日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

文化は人種ではなく、社会や風土、宗教などがつくるモノでは?

2015-02-15 20:18:43 | 徒然

産経新聞に掲載された、曽野綾子さんのコラムが問題になっているらしい。

毎日新聞:産経新聞 曽野綾子氏コラムにNPO法人が撤回求め抗議文

曽野綾子さんのコラムを読んだわけではないので、その感想は控えさせていただくとして、問題として取り上げられている「アパルトヘイト」に対する認識に、ビックリした。
何より、作家という職業でありながら「人種の違いが文化の違い」という趣旨のことを、コラムで書いていることに驚きを感じたのだった。

「アパルトヘイト=南アフリカにおける人種隔離政策」については、改めて説明をする必要はないと思う。
それだけではなく、アフリカ系黒人の人たちが世界の様々な国で受けてきている、差別は拙ブログなので説明をするまでもなく、過酷で悲しい出来事ばかりだ。
「自由の国・アメリカ」ですら、いまだに黒人差別は残っており白人警察官が黒人の青年を射殺する、という事件(というべきか)は後を絶たない。
黒人であっても、オバマ大統領のようになれる可能性を秘めているのがアメリカという国だが、反面その可能性への道にたどり着けない黒人やマイノリティーの人たちが、たくさんいて、その人たちの多くが経済的、社会的差別を受けているという事実も知る必要があるのではないだろうか?
それでも、アメリカという国が大きく成長し続けることができた理由の一つが、「様々な人種を受け入れ、その中から生み出される多様性のある文化や価値観」があったからだと思う。

曽野さんのいわれる「居住区域を人種で分ける理由=文化の違い」としてあげていることは、むしろ「(その人たちが持っている)社会的価値観や、育ってきた風土・習慣、宗教」に影響されているのではないだろうか?
たとえば、世界に12億人の信者がいる、と言われているイスラム教にしても、イスラム教の信徒さんは何も中東の人たちだけではない。インドネシアなどのアジアにも数多くの信徒がいて、イスラムの教えに従い生活をしている。
中東圏の人たちを黄色人種という人種と考えるかどうかは別にして、インドネシアの人たちは、アジア人(=黄色人種?)となるのではないだろうか?
これは一つの例に過ぎないが、人種の違い=文化の違いではない、ということを端的に示していると思う。

実は、曽野さんに関しては、ここ2,3年ある種の違和感というか「今の社会を知らないのでは?」と、感じることが何度かあった。
特に、「女性の社会進出」ということに関しては、とても冷たいというか、随分古臭い感覚の持ち主だという印象がある。
それだけではなく、なんとなくアジアをはじめとするこれから成長を遂げようとする国の人たちに対して、一種の蔑視感があるようにも受け取られる発言が見受けられ、このような人が退任したとはいえ「日本財団」という大きな社会支援団体の代表を務め、今は安倍政権を支える一人といわれている(らしい)ことが、日本にとってマイナスイメージのような気がするのは、私だけだろうか?