鹿王院の拝観を終えて嵐山本線の嵐山駅に戻ったのは正午前。
朝9時30分に阪急嵐山駅を出発したのですが、
思いのほかに時間が経過していました。
それだけ鹿王院は見応えがある寺院だったということになります。
次の拝観へと向かう前に腹ごしらえをすることに。
AKAMANMA
お店の奥のテラス席で昼食。
ビーフカレー&アイスコーヒーのセットメニュー。
居心地の良いお店だったので
また嵐山に来た時には利用したいですね。
次に向かうのは、府道29号線(天龍寺の前の道)を
真っすぐ北に進んだ所にある清凉寺です。
京都 清凉寺 仁王門(山門)
ここ清凉寺の拝観は、今回で二度目になります。
前回は、常寂光寺、二尊院、祇王寺、大覚寺拝観の際に、
経路の途中に清凉寺があったので
何の事前調べもしないままに立ち寄ったんですよね。
なので初拝観の印象は、楼門の立派さと
秀頼公の首塚がある寺院ってだけで
まあ地味と言うか面白さに欠ける寺院の印象でした。
清凉寺 仁王像
そんな清凉寺を再び訪れたのは、
前回の拝観の際に清涼寺のメインとも言うべき庭園を
見事に見逃していたことを知ったからです。
後で本堂の裏庭のことを知った時には、
「なんてこった。我々の前回の拝観は
付け合わせのクレソンを食しただけだった。」
って愕然としたんですよね。
清凉寺 愛宕権現社
清凉寺 一切経蔵
こちらは正面ではないようなので移動します。
傅大士と二子の像
傅大士は、中国、南北朝時代の仏教者で
転輪蔵の創始者。
輪蔵
輪蔵とは、一切経などの大部分の経典を収めている経蔵を
回転するように作ったもので、信者がこれを押して
1回転させれば1回経典を黙読したのと
同じ功徳があるとしたものです。
信者の皆さん。言っておきます。
輪蔵を何度廻そうが経典に書かれている内容は、
あなたの身に付きません。何度廻してもです。
だけど安心して下さい。
あなたが輪蔵を一回廻す度に功徳が積みあがるのです。
インドから中国に伝来する過程のどこかの時点なのか
中国に伝来してからなのか、
哲学の仏教から宗教の仏教に変容したことが
輪蔵の発想からも分かりますよね。
と言いながら前回も今回も輪蔵を押し廻す私。
最初は少し重さを感じますが動き始めると楽に動きます。
今回は何と三周も廻して功徳を沢山積んだZ!
そんな清凉寺の一切経蔵内には、
東西南北の四方を守護する四天王像が安置されています。
持国天
多聞天
広目天 増長天
四天王とは、聖なる山「須弥山」の中腹にあって
東西南北の四方を守護する四神で、
東方の持国天。西方の広目天。南方の増長天。北方の多聞天。
仁王門と法然上人求道青年像
清凉寺 境内
本堂(左)阿弥陀堂(中央)一切経蔵(右)。
清凉寺 多宝塔
清凉寺 本堂
豊臣秀頼公の首塚
清凉寺は、応仁の乱で伽藍の全てが焼失したのですが
豊臣秀頼の寄進によって再建されました。
時が流れて1980年(昭和55年)に行われた
大阪城の三の丸跡の発掘現場から三人分の遺骨が発掘され、
その一つが秀頼公のものであると
発掘責任者らによって断定されました。
発掘され秀頼公と断定された遺骨は、
清凉寺と秀頼公との所縁から
清凉寺の本堂横に首塚が造られ埋葬されています。
清凉寺 本堂
隠元禅師の筆「栴檀瑞像」の扁額
以前に拝観させて頂いた大阪府高槻市の普門寺、
そして京都宇治に萬福寺を開創した隠元禅師がこんな所にも。
清凉寺の本堂の宮殿厨子は、
徳川綱吉とその母の桂昌院の寄進によるもので
本堂内には釈迦や桂昌院に関する品々が展示されています。
それだけでも十分に楽しめるのですが
今回の私の目的は、本堂裏の庭園です。
本堂 渡り廊下
本堂の裏手の扉を開けると凄い渡り廊下が
目の前にド―—―ンと現れました。
これまで私が見てきた渡り廊下と比べて
明かにサイズがデカい!
渡り廊下ファンの私には、垂涎ものです。
直ぐ先に進むのは勿体ないので
腰を下ろして渡り廊下の眺めを楽しんでからにします。
渡り廊下 西側の庭園
細い幹が真っすぐに空に向かって伸びています。
この樹の名前は、台杉?確かな名前が分かりませんが、
この樹がある庭は、独特の雰囲気があるんですよね。
渡り廊下 東側の庭園
東側の庭園と西側の庭園の雰囲気が違うのは
何か仏教的な意味があるのか、特にないのか。
そして、
渡り廊下を歩いた先にあるのが
今回の清凉寺の拝観のお目当ての景観です。
清凉寺 忠霊塔
放生地の川中島の忠霊塔。
弁天堂
渡り廊下を歩いた先の正面にある弁天堂。
これまで弁天堂でぱっと思い浮かんでいたのが
醍醐寺の弁天堂でしたが
これからは清凉寺の弁天堂になりそう。
弁天堂と放生地
ビックサイズの渡り廊下から観る
この景観の素晴らしさは、
写真では絶対に伝わらないと思うんですよね。
本堂裏の庭園の写真を見た時の印象や期待感を
実際の生の庭園は、遥かに上回りましたからね。
個人の好みの違いがあるのであれですが、
私の場合は、凄さや美しさを眼だけではなくて
身体の感覚として感じる時があるんですが、
この清凉寺の庭園でもその感覚を感じたんですよね。
清凉寺 大方丈(書院)
渡り廊下を右に曲がって進んだ先には
大方丈(書院)があります。
杉戸絵
大方丈庭園
大方丈の庭園は、小堀遠州の作庭と伝えられています。
大方丈庭園 唐門
渡り廊下へと戻り、もう一度庭園を堪能してから
本日、特別公開中の霊宝館へ。
清凉寺 阿弥陀堂
霊宝館は、この阿弥陀堂の裏手にあります。
清凉寺 霊宝館
この日、霊宝館が特別公開中とのことなので
何が観れるのかも知らずに向かったのですが、
これがまた素晴らしかった。
特に一階に展示されていた仏像の数々が素晴らしい。
国宝に認定されているどうこうより
仏像のつくりが素晴らしい。
仏像の専門家でも美術の専門家でもない私が
仏像について語っても何の説得力もありませんが、
とにかく仏像の顔が素晴らしく良い顔をしていて
そのままじぃーと観続けていたくなる感じで
見惚れてしまいました。
国宝認定を受けている阿弥陀三尊座像は、
源氏物語の光源氏のモデルとされている
「源融(みなもとのとおる)」が
自分の顔に似せて作らせたものだそうです。
源融さん。そりゃモテますわ。
世界的に有名なミロのビーナス像やダビデ像を観たら
同じような感じがするのだろうか。
清凉寺 鐘楼
今回、清凉寺の拝観を終えた時には、
前回の拝観の時に持った清凉寺への印象が
全く変わってしまいました。
もうこれで今日は神戸に帰っても良い位の満足感があったのですが、
本当に帰るのはさすがに勿体ないので、まだ帰りません。
今日は5か所の寺院を巡るつもりだったのですが、
拝観受付時間を考えると後一ヶ所で終了となりそうです。