日々是マーケティング

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国内自動車販売と自動車学校

2014-11-08 21:00:27 | ビジネス

先日、トヨタ自動車の3月期の純利益予想が2兆円となった、と言う記事が新聞に掲載されていた。
中日新聞:トヨタ純利益、初の2兆円 3月期予想
この記事にあるとおり、トヨタの純利益が2兆円を超す、と言うのは日本経済にとって明るい話題のように思える。
しかし、本当にトヨタのクルマが日本国内で売れているのか?と言うと、決してそうではなさそうだ。
日経新聞:自動車の国内生産、回復力弱く 8社、9月3.3%減

日経の記事では、増税などに伴う消費者の「購買意欲の低下」という様な趣旨となっているが、本当にそれだけだろうか?
と言うのも、先日地下鉄の駅前で、自動車学校の入校チラシを配布していたからだ。
チラシを配布していた自動車学校は、元々我が家から一番近いトコロにある自動車学校。
周囲には、大学が3校あるだけではなく、地下鉄の駅からほど近いこともあり、沿線の大学に通う大学生達だけではなく、社会人にもロケーションの良さから「夜間クラス」などは、「入校待ち」と言うことも多かった。
もちろん、これまチラシを配布していなかった訳ではない。
チラシで盛んに募集をしていたのは、昼間クラスの一部だった。
それが、今回配布されているチラシを見ると、これまで人気だった「夜間クラス」も募集となっている。
確かに、ここ数年夏休みなどでも自動車学校の名前の入った「実習車」を見かける頻度が減ってきている、と言う実感はあった。
しかし、上述した様な「アクセスの良さ」や「周囲のビジネス環境(=複数の大学が近くにある)」というコトから、まさか!と言う気がしたのだった。

自動車学校にとって、入校生が少ないと言うことはある程度予測できたコトだと思う。
何故なら、日本の人口構成を考えると、「自動車免許を取得する世代」が、減少傾向にあるからだ。
私は自動車免許を取得しなかったが、私の世代では大学1年の夏休みに自動車免許を取得するのが、当たり前だった。
その為、GWの頃から自動車学校に申込をし、予約を入れないと夏休みが終わるまでに免許を取得するのが難しい、と言われていた。
まして、名古屋はトヨタ自動車のお膝元の様な地域。
私の様に自動車免許を持たない大学生などは、ほとんどいなかった。

それが人口減少+若者の自動車に対する興味の薄れなどで、「クルマがない」コトが特別なコトではなくなってきたのでは?と言う気がするコトが多くなってきた。
上述した通り、自動車学校の周囲には大学がある。
自動車通学そのものが認められている大学などもあるのだが、その「自動車通学」そのものをほとんど見かけ無いのだ。
さすがに、地下鉄沿線から離れた大学に通う学生は「自動車通学」をしている学生もある程度いる様だが、その様な大学の前を通っても、自転車通学の学生の姿のほうが多い様な気がすることが増えてきた。

大学生なので、自分でクルマを買う程の経済力は無いと思うが、そうなると親の経済力という視点で考える必要がある。
自動車そのものの価格が大幅に値上がっている、と言うのであれば、親の経済力もそれ相応に必要だと思うのだが、自動車の価格そのものがここ10年ほど大きく値上がっているとは思えない。
とすれば、親が子どもにクルマを買い与える程の余裕がなくなってきている、と言うことになるのでは無いだろうか?
もう一つ考えられるのが、今の大学生(=自動車免許取得世代)が、クルマそのものに興味が薄くなっているのではないだろうか?

確かにトヨタの純利益2兆円という数字は、日本経済の回復という数字にも見える。
しかし、足下(国内)を見ると、決して楽観できる様な状況ではないし、何より自動車学校の入校車の減少による自動車産業に与える影響は、ボディーブローのようなものではないだろうか?