イノダコーヒ本店から数分歩けば、
六角堂に到着です。
六角堂の寺地が下京の中心に位置していたことや、
特に応仁の乱の後から
町堂や町衆の自治活動の場所の役割を果たしたり、
京都に乱入する土一揆等、下京に危機が迫った時に
軍勢の集合場所であったことから、
『京都のヘソ』と呼ばれている有名な寺院です。
また、江戸時代末まで祇園祭の山鉾巡行のくじ取り式も
京都のへそ『六角堂』にて行われていたようです。
紫雲山頂法寺『六角堂』 山門
今回一緒に京都を巡る東京の友人から
六角堂のことを数年前に聞いてから
私の脳内の拝観リストに登録してあったのですが、
敷地は広くなく私の好きな庭園も無いので、
これまでの京都名所巡りのメインの目的地にし辛く、
他の寺院を拝観した流れで2回ほど立ち寄ったのですが
拝観時間に間に合わずだったんですよね。
六角堂の初拝観が、
六角堂を教えてくれた東京の友人とになるのは、
不思議で面白くもあります。
本堂
六角堂の正式な寺名は、頂法寺紫雲山と言うのだそうですが、
本堂の形が六角形なので一般に『六角堂』と呼ばれ、
いけばな発祥の地としても知られていて、
『池坊』の家元は代々六角堂の住職が務めています。
なので六角堂の敷地内には、
いけばなの歴史資料が展示されている『池坊会館』や
いけばな研修教室などが入る10階建てのビルがあります。
六角堂の始まりは、587年に聖徳太子が、
大阪の四天王寺を建立するための材料を求めて、
この地を訪れた際に、
念持仏として持っていた観音像を木の枝にかけたところ、
観音像が突如として重くなって動かなくなり、
聖徳太子に「この地で人々を救いたい。」と
告げたと伝えられていたり、
太子堂
当時この場所にあったとされる泉の側の木に
念持仏をかけて沐浴した夜に夢お告げで、
念持仏がこの地に留まり人々を救いたいと望んだので、
聖徳太子は、六角堂のお堂を建立し
観音像を祀ったと伝えられています。
後の方が現実的な言い伝えですね。
この池のほとりに現在建っているのは
池坊会館(頂法寺会館)ですが、
元は、僧侶の住坊が建てられていて、
その住坊が『池坊』と呼ばれていました。
池坊に住む僧侶は、
六角堂のご本尊の如意輪観音に花を供えることが
務めの一つになっていて、
それが後に、いけばなの根源であり、
最古かつ最大の会員数を誇る
華道家元『池坊』に発展していきます。
現在の池には、
聖徳太子ではなく本物の白鳥が沐浴していました。
ヒンズー教の三大神の創造神ブラフマーの乗り物が
白鳥であることと、
なんか関係があるのかないのか。。。
本堂(東側)
手水舎
手水舎&十六羅漢
羅漢とは、煩悩を全て無くし小乗の悟りを得た聖者のことで、
仏の教えを守り伝えることの出来る僧侶に与えられます。
十六羅漢
十六羅漢というのは、方位の四方八方を倍にした数で、
あらゆるところに羅漢がいることを意味しているそうです。
手水舎と本堂(東側)
本堂
現在の本堂は、明治10年に再建されたもので、
六つの角は、六根(眼、耳、鼻、舌、身、意)によって生じる
六つの欲のことだそうで、
これらの煩悩を無くす願いが込められているようです。
六角堂の境内にいるのだからと、
私は、六根の不浄を清めるために唱える
「六根清浄」と唱え続けるのでした。
鳩みくじ
本堂の周りに六角堂独特の鳩みくじが置かれていました。
六角堂に沢山集まる幸運と平和のシンボルの鳩を
モチーフにしています。
六角堂 お地蔵さん
京都御所を守るために北を向いている「北向地蔵」。
その横には、小さな子供を守ってくれる「わらべ地蔵」等の、
お地蔵さんの群像がありました。
親鸞聖人像
鎌倉時代、29歳だった親鸞は祈願の為に100日間、
夜に比叡山から六角堂に下り、朝になると比叡山に上るを繰り返し、
95日目の暁に親鸞は如意輪観音像のお告げを受けて
浄土宗の祖である法然に帰依したと伝えられています。
へそ石
この『へそ石』と呼ばれる石は、元々は六角堂の本堂の礎石で、
平安京を建設する際にお堂がかかってしまい、
聖徳太子所縁の六角堂なので、どうしようかと困り果て
桓武天皇が祈ったところ
六角堂がひとりでに動いたと伝えられています。
「まあ、普通に考えるとあり得ない話ですね。」
以前にご紹介させて頂いた和歌山/粉河寺の出現池の話は、
トランス状態と考えれば有り得る話かと思いますが、
大きな本堂が実際に動いているのですから、
トランス状態では説明が付きません。
なので困った桓武天皇が祈っている御姿を見た誰かが、
桓武天皇には内緒で移動の号令を発して突貫工事を行い、
工事完了後に本堂が勝手に動いたと
報告したと考えるのが自然かなと思うのです。
そして、知らせを受けた桓武天皇も
「そりゃないだろう。」と思いつつも、
周りの優しい嘘に乗っかったのかと思うのです。
こんな風に言うと、ロマン好きな人や神秘好きの人から
お叱りを受けることがあるのですが、でもなあ……
多くの寺院が開門する午前10時が近づいてきたので、
色々と興味深い伝説が残る六角堂を後にして、
次の目的地へと向かいます。