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ケイの読書日記

個人が書く書評

本田良一「ルポ 生活保護」

2010-12-10 13:29:31 | Weblog
 サブタイトルに「貧困をなくす新たな取り組み」とある。
 生活保護自立プログラムの先進地・北海道の釧路の例をひきながら、貧困をなくすためにはどうすればいいかを探っているルポ。

 新聞の書評欄に紹介してあって、偶然、図書館の書架で見つけたので手に取ってみたが…気が滅入るなぁ。読んでると。

 筆者は福祉関係の仕事をしている人かな?と思っていたら、違っていて、新聞社の人みたい。現在は、北海道新聞・釧路支社報道部編集委員。

 当然のことながら、受給者の視点で書いてある。どんな制度でもそうだが、悪用する少数の人がいることは事実だけど、だからといって、その制度を利用して助かっている大勢の人たちがいることを忘れてはいけない。

 しかし、パチンコや競輪・競馬で生活保護費をみな使ってしまい、コンビニに強盗に入ったおじいちゃん、生活保護だと医療費がタダなので、あちこちの医者で薬をもらい、ネットで転売して荒稼ぎしているおねえさん…という記事を新聞で読んだりすると、生活保護がその人の堕落の手伝いをしているような気もするなぁ。
 もちろん、ごく一握りの不心得者だろうけど。

 本当に難しい問題です。
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ベロック・ローンズ「リジー・ボーデン事件」

2010-12-05 16:49:33 | Weblog
 1892年8月4日、アメリカ・マサチューセッツの田舎町。資産家で町の名士夫婦が、手斧で滅多打ちにされ惨殺された。容疑者として、三女リジーが逮捕されたが、裁判の結果、無罪となり釈放された。犯人はついに捕まらなかった。

 その実際起きた事件に虚構を加え、フィクションとしたのがこの作品。

 状況証拠はたくさんあったが物的証拠に乏しく、なにより町の名士の娘で敬虔なクリスチャン、幼い頃から教会の奉仕活動にも大変熱心だった32歳の美しい独身女性が、なぜ両親を殺さなければならなかったか、動機が謎だったのである。

 それを作者は、恋人を登場させ、恋愛の激情がリジーに手斧を握らせたと推理している。

 なんにせよ、実際のリジーは無罪となり釈放されて、父の巨額の遺産を受け継ぎ、豪邸を新築して優雅に暮らし、67歳で肺炎のため死亡した。
 アメリカ人のほとんどが、リジーが両親殺害の犯人だろうと疑っていたのに、それにも負けず、天寿を全うしたのである。


 この話を読んで、数年前、愛知県豊明市で起きた、一家4人殺人放火事件を思い出した。(叔母が現場近くに住んでいたので印象が強かった)
 被害家族の父親は、事件当日、会社に残って徹夜で仕事をしていて無事だった。
 夜中に賊が家に押し入り、母親と子ども3人を殴り殺し家に放火し、証拠を消し去った。
 調べていくと、助かった父親には愛人がいて、会社の金を横領して貢いでいる事が発覚。横領で逮捕され(別件だろう)有罪になったが、殺人や放火では逮捕すらされなかった。

 しかし…そんなに都合よく賊が自分の留守中に押し入り、邪魔な女房と子どもを殴り殺してくれるだろうか?
 犯行は夜明け前頃だが、その前日は子どもの誕生日でケーキぐらい食べるだろうに、家に帰らず仕事場に残って徹夜で仕事しているというのも不自然。
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