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医療の進歩と「患者力」

2015-02-11 21:39:07 | 老親介護

父が心筋梗塞で、緊急入院をし今日やっと退院することができた。
とはいうものの、実はこれからが大変で、病院に入院をしている間は看護師さんがケアをし、管理栄養士さんが食事面での世話をしてくれていた。
退院後は、独居の父を中心に家族がケアをしていなくてはならない。

一般的に「病気が治る」というと、「風邪が治る」とか「腹痛が治る」というイメージだが、「心筋梗塞」など「慢性疾患」は、再発リスクを下げるために退院後の自己管理がとても重要で、「心筋梗塞」の場合、薬を飲んだり「心臓リハビリ」などをしなくてはならず、その意味では「一生付き合う病気」だと言える。
残念なコトには、父にはそのような意識はないようだ。
その為、家族が意識をし父のフォローをする必要がある。

最近、「患者力」という言葉を聞くことがある。
実は癌などの病気は、医学の進歩により、「死ぬ病気」ではなく、「長期間付き合う病気」になってきている。
そして症状の変化があるたびに、患者や患者家族がその治療について、選択をする必要がある時代になってきたのである。
その背景にあるのは、「患者のQOL(=生活の質)の重要性」があると言われている。
「生活の質」というのは、個々の患者によって違う。
そして、症状や容体によって目指すところも違う。
だからこそ、患者や患者家族が治療の選択をする必要がある、というコトになるのだ。

もちろん、医療者側からは「インフォームド・コンセント」といわれる、治療に関する説明を受けるのだが、その内容は患者にとって簡単に理解できるモノではない。
説明をする医療者側は、わかりやすい説明をしてくれているはずなのだが、難解な医療用語や薬剤の名前など、理解するには難しく、判断をするにも患者側の判断材料そのものが少ない、というのが現状だと思う。
そのようなこともあり「患者力を付ける」必要がある、というコトが言われるようになってきたのだ。

私自身、5年前「乳がん」と告知をされ手術を受けたのだが、その当時は「患者力」などという言葉も知らず、ただひたすら「最悪の状況を想定し、最善の選択をしなくては」という思いだけで、精密検査中から著名な乳腺外科の先生が書かれた本を読み漁り、逐次自分が置かれている状況を把握するのが精いっぱいだった。
ネットなどでも情報を得ようとしたのだが、ネット上に展開されている「乳がん情報」の多くは、闘病記や胡散臭い民間療法で私には役立たなかった。むしろ、それが良かったようで、精密検査中から今現在に至るまで、担当医に質問攻めをするくらい質問をし、専門医からの最新情報を集めるコトができている。
あとで知ることになったのだが「担当医にわからないコトを質問し、自分の病状を理解する」ということが、「患者力の第一歩」のようだ。

そもそも「患者力」とは何か?というと、「病気と向き合い、最良の選択をするための医療者とのコミュニケーション力」のことだと、私は理解している。
とはいえ、私の主治医だけではなく父の主治医も、大変多忙なため「3分診療」が当たり前だ。
その中で「コミュニケーション力を高め、自分が必要としている情報を主治医から引き出し、難解な医療用語を理解する」というのは、至難の業。
そこで、様々な知恵と工夫が患者側に必要となってきている。
それらの知恵と工夫が実は、医療の質を上げるコトになるようだ。
そのためには、医学の進歩だけではなく患者自身も、積極的に参加する必要がある。
なぜなら医療を受けるのは、医療者側ではなく患者側だからだ。
患者側が「こうして欲しい。説明がわからない」など言わないと、医療者側はわからないからだ。
そんなことを実感した、父の緊急入院だった。

以前、医療ジャーナリストの方から伺った、「患者力をあげる5つのポイント」を紹介したい。

1.不安や疑問があった時は、再予約をしても聞くようにする
2.大切な面談(検査結果を聞くような時)は、家族や友人と一緒に聞く
  もし、一人で行く場合は、レコーダーなどに録音をする
3.聞きたいコトは、5つ程度のポイントにまとめ、メモにし診察時に見せるようにする
  診察の予約の順番を一番最後にしてもらい、担当医に時間を作ってもらう
4.自分の希望や考えを伝える
5.医師の目を見て話す
  もし、目を背けるような担当医であれば、「○○先生」と呼びかてでも自分に向かせる

5に関しては実行したことはないが、1~4までは私自身も診察時に行っているコトで、参考になればと思っている。