日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

時代とともに変わるベネフィティング表現

2009-12-12 22:14:49 | CMウォッチ
先日、何気なくテレビを見ていたら「時代とともにべネフィティングの表現が変わるものだな~」と思ったことがある。
それは、ラップのテレビCMだった。
残念ながら、メーカーを見落としてしまったのだが、シンプルながらも的確に生活者に伝わる内容だった。

どのような内容だったかと言えば・・・。
お皿の上に、ラップで包んであるおにぎりが置いてある。
そこへ「最後まで、おいしく食べていただきたい」と言う内容のコピーが、差し込まれると言うモノだった。
ご覧になられた方も多いかも知れない。

ご存知の通り、食品保存ラップのテレビCMでは様々な表現で「セールスポイント」を訴えてきた。
その「セールスポイント」は、時に「ベネフィティングポイント(=顧客利益となるポイント)」となってきた。
例えば「新鮮・長持ち」とか、「臭い移りしない」と言ったコピーだ。
そのためにサラダボウルいっぱいに作られたサラダにラップをしたり、臭いの強い干物などにラップをし、あえてその隣にケーキなど臭い移りしやすいモノを置くと言う、CMを作ってきた。

この「新鮮・長持ち・臭い移りしない」と言う3つを見て、何か気が付くことは無いだろうか?
最近の冷蔵庫のセールスポイントが、この3つとなっているのだ。
とすれば、これまでと同じアプローチでテレビCMを作っても、食品保存ラップのベネフィティングとはならいというコトなのだ。
そこで、違うアプローチとして「最後までおいしく」と言うコピーで、新しい提案をしているのだ。

それは「食品保存」と言うコトをさりげなく強調しているだけではなく、様々な食品の家庭冷凍保存の一般化というコトと、無関係ではないだろう。
おそらく、多くの家庭では食べきれなかったご飯をラップに包んで、冷凍保存をしているのではないだろうか?
そして、必要な時だけ電子レンジで温め直し、できたてのご飯を食べるコトも当たり前のようになってきているのではないだろうか?

そのような時代の生活変化で、これまでの「新鮮・長持ち・臭い移りしない」と言う、ベネフィティングが、ある意味時代遅れとなったと感じたからこそ、シンプルながらも「最後までおいしく食べられる」と言うコピーで新しいベネフィティングを、提案しているように感じるのだ。

おにぎりを使ったのは、おそらく「お母さんのぬくもり」感があり、同時に手軽さと冷めてもおいしいと言う点がある。
だから「最後までおいしく食べたいし、おいしく食べられる」と言う、イメージが与えられるのだ。

シンプルで何気ないテレビCMだが、時代とともに「ベネフィティング表現が変わる」と言うコトを、上手く現していると感じさせるのだ。