日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

期限切れよりも影響の大きかった異物混入?-マクドナルド-

2015-02-05 20:38:47 | ビジネス

新聞各社のWEBサイトのニュースをチェックしていると、マクドナルドの売り上げ減が止まっていない、という記事が目に付いた。
日経新聞では、この売り上げ不振が日本に限ったことではなく、世界規模であるという記事を掲載している。
日経新聞:マクドナルド、客離れ止まらず 世界で不振に直面

日本の場合昨年夏に起きた、使用期限切れ鶏肉の使用が中国で起きた時も相当の打撃があったと思うのだが、むしろ昨年暮れから続いた異物混入のほうが、影響が大きいのでは?という気がしている。
客離れの発端は、もちろん使用期限が切れた鶏肉問題だったと思う。
この使用期限切れの鶏肉は、日本にはほとんど入ってきていなかった、ということもあり、第一の客離れの波としてはそれなりの影響はあったと思う。
それに比べ、昨年暮れに続いた異物混入は、国内で起きた出来事だったこともあり、国内のマクドナルド利用者からすれば、ショックが大きかったのではないだろうか。
しかも、混入した異物そのものが普通では考えられないような物もあり、マクドナルドの店舗での衛生管理だけではなく、製造過程や輸送過程に対しても、不信感を招く結果になったのではないだろうか。

昨年起きた、異物混入は客離れの第2の波で、その波はマクドナルドが予想するよりも大きなモノだったのではないだろうか。
まして、異物混入が発覚したとき、日本での責任者であるカサノバ社長が会見を行わなかったことも、客離れを招く結果になったような気がする。

そのカサノバ社長が、今日会見で「信頼回復を最優先」ということを話したようだが、個人的には「時すでに遅し」という気がしている。
なぜなら、日本の場合企業の不祥事というか市場から信頼を失うような出来事が起きた時、真っ先に頭を下げるのが社長の仕事だからだ。
そこで「社長が出張のため会見に臨めません」という理由で出席しなかったことは、「企業として、事の重大性を認識していないのだな」という印象を生活者に与えてしまったようなものなのだ。
たとえ、ビデオメッセージでもなんでも、その場で何等かのメッセージを発信する、ということが責任者として必要だったのではないだろうか。

もう一つ、同じ日経新聞に「マクドナルドの客離れは、不祥事よりも根強い固定ファンの減少」という記事がアップされている。
こちらの記事はWEB会員のみが読める記事なのだが、見出しを見て「そうか!」と気が付いたのだ。
マクドナルドが日本に上陸して、早40年以上。
固定ファンそのものが、高齢化(というと変な感じだが)し始めている、ということは考えられないだろうか?
今の若年層にとって、ファーストフードの選択肢は数多くある。
おしゃれなスタバやタリーズといったカフェや、サブウェイのような健康を打ち出しながら、自分でトッピングやソースが選べるファーストフード・・・その中の一つとしてマクドナルドがあり、マクドナルドでなくてはならない、という理由が減ってきている。
それに対して、40代以上のマクドナルド第一世代(というべきか?)は、お腹まわりが気になり始めた「健康に留意する世代」になってきている。
マクドナルドではなく、栄養バランスを考えた食事を自分で選べる「定食屋」で食べるようになってきたのでは?

「ファーストフードの雄」であったマクドナルドの不振というのは、様々な意味と理由が重なりあっていて、それを立て直すということは、とても厳しいことのようにも思える。