日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

TPPの農業分野、一番恐れているのは農家ではないかも

2015-02-03 22:24:34 | マーケティング

今日の新聞に、TPPの農業分野についての記事が掲載されている。
TPPと絡んで問題となっているのは、いわゆる「農協改革」だ。
ご存じのように、農業分野について農協などは強く反対をし、「日本の農業が大打撃を受ける」と、言っているからだ。
「TPPで日本の農業が打撃を受ける」というのは、ある程度あたっていると思う。
半面、日本の農産物の品質の高さというのは、世界でもトップレベルなのでは?という気がしている。
事実、農協などを頼らない農業法人などは「TPPなど、怖くない。むしろ海外に自分たちの生産品を売り込む機会だ」と、言うところもあるようだ。

実は、父の病気付き添いのため、1月に2度帰省していた時、TPPの問題を扱ったローカル番組を見て「TPPを一番恐れているのは、案外農家ではないのでは?」という気がしたのだった。
実家のある鳥取県は、いわゆる「農業県」だ。
変な話だが、この歳になって実家から送られてくる「島根の仁多米」や「鳥取の日南米」の美味しさを、知った。
他にも、乳製品やハムなどの加工品など、美味しい加工商品が当たり前のように、スーパーで売られていて、その美味しさにあまり気づくことなく過ごしてきた、ということに気付いたのだった。
その美味しさが日常的なものであり、特別なものではなかった、ということが大きいのだが、帰省のお土産となるものが以前よりバラエティに富むようになり、いろいろなお土産を差し上げるようになったことで、友人たちから「美味しいものが、いろいろあるのですね」と、言われるようになったことが一番の理由だ。

おそらく、日本各地の農業に携わっている方々は、生産されている農作物に対して自信を持っていらっしゃると思う。
そしてそれらを加工する企業も、地元農作物のことを良く理解し、その美味しさを引き出すような加工品をつくっていらっしゃるのではないだろうか。
問題なのは、むしろそのような農作物を売り込むことを知らない、農協や行政にあるのでは?ということなのだ。
というのも、上述したローカル番組で取り上げていた「TPPと農作物の輸出」というテーマで、県の担当者が「どうやって海外の市場に出したらよいのかわからない。戦略が立てられない」と話していたからだ。

この率直すぎる言葉に唖然としたのだが、これまでのように「国の政策」で動き、言われた通りのことしかしてきていないのだから、仕方のないことかもしれない。
TPPの農業分野に限って言えば、日本の農業政策は国内だけ、しかも自分たちの地域だけを見ていれば、あとは国が何とかしてくれた、という状況を一変させるような出来事なのだ。
当然、不安だろうし今まで考える必要のなかったリスクもある。
戦々恐々とするのは、当然かもしれない・・・と思ったのだ。

農業分野におけるTPPの問題は、「日本の農業保護」ということよりも、「日本の農業の未来を描けない」行政や農協に問題があるのでは、という気がしている。