日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

ブランド信仰の一つ?-偽「カシミヤ」発見器-

2009-12-08 08:30:08 | ライフスタイル
讀賣新聞のWEBサイトに、横行「カシミヤ」ニセモノ、特殊な光で鑑定と言う記事が掲載されていた。
数年前から、「カシミヤ偽装」が毎年のように話題というか、問題になっている。

繊維素材としての「カシミヤ」は、とても柔らかく繊維そのものが短いためにニットにすると、薄手でありながらふんわりとし暖かい。
また織物にすると、独特の光沢がありこのシーズン女性用のコートとして人気の素材だ。
それだけではなく、多くの日本女性が「カシミヤ」に惹かれる理由の一つが「貴重性」というコトだろう。
「貴重な素材だから、高価。だけど一生モノと呼べるほどの価値がある」というコトなのだ。
しかし、バブルの頃からやたらと「カシミヤ素材」の商品を目にすることが多くなった。
当時は「日本の経済力で、世界中のカシミヤを集めているのか?」と、勝手に想像していたのだが、その勢いは止まらず今に至っているような気がする。
だからこそ、冷静に考えれば「そんなにカシミヤって流通していた?」と、疑ってみるべきなのかも知れない。

もう一つ、感じることは「カシミヤなら、何でもOK」的発想への危惧だ。
冬の素材としては、他にも「キャメル(らくだ)」や「アルパカ」と言った素材がある。
いずれも、柔らかく暖かで、希少性の高い素材だ。
それ以外にも「ヤク」と言った、やや変り種的素材も、なかなか魅力的なモノがある。
特に「アルパカ」などは、最近ではテレビCMで「ミラバケッソ(のクラレちゃん)」として、話題になった動物の毛だ。

確かに、「カシミヤ」独特の素材感は魅力的だが、同じように「キャメル」や「アルパカ」にも、それぞれの魅力がある。
むしろ、そんなイロイロな素材の魅力を理解した上で、自分のファッションスタイルやTPOに合わせたモノを選ぶ方が、ずっとオシャレで素敵だと思うのだ。

実際、「カシミヤ」と言うタグを付け(袖口にタグを付けたままの人を見かけませんか?)、ショルダーバッグを肩からかけている人などを見ると「カシミヤがかわいそう・・・」と思ってしまう。
それだけ、デリケートな素材だからこそ、昔の人(私もか?)は「カシミヤを着たら、カバンを持たない位の気遣いが必要」と、言ってきたのだ。

この記事を読んで思い出したことがある。
それは数年前、一斉を風靡した「パシュミナ」は一体どうしたのだろうか?と言うコトだ。
拙ブログに来られる男性諸氏にとっては「パシュミナって???」という感じかも知れないが、数年前、月刊・週刊問わず「女性雑誌」と呼ばれる雑誌には「パシュミナ」が紹介されていた。
確か、「ハリウッド女優のパーティーアイティムとして注目されている」と言うトコロから、突然人気になった素材だ。
話題になった当初は、ストール1枚数万~10万円と言われていたのだが、いつの間にか1万円でお釣が来るようなモノまで登場したのを覚えている。
そして、今ではすっかり見かけなくなってしまった。

流行りモノに飛びつくコトを悪いとは言わないし、マーケティングと言う仕事をしているコトを考えれば、それを「仕掛けている」というコトになるのだが、個人的にはあえて「流行に飛びつく前に、チョッとお勉強をして欲しい」と言うのが、本音でもある。
何故なら、「似非市場」が大きくなるばかりで、「本物」が見えなくなってしまうと言う懸念があるからだ。