没頭していたに違いない…?


 でも、間違いなく漱石はホームズの歩いた街角を歩き、ホームズの呼吸していた霧で湿った空気を呼吸していたのだ。
 そんな2人が出会ったら…という島田荘司の空想から生まれたのがこの作品。


 すっごく面白い!! 特に前半。この本の中ではワトソン博士がひとかどの人物で、ホームズはキ印(失礼!でも島田荘司がこう書いている)として書かれているので、熱烈なシャーロッキアンには島田に殺意を抱く人もいるかもしれない。


 ストーリーはこうだ。
 漱石が下宿屋で不思議な現象に巻き込まれ、シェイクスピアを教えてもらっているグレイグ先生に相談した所、ベイカー街の変わった男を紹介してくれた。それがホームズだった。
 事件は本当はワトソン博士が解決しているのだが、友人ホームズの病気のこともあり、ホームズの手柄として世間には発表している。

 いやぁ、ワトソン博士、すごい出世!! いつもはバカの隣のような扱いを受けているのに!

 別口で依頼を受けたミイラ事件と漱石の事件が結びつき、見事解決!! その過程でホームズはどんどんマトモな人間になっていき、最後には紳士に返り咲いたのだからめでたしめでたし。ちょっとつまんないけど。


 こういう本を読むと、ああロンドンに行ってしばらく暮らしてみたいな、とつくづく思う。
コメント (4)
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