日々是マーケティング

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進化する「フェアトレード」

2014-05-24 19:19:16 | ビジネス

フェアトレード」という言葉が、一般的になって久しい。
今では、「フェアトレード商品」そのものの種類も増え、取り扱うお店やメーカーも随分多くなった。
大手スーパーのAEONなどでも、「フェアトレードのコーヒーや紅茶」などを、自社ブランドとして扱っている。
AEON:トップバリュー フェアトレード商品のご紹介
自社ブランド化はしていなくても、比較的規模の大きな地元スーパーでも「フェアトレード商品」を扱うことで、社会的意識の高い+やや高級品を扱っているスーパーというイメージを作っているトコロもあるようだ。

そんなフェアトレード商品も、「商取引」という視点から少しずつ進んでいるようだ。
先日来から、ネスレはインターネットで「カカオプラン インターシップ」という、広告を出している。
ネスレ:カカオプラン インターシップ
このプログラムは、日本の学生をカカオの産地であるコートジボアールへ派遣し、「カカオ生産の現場を理解してもらう」という内容のプログラムだが、ネスレ自体の「カカオプラン」はもっと大規模できめ細やかな事業のようだ。
ネスレ ニュースリリース:より多くの持続可能なカカオ ネスレカカオプラン

「フェアトレード」というよりも、かつての「プランテーション」を思い浮かべる部分もあるのだが、大きく違うのは生産者に対する教育を重視している点だ。
「プランテーション」というのは、あくまでも地元生産者を「労働者」として扱うだけで、生産のための教育や生活環境の整備、と言う点はしてこなかった。
生活者の生活基盤、教育という点に力を入れることで、「持続可能なカカオ生産」ができ、生産者側としてもネスレが買い取ると言う安心感があるため、カカオの生産に力を入れることができる、と言うメリットがある。

この様な活動をネスレが始めた最大の理由は、カカオの減産が大きいと思う。
2、3年前だったと思うのだが、「カカオ豆の不作で、チョコレートが生産できない」というニュースが話題になった。
日本の場合、「ガーナ」という商品のチョコレートがあるとおり、不作になった地域ではなく影響の無かったガーナからの輸入が多いため、一時の話題で終わってしまった。
しかし、多くの製菓用チョコレートは「クーベルチュール」と呼ばれる「チョコレート」の状態で、輸入されるため洋菓子店などでは、少なからずその影響があったのでは?と、思っている。

そして最近気になっているチョコレート店が、京都にある。
「Dari K」という小さなお店だ。
元々金融の仕事をされていた方が開いたチョコレート専門店だが、このお店で扱っているカカオはインドネシア産。
実は、インドネシアはコートジボアールに続く第2位のカカオ豆の生産地なのだが、市場に出回らない理由がいくつもあり、それらの問題を解決する方法として「フェアトレードを超える生産者+販売者+購入者がwinになる関係を作りたい」という思いから、事業を始められたお店だ。
Dari K:Dari Kのカカオ革命

ネスレの様な世界的食品会社もDari Kの様な小さなお店も、支援の目的は違うかも知れないが「生産者から適正な価格で購入」という「フェアトレード」よりも、進化した方法を打ち出し始めている、と言うトコロに「フェアトレード」の進化を感じる。