最近、バターが不足していると、ニュースなどで報じられている。
ニュースになる理由は、ご存じの通り「クリスマスケーキ」の需要に、バターの生産量
が追いついていない、という点にある。
ニュースなどで報じられる「バターの生産が追いつかない」理由の一つが、「生乳の生産
量の低下」というコトをあげられるコトが多い。
確かに、「生乳」から最初に作られる「乳製品」は、「牛乳」だ。
その「牛乳」そのものの消費は、微減という状態にある。
(農林水産省 「最近の牛乳乳製品の情勢について 平成26年11月版」より)
これまで、学校給食には必ずと言って良い程「牛乳」が提供されてきたが、最近の米飯給食が増えてきたこともあり、学校給食でも「牛乳」を取りやめる傾向があるという。
他にも、「牛乳は体に悪い」という噂などもあり、ますます「牛乳離れ」傾向が強くなっているのかも知れない。
ただ、それだけが大きな理由ではなさそうだ。
先日、FM番組でも取り上げられていたのだが、今回の「バター不足」の背景には、昨年の猛暑も関係しているという話を、酪農農家さんがインタビューで答えていた。
確かに昨年の夏は、猛暑だった。私などは10月末前半袖のポロシャツで過ごしていた様な気がする。11月に入っても、紅葉の便りが聞かれず、下旬にいきなり冬になった様な記憶がある。
実はこの「異常気象」が、「牛乳」の素であり「バター」の原料になる「生乳」を作り出す乳牛に大きなダメージを与え、中には猛暑で死ぬ乳牛もいたという。
それに加えての「牛乳離れ」が追い打ちを掛け、「牛乳」や「生乳」の価格を下げる結果となり、酪農そのものを辞める生産者が増えた、というのが、今回の「バター」不足を招いている、ようなのだ。
一般的に報道される「牛乳離れ」による酪農家の減少だけではない、というのが本当の様だ。
ただ、一般的にニュースとして取り上げられるのは、「牛乳離れ」→「酪農家の減少」→「バター不足」という内容がほとんどだ。そこに、昨年の猛暑があり、乳牛そのものが減ってしまっていた、というトコロまでの情報は余りない。
もし「昨年の猛暑による、乳牛の減少」という視点で、「バター不足」が報じられたとすれば、「地球温暖化」などの「自然環境とバター」という、一見何の関連性もなさそうな問題が、クローズアップされてくる。
「バター」の生産量を増やすため(?)には、「牛乳」の消費を増やすことも重要になってくるが、と同時に「自然環境」という視点で考えて見る必要もあるようだ。
本当においしい牛乳というのは、乳牛が幸せな環境で育つことが大切だという話は、以前拙ブログでもエントリさせて頂いた。
それは言い換えれば「おいしいケーキを食べるためには、おいしいバターが必要で、そのおいしいバターは、豊かな自然環境の中で育った幸せな乳牛が作るおいしい牛乳から作られる」ということになると思う。
「牛乳離れがバターの生産量の減少」という情報だけでは見えてこない、事柄を知るためにも、一つの出来事に対して複数の情報を得て、その関連性を知るコトが大切なのだ、と感じさせる「バター不足」のニュースでもある。