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東北発のビジネスモデルが、注目され始めている

2015-02-18 22:24:20 | ビジネス

朝のFM番組を聞いていて、以前から気になっていたモノがある。
「東北食べる通信」という、食べ物付情報誌だ。
東北食べる通信HP

この「東北食べる通信」という、食べ物付情報誌が創刊されたきっかけは「東日本大震災」によって、被害を受けた東北の漁業関係者を力づけることだった。
ネットやメディアだけの情報では、「今の東北を知ってもらうことは難しい」ということと、東京電力による「フクシマ事故」によって東北一円の漁業が「放射能に汚染されているのでは」という、ある種の風評被害をなくすコトを目的に創刊された、と聞いた覚えがある。
確かに、震災直後に起きた「フクシマ事故」によって、一時は「東北全体が、放射能に汚染された」というイメージがあったこともあった。
その「放射能汚染」のイメージは、沖縄へ青森からの「冬の贈り物」として届けられた雪が汚染されているのでは、と本土から放射能疎開をしてきた人たちに声によって破棄された、ということまで起きた。

そんな状況が続く東北の漁業や農業を何とか復興させようと、創刊されたのが「東北食べる通信」だ。
この「東北食べる通信」のユニークな点は、上述した通り「食べ物付」という点だ。
ちなみに、昨今流行りの「おまけつきムック本」のように、「おまけ」として「食べ物が付いている」というわけではない。
「食べ物」のコトを十分知ってもらうために、情報誌と一緒に販売をしているのだ。
取り上げる食べ物も、「震災被災地の物を買ってください」という気持ちではなく、「東北にはこんなにおいしい食べ物があるんですよ!」という自信を持って情報を発信しようとしている。
それは、生産者と生活者を「美味しいモノで結び付けよう」とする、あたらしいビジネスモデルでもある。

だからだろう、この「東北食べる通信」の成功を受け、兵庫や加賀能登など各地の「食べる通信」が昨年暮れあたりから出始めた。
あくまでも個人的な予想だが、おそらくこの「食べる通信」というビジネスモデルは、地方の第一次産業を活気づける一つの力になるのでは?と考えている。
というのも、今まで地方の第一次産業が一番弱かった部分というのが、自分たちから情報を発信するという点だったからだ。
たとえ一般情報誌などに紹介されても、その美味しさを体験できなければ、「美味しそうだな~」という創造の部分だけで終わってしまう。
それが生産者や生産地域の情報とともに、食べ物が付くことによって、受け手となる生活者は「体験」ができる。
その「体験」が、次への購買へと結びついてくる。
「農業の6次産業化」とは別の活性化策だと思う。
その意味で、注目されるビジネスモデルなのではないだろうか。