日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

サイレント・シティズン、サイレント・コンシューマー

2005-09-03 11:48:56 | マーケティング
「百貨店に続いてスーパーも」のエントリーに、コメントとをくださった兵庫県の某職員さん、ありがとうございました。
「数値目標を基準とした成果主義」というのは、「諸刃の刃」だと思っています。
特に技術系職・研究職といわれる人たちは、昨日今日で成果が現れるような仕事でもありませんし、基礎研究のようなものは、数値で何をあらわすのか分からない要素が多いのではないでしょか?

ご指摘をされているような「販売力のある企業が儲けている」、という事実があることも、理解しなくてはいけませんが、例えば自動車などの場合、これからドライバーの高齢化が急速に進むと思います。
と同時に、高齢者の自動車事故が増えることも、暗に想像できますよね。
とすれば、これから自動車に求められる性能や機能の一つは、「高齢者ドライバーが安全、安心に運転できる『大衆車』」ということになると思います。
それが、マーケティングの視点なのです。
単に技術力があるだけでは、生活者が豊かになるわけではありません。
「その高い技術力を、どうやって市場が必要と感じているモノへと実現化していくのか?」ということが、大切なのです。
「高い技術力といえども、使っている人がいる現場に行って、実際の声を聞く」ということが、なければ「絵に描いた技術」になってしまうのでは?

マーケティングでよく言われることの一つに、「サイレント・コンシューマー」という言葉があります。
「モノ言わぬ消費者」ということなのですが、実際の市場を動かしているのは、この「モノ言わぬ消費者」だといわれています。
高度成長期のように、需要と供給のバランスが「需要>供給」という時代であれば、企業エゴのような「儲けたモン勝ち」という考えも、通用したかも知れません。
しかし今のような「需要<供給」という時代であれば、生活者の視点を考えなければ企業は生き残ってはいけません。

それと同じように、「サイレント・シティズン」という「モノ言わぬ市民」が、存在しているのではないでしょうか?
自分達の既得権を失いそうになると、声高に叫びあらゆる手段を使って圧力をかけてくる人たちは、一見厄介な存在だと思います。
しかし、本当に厄介な人たちは「モノ言わぬ市民」なのでは、ないでしょうか?
これから先、様々なカタチで市民の力を自治の活力としていかなくてはいけない時代が、やってくると思います。
「団塊の世代のリタイアメント」は、まさにそのチャンスだとも考えられるのでは?
その時、行政がいくら笛を吹こうが動いてくれる人がいなくては、意味がありません。
「都市の心地良さ」の基準の一つに、「市民が創る都市の心地良さ」というモノが、加わっていく時代が、近い将来やってくるような気がします。
その時、行政の関わる人たち一人ひとりが「市民としての自分」という視点を持って、「心地良いまちづくり」をしているか否か?ということが、重要となっていくと思います。