日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

モノやコトに、物語を

2014-11-06 19:00:52 | マーケティング

NHKの朝ドラ「マッサン」が、人気らしい。
「マッサン人気」で、期待が掛かるのが洋酒の売上げかも知れない。
特に、主人公夫妻のモデルとなっているニッカウヰスキー、と言うことはご存じの方も多いと思う。
そしてそのライバルとなるのは、サントリーと言うことになる。
そのサントリーのウイスキーの中でもトップブランドとして名前が上がる「山崎」が、「世界最高のウイスキー」と評されたと、先日報道された。
HUFF POST:「山崎シェリーカスク2013」世界最高のウイスキーに選ばれる
「山崎」の国内でのコピーは、20年以上同じ(だと思う)で「何もたさない、何もひかない」というシンプルなモノ。
そのコピーらしく、シングルモルトウイスキーの味わいを、しっかりと商品が伝えている、と言うコピーと商品が、マッチしているお手本のような、コピーと商品の関係がある。

そして先日、百貨店に立ち寄ったとき、見慣れない「kibiso」というブランド名のシルク製品が置いてあった。
パンフレットを早速持ち帰ると、「鶴岡シルク」と言う企業の製品のようだ。
鶴岡シルク:kibiso
パンフレットを読むと、「鶴岡シルク」の隆盛・衰退というコトだけではなく、「何故、今kibisoというブランドを立ち上げ、世界へ発信するのか?」という物語や「鶴岡シルク」に対する思いが伝わってくる。
シルク製品として、魅力的なだけではなくその「物語」に、共感し心動かされた人達が、どうやら買って行かれているようだった。

バブルの頃、このような「モノ・コトに物語性を加える」と言うことが、盛んに言われた。
今ではすっかり忘れ去れてた感があるが、その当時の「物語性」は「この商品があると、どれだけ生活がリッチな気分になれますよ」というモノばかりだったような気がする。
それが、最近では「そのモノ・コトに対しての物語性」が語られるようになり、その「物語に共感・心動かされた」人達が、その「モノ・コト」を買って行っている、と言う気がしている。

考えて見れば、日本の得意(?)分野である「ものづくり」を指すとき、多くは工業製品を指してきた。
その工業製品も、家電製品などは韓国や中国などに押され、大変な状況になっている。
もし、それら工業製品に「作り手と使い手を結ぶ物語」があれば、また違ったモノになるのではないだろうか?
その為には、企業側も「製品、商品を提供する」という思考ではなく、「生活者と一緒に作り・提供する」という発想が、必要だろう。
そこから「ものづくり」がスタートすれば、生活者へのアプローチも変わってくるのではないだろうか?