「イスラム国」に捕えられていた、ジャーナリスト後藤健二さんが「取引の時間を過ぎた」という理由で、惨殺された。
その前には、湯川遥菜さんも殺害されている。
決して許されることのない、行為であることには間違いないと思う。
お二人のご冥福をお祈りしたい。
この事件で、クローズアップされた人物がいる。
現在ヨルダンに拘束されている、リシャウィ死刑囚だ。
この女性の公開されている、プロフィールを見て気が付いたことがある。
イラク戦争で、家族を失い米国に対して憎しみを持ち、イスラム過激派に賛同し自爆テロに参加した、という点だ。
リシャウィ死刑囚は、その後「夫とは、自爆テロの直前に結婚をさせられ、無理やり自爆テロに参加させられた」とも、話しているようだが、本当のことはわからないままだ。
女性が過激派に参加し自爆テロを行う場合、家族を戦火で失ったことをきっかけとしている傾向がある、ように感じている。
家族を失った悲しみが、憎しみへと変わり、自爆テロに参加をする、ということだ。
そして、この「イスラム国」が起こった背景の一つに、「イスラム戦争」があるという指摘がある。
ご存じの方も多いと思うのだが、この「イスラム戦争」は、アメリカが始めた戦争だ。
その始まったきっかけは、イランのサダム・フセインが大量破壊兵器を隠し持っている、という理由でアメリカ主導で始まった戦争だ。
しかし、肝心の「大量破壊兵器」などは見つからず、この「大量破壊兵器」の情報を提供したとされる人物の、狂言であったということが確認されている。
情報提供をした人物の狂言から、全く関係のないイスラムの人たちの命が奪われることになり、それが「憎しみの連鎖」を引き起こした、と考えれば、あまりにも悲しく、むなしくなる。
この時、米国大統領だったのが、ブッシュ大統領であり、ブッシュ大統領の支持者には米国の主要産業である武器製造にかかわる企業がいた、ということは随分前から指摘をされている。
もう一つブッシュ大統領と言えば、「イラク戦争」を始めたブッシュ大統領の父・パパブッシュもまた中東で戦争を始めている。
「湾岸戦争」だ。
この「湾岸戦争」が始まる前まで、比較的友好的な関係であったのがサダム・フセイン。
そして、「同時多発テロ」を引き起こした、イスラム系過激派「アルカイダ」もまた、親密な関係を持っており、「湾岸戦争」をきっかけに反米へと転じたといわれている。
そう考えると、中東の過激派はブッシュ親子によって、勢力を拡大し今日のような姿になっていったのでは?という、部分もあるのではないだろうか?
「日本の平和は、アメリカの核の傘の下で守られてきた」と、言われることもあるが、本当にそうなのだろうか?
少なくとも中東地域では、日本はアメリカの核の傘の下ではなく独自の平和主義の考えがあったからこそ、自爆テロなどに巻き込まれることがなかったのではないだろうか?
その一つに、後藤さんなどが発信し続けた「戦争の一番の被害者」である、市井の人たちの姿を世界に発信するジャーナリストたちの活動があったのではないだろうか。