日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

老舗が地域を活性化する?

2009-12-20 10:10:35 | ビジネス
先日、知人から「八天堂」と言う、広島・三原市にあるクリームパンを頂いた。
東京土産が、広島・三原のパン屋さんのクリームパンと言うのが、チョッと「???」だったのだが、新幹線の品川駅で特設販売をしていて、「話題だから」というコトで、頂いたのだった。

肝心の「クリームパン」だが、薄皮のパン生地にカスタードクリームがたっぷり。
一般的な菓子パンの「クリームパン」という感じではない。
どちらかと言うと、以前流行した、薄皮のシュー皮にたっぷりのクリームと言うタイプのシュークリームに近いものがある。
だから栞には、「スィーツパン」というサブネームをつけて紹介しているのだろう。
「クリームパン」ではなく、「くりーむぱん」と表記している点でも、そのこだわりを感じる。
果たして「スィーツパン」という市場が、これをきっかけに生まれるのかは分らないが、ブームになる可能性はあるかも知れない・・・と思った。

ところで、このパンの栞を見たら「創業昭和八年」とある。
元々は、和菓子屋さんとして創業したようだが、その後和・洋菓子店へと変わる。
そして代替わりをし、現在は「スィーツパン」という、まったく新しい分野で事業展開をしている。
ただ、元々和菓子屋さんなので「薄皮饅頭」などとの共通があるといえば、あるかも知れない。

この「八天堂」さんのように、地方の企業があるキッカケで全国区になり、そのモノを求めて、都市部から人が訪れるようになるコトがある。
「人が人を呼び、周囲が活性化される」と言う現象を、最近イロイロな地域で見られる。
その多くが、農産物の直売店であったり、百貨店の物産展などに出店するコトがない老舗だったりする。
「その土地に行かなくては、手に入れられないモノ」というのが、人を引き寄せる力となっている。

これまで、地方行政が考えるコトは「高速道路や空港を作って、如何に都市部にモノを送るのか?」というコトだった。
それが逆にコスト高となったりして、思うような活性化対策にはなっていない。
何故か?
都市部では、地方から様々なモノが集まり、その中で競合していかなくてはならないからだ。
「おらが国のモノが一番」と思っても、全国には似たようなモノがある。
何よりも「モノ」だけを提供しても、その地方の空気間までは届かない。
そこが、「都市部にモノを送る限界」だと思うのだ。
であれば、都市部にモノを送るのではなく、都市部から人よ引き寄せる努力を考えるコトのほうが現実的なのではないだろうか?

この「八天堂」さんの「くりーむぱん」目当てで、三原市を訪れる人がどれだけいるのかは、まだ分らない。
ただ、「くりーむぱん」を買った人の中には「三原市って、どんなトコ?」と、興味を持つ人がいるだろう。
そして、そのような人が実際に三原市を訪れることで、三原市の良さが評価されれば、それが活性化の始まりとなるのではないだろうか?

「地方が、活性化するためには・・・」と考えると、まず「自分たちの持っているモノ・コト」を見直し、「その良さ・素敵さ」を都市目線で伝えるのではなく、自分たち目線で伝える事なのではないだろうか?

一枚の栞を見ながら、そんなコトを考えた週末だ。