日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

楽天の囲い込み戦略?

2014-11-28 21:19:58 | ビジネス

 ネットで、買い物というほど買い物をする訳ではないのだが、年間に数回程度は利用する。一番利用するのはやはり「楽天」ということになる。何故なら、ご存じの通り、「楽天」はネット上の商店街。様々な商品を扱っているからだ。同じ商品であっても、出店している会社によって値段が違うというコトは、当たり前。比較するにしても、お店を見て歩くのも「楽天」であれば、随分楽だ。

 先日、久しぶりに欲しいモノがあり、「楽天」のサイトを見ていたら、「え!」と思う様なご案内がトップに表示されるお店がいくつかあった。
 「え!」と思ったコトは、「支払い方法」だ。
 多くの方は、クレジットカード支払をされていると思うので、余り気にならないかも知れないのだが、振り込みなどを利用していると、自分と取引のある銀行などの金融機関の利用ができるか?というのが、購入のポイントになる。「振込手数料」というのは、1回の利用では300円以内という少額かも知れないのだが、1回の買い物そのものが、余り高額では無い場合、振り込み手数用というのは、「高い手数料だな~」という気持ちになってしまう。
 だからこそ、自分が普段使っている銀行での取引の有無を確認してしまうのだ。
 そんなユーザーは、余り多くはないかも知れないが、「送料」と「手数料」というのは、ネットで商品を購入する時、気になる部分でもある(その様なユーザーは、ほとんどいないかも知れないが)。

 その「振り込み指定銀行」が、「楽天銀行」に少しずつ移行し始めているのだ。違う見方をすると、「楽天」が、ユーザーの様々な情報を集め、囲い込みを図ろうとしている、とも考えられる。
 実際、「楽天銀行」のサイトを見ると、「クレジットカード機能付きキャッシュカード」が、お勧めされている。
 「楽天銀行のクレジットカード付きキャッシュカードで、ラクラクお買い物」ということを、暗に勧めていると言う印象を受ける。
 もちろん、他社のクレジットカードでも十分使えるので、気にならない方のほうが多いと思う。ただ、他社のクレジットカードの場合、カード会社が保有する顧客情報と「楽天銀行のカードを使って楽天で買い物をする」という顧客情報とでは、カード会社が得るであろう顧客情報の量が違うはずだ。

 他のカード会社は、購入金額や購入先の情報は提供されるだろうが、1回の取引で完結するはずだ。ところが楽天銀行の場合、購入金額や購入先だけではなく、何を購入したのか?という情報まで得るコトになる。それでなくても、1日の内に楽天から様々なセールのメールが送られてくる。当然送られてくるメールは購入履歴などのデータを元に送られてくている。
 そう考えると、楽天は「樂天銀行」の顧客を増やすだけではなく、顧客の消費行動(というと大袈裟に聞こえるかも知れないが)だけではなく、顧客の「お財布の中身」まで、囲い込もうとしているのでは?という、見方もできるのではないだろうか?

 本来買い物というのは、自由で自分のお財布と相談することはあっても、売り手側に必要以上の情報を提供する必要の無いものだ。確かにマーケティングという視点で考えれば、楽天のように顧客の様々な情報を得ることで、多面的で複雑な生活者の「姿」を分析しやすくなる、という部分はある。まして「銀行」という個人のお金の動きを情報として得るというコトは、他社にはない強みとなるはずだ。だからと言って、「振り込み指定金融機関」を「樂天銀行」に移行させる様に出店ショップにするのは、何となくビジネスとしてフェアではない様に感じるのだ。

 当然のコトながら、この「樂天銀行への移行」というご案内が掲示されたショップでの買い物を、商品云々ではない部分で、「買い物をしたくないな~」と思っている。