日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

ロングセラーには、訳がある

2014-11-10 20:05:14 | マーケティング

Yahoo!のトピックスに、小林製薬の「ブルーレット」が年間売上げでギネスに登録された、と言う産経新聞の記事が取り上げられていた。
産経新聞WEST:
130億円超えのブルーレット、ギネス世界記録認定!トイレ用洗浄剤で年間売上げ世界一小林製薬に認定証

年間の売上げが、130億円というのも凄いものだがむしろ「ブルーレット」という商品が、売れ続けていると言う点のほうが、もっと凄いと思う。
商品登場以来40年以上の時間経過がありながらコンスタントに商品が購入され続ける、と言うのは、多くの企業にとって羨ましいばかりだと思うからだ。
特にこの「ブルーレット」の様な市場は、商品の入れ替わりが激しく、40年以上も前に登場した商品がリニューアルを繰り返し、商品アイティムを増やしながらも市場に残る、と言うのは相当な企業努力を必要とするからだ。
もう一つ考えなくてはならないことは、新聞の記事にある様な「下水道の整備が進んだ」というだけの理由では、これほど長い間売れ続けない、と言う点だろう。

では、何故売れ続けたのか?と言うことを考えると「家事労働」という点が浮かび上がってくる。
「ブルーレット」という商品は、産経の紹介記事にある様に「トイレ用洗浄剤」である。
その特徴は、水洗トイレタンクに入れるか、置くだけと言う簡単なモノ。
実はこの「簡単さ」が、とても重要なのだ。

例えば、「ブルーレット」の大ヒット以来、様々な洗浄剤メーカーが商品を出した。
花王の「トイレマジックリン」のように、トイレ使用後スプレーをして消臭+汚れが付きにくくするコーティングという、機能としてはほぼ同じ商品が登場しているが、「使用後スプレーをする」と言う行為が、案外使う側としては面倒なのだ。
何より、使用後スプレーをする人・しない人が家族内に出ることで、効果そのものは半減してしまう。
それに比べ「ブルーレット」の場合、トイレタンクに入れるまたはセットするだけなので、手軽で使用後、誰もがすることで、家事そのものの大変さが減っていく。
それほど、トイレ掃除というのは面倒で大変なコトなのだ。

「トイレ掃除の回数を減らし、消臭効果がある」というコンセプトは、「家事労働大変さ」や「主婦の気持ち」を理解していたからこそ、「便利・快適・手軽・労力の軽減」の商品として「ブルーレット」がヒットし、ロングセラーになったのではないだろうか?

言い換えれば、「使う人」の気持ちを商品に反映させるコトが、ロングセラーの秘訣なのだと思う。