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3D映像とW杯

2009-12-07 17:11:18 | スポーツ
先週末、来夏南アフリカで行われるFIFA W杯南アフリカ大会の1次予選の組み合わせ抽選会があった。
既に、一部メディアなどでは「日本が、予選を突破できるのか?」とイロイロと言われ始めているようだ。
そんな中、新聞各社のWEBサイトにソニー、10年W杯サッカーを3D撮影・映像化=ブルーレイ販売へと言う内容の記事が掲載されていた(紹介記事は時事通信)。

この記事を読んだ時、思い出したコトがある。
それは、今から10数年ほど前日本が2002年のW杯単独開催を目指していた頃のコトだ。
日本の誘致活動の目玉の一つとして、「バーチャルスタジアム」というモノがあった。
これは、スタジアムに来て観戦できない人たちを、近くの競技場などでライブ3D映像を映し出し、あたかも目の前で試合が行われているようにする「映像システムスタジアム構想」のコトだった。
ただ3Dと言っても、観客側が感じる「ライブ感」というのは、「飛び出す映像」ではなく、「俯瞰で見たときの立体感」だと言うことは、サッカーの試合を観戦したことがある方なら、お分かりだと思う。
残念ながら、この「バーチャルスタジアム構想」は実現化されること無く、終わってしまったようだ。

と同時に思い出したコトは、「ソニーは、当時『バーチャルスタジアム構想』には、関わっていなかったのでは?」と言うコトだった。
ご存知の方も多いと思うのだが、今やスポーツビジネスは、数百億のお金が動くビッグビジネスとなっている。
特にW杯のように、全世界の視聴者が世界最大となるスポーツイベントでは、その額も半端ではなく、今回のソニーのようにスポンサー契約を結ぶだけでも相当額のお金が動いているはずだ。
そしてFIFAとしても、今回のソニーのような最新映像技術を持つ企業のスポンサーは、とても魅力的だろう。
その意味で、今回ソニー側とFIFA側の利害が合致したと感じるのだが、日本で「バーチャルスタジアム構想」が持ち上がった頃、ソニー自体スポーツそのものに余り興味が無かったというか、スポーツとの結びつきのあるような企業活動をしていなかったように記憶しているのだ。
だからこそ、ソニーが考えてる「3D映像」とサッカー観戦における「バーチャル感」とは、果たして同じなのだろうか?と思うのだ。

上述しているように、日本では既に10数年前に「バーチャルスタジアム構想」と言うモノがあり、幾つかの企業が参加し、ある程度の映像化までは成功していたと言われている(新潮社刊「W杯ビジネス30年戦争」に詳しく掲載されている)。
それは現在ソニーがディズニーなどに提供している「飛び出す映像」ではなく、試合を俯瞰で見たときのリアリティー感なのだ。

確かにスポーツには、「エンターティメント」と言う要素も高い。
その意味で、今のソニーと共感する部分はあると思う。
だが、「求めているモノ(=求められているモノ)は何か?」と言う、当たり前のコトを忘れたモノでは、意味が無いような気がするのだ。
そんな懸念を、この記事を読んだ時感じてしまった。