日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

サイボウズのCMが問いかけるモノ

2015-02-14 20:59:27 | CMウォッチ

日経新聞のWEBサイトをチェックしていたら、サイボウズのCMについての記事があった。

日経新聞WEB:涙がとまらない「働くママCM」 サイボウズの意図

実際のCMはこちら→働くママたちに、よりそうことを。

このCMが問いかけていることは、働くママたちではなくむしろ働くパパや経営者に向かってのメッセージなのだと思う。
「女性が働く」ことが、当たり前になってきたのは実はここ30年ほどのコト。
実際私が就職したころは、「女子は、2,3年で寿退社をしてもらう」というのが、普通だった。
「女性が働く」ことは、当然だが2,3年で退職してもらいある一定年齢の女性が働く、というコトが一般的だったのだ。
それが「男女雇用機会均等法」ができたことで、女性の働く期間も時間も増えた。
この時の考え方は「女性も男性と同じように働ける機会を均等にする」というコトだった(ように思う)。
しかし、女性には「出産・子育て」という時期がある。
「出産・子育て」を考えずに、「男性と同じように働く」ということは、無理な話。
逆に「出産・子育ての時間を大切にしたいなら、(寿退社ができる)一般職で働いてください」と、企業や産業界のメッセージと受け取った女性も多かったのではないだろうか?
その「ツケ」が、ある意味出生率という数字であったり、専業主婦にあこがれる「若い女性の保守化」に結びついているのではないだろうか?

企業も産業界も「等身大の子育てをしている働く女性」を、見て見ぬふりをしてきたのだと思う。
それが、昨年安倍さんが打ち出した「女性が輝く社会」という言葉で、「女性の社会進出」の後押しがあって、改めてクローズアップされてきたように感じる。
その一つの例が、この1月から始まった「子育てに奮闘する父親」を扱ったドラマなどに、見て取れる。
数年前であれば、おそらくドラマの主人公は「子育ても仕事もパーフェクトにこなす、スーパーママ」だったと思う。
それが、「自称イクメン、子育て中の妻から見たらダメイクメン」という設定になっている。
ということは、社会全体の認識が「育児=女性(妻)」から、「育児=夫婦」となる時期が来ている、というコトのように感じている。

であれば、企業や経営者は「数年先どんな働き方ができる企業になる必要があるのか」ということを、今真剣に考える必要があるのではないだろうか?
それはこのCMにあるような「働くママ」だけではなく、「介護をするママ」にも通じるところがあるのではないだろうか?
女性側からは何度も出ている声ではあるが「働き方を変えるのは、女性ではなく男性」なのでは?
おりしも、高収入の専門職に対して「自己裁量による働き方」の本格的法整備が始まる、というニュースがあった。
「企業が働き方を決める」のではなく、「個人が働き方を決める」ということは、一見良いことのように思える。
ただ、その前提にあるのは「企業側が求める成果を出すための自己裁量」ではなく、「ライフステージと個人の考え方を優先させる自己裁量」なのではないだろうか?

「働くママ」も「介護をするママ」も、女性や特定の人が孤軍奮闘して支える経済は、決して豊かな社会ではないと思う。