日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

冷えているのは消費だけなのか?

2009-12-22 12:54:25 | ビジネス
日経新聞のWEBサイトに、博報堂の調査として「節約志向強まる」と言う内容の記事が掲載されていた。

単なる「いらないモノは買わない」という節約志向と言うよりも、「必要最低限のモノを安く買う」という感じだろうか?
決して「シンプルな生活志向」という意思がある感じではなく、「気分的に買いたいモノはあるが、買う余裕が無い」感があるように思うのだ。

もちろんその背景にあるのは、様々な社会不安要素なのだと思う。
将来的経済不安もあるだろうし、何よりも目の前にある不安が大きい。
かつてのように「終身雇用」と言うコトは考えられず、企業も簡単に「リストラ」という名前の、雇用削減をする。
国に預けたはずの年金も、大きく揺らいでいる。
実際、リストラなどで「お金を使いたくても、使えない」という状況にある人たちが、増えていると言うコトもあると思う。

政府の「景気対策」に期待をするといっても、過去何度も使われてきた即効性のある「景気対策」=ハコモノ系公共事業も、国の財政そのものが「無い袖を振らざる得ない」状況にあり、「無い袖を無理やり振る」というコトになれば、それは国の借金が増えるばかりで、決して将来的プラスとは思えない。

一つ疑問に思うコトは、リーマンショック以前、盛んに言われた「史上最高益」を上げたはずの企業利益が、リーマンショックやこの円高で総て無くなってしまったのだろうか?
「内部留保」も総て、吐き出してしまったのだろうか?と言うコトだ。

そんなコトを考えていたら、今日の毎日新聞のWEBサイトに、トヨタが、系列メーカーへ3年以内に部品価格の3割減要請をしている、という記事が掲載されている。
いくら系列メーカーと言っても、その系列メーカーの下には下請けや孫請けがある。
下請けや孫請けは、3割以上の削減が要請される可能性だってある。
下請けや孫請けの多くは中小・零細企業で、今以上の努力を求められても無理だと言うことだってあるはずだ。
むしろ、今必要な事はトヨタのような企業が、部品などの価格維持に努める必要があるのではないだろうか?
トヨタ内での利益が確保できても、社会全体が「モノを買う気分」が起きなくては、意味がないと思うのだ。

そしてこのような記事を読むことで、「あのトヨタも厳しいんだ・・・」と社会全体が縮み込むコトもあるように思うのだ。
政治に期待する部分が無いわけではないが、それよりも、もう少し経済界が社会全体が元気になるような動きを見せて欲しいのだ。
そのような動きが無ければ、消費が冷えているだけではなく、社会全体が冷え、縮むばかりのように思えるのだが・・・。