日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

便利と不便は、紙一重?

2015-02-17 20:33:04 | アラカルト

Yahoo!に掲示されるある広告を見ていて、思ったことがある。
「便利そうな機能ほど、使わない」ということだ。
たとえば、アパレルで「リバーシブルで2Wayの着こなし」という宣伝がされている商品は、数多くある。
「1枚で2通りの着こなしができる」というのは、確かに便利でおしゃれの幅が広がりそうな気がする。
ところが、実際にリバーシブルとして2Wayの着こなしを楽しんでいる人は、どれだけいるのだろう?と、疑問になる。
というのも、私自身、リバーシブルとか2Wayの着こなし、と言われる服を買っても、2Wayの着こなしなどしたことがないからだ。
結局、最初に買ったときの着こなししかしてない。

それと同様に、工業製品を中心に「あれもできます、これもできます」という便利機能があるのは、十分わかっているのに使いこなす機能というのは、限られている。
そして、便利機能を使いこなせなくても、不自由はない。
製品能力の50%も使いこなせていない、という方は案外多いのではないだろうか?

今回Yahooに表示されたPCの広告「富士通:ホームセントラルパソコン」も、15インチよりやや大きな画面のPCで、①タブレット②ディスクトップ型PC③フォトフレームの3通りの使い方ができる、という「1台3役」のスペックを強調した内容になっている。
確かに、1台3役というのは、ユーザーにとって魅力的だと思う。
問題は、ユーザーが1台3役という機能を使いこなせるのか?という点だろう。

重たいPCを持ち運ぶことなく、仕事ができる、というのはとても魅力的だと思う。
その意味で、タブレットは便利だ。
流行りのタブレットの大きさでは、不自由を感じている人にとって15in位のというサイズは、見やすいサイズかもしれない。
反面、タブレットという携帯性を考えると、15in位のというサイズは、大きすぎる。
「携帯性」という部分では、A4サイズ以下が望ましいだろうし、軽さも重要なポイントになってくると思う。
しかしディスクトップPCとして使うのには、15inというのはやや小さい。
最近のディスクトップの画面の大きさは20inくらいが主流になっていることを考えると、画面の小ささ感はぬぐいきれないと思う。
据置型ノートパソコンと思えばよいだけの話かもしれないのだが、その割にはデザインがディスクトップに近い。
ディスクトップパソコンの操作性とノートパソコンの携帯性を両立させた、ということかもしれない。
フォトフレームという点で考えると、PCのような機能は必要ではない。
むしろシンプルで操作性のわかりやすいモノのほうが、世代を問わず使いやすいのでは?
何より、フォトフレームにどのようなニーズがあり、どのような人が使っているのだろう?と、考えるとこのPCユーザーと合致するのだろうか?と、疑問に感じてしまうのである。
そう考えると、便利さを追求した結果「どっちつかず」の商品になってしまったのでは?という気がしてくるのだ。

このような「便利さを追求した結果、どっちつかずの商品」というのは、上述した通り案外多いと思っている。
ユーザーと作り手(多くの場合は、企業だが)との間で「便利さ」という意味のズレが、このような商品を作ってしまっているのでは?
「数多くの商品に囲まれて生活をする」という生活スタイルは、今や時代遅れの感はある。
なんといっても「断捨離」の時代なのだ。
だからと言って、一つの商品に様々な機能を付加して「一つに集約し、便利さを売る」というのも、違っているような気がする。
むしろ、ユーザー側となる生活者自身が「シンプルなモノを組み合わせる」という「便利さ」を求めているのではないだろうか?

そんなことを考えてしまう「便利機能満載PC」のインターネット広告だった。