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いろいろな意味で「もったいない!」滋賀県庁のココイチ鹿肉カレー撤退

2016-05-03 12:37:58 | ビジネス

Yahoo!のトピックスに、滋賀県庁の敷地内で販売をしていた「ココイチの鹿肉カレー」が、県庁側の申し入れで販売ができなくなった、という記事が取り上げられていた。
産経新聞(WEST):シカ肉ココイチ、県庁敷地はダメ 店側は「営利目的ではないのに・・・」

カレーチェーンの「ココイチ」だが、すべてのメニューがフランチャイザー側の「Coco壱番屋」に管理されている分けではないらしく、名古屋の大須近くにある「ココイチ」では「八丁味噌カレー」なるモノがある。
お店の張り紙には「大須店オリジナル」と書いてあったコトから、「オリジナル商品」の開発・販売を認めているだと思う。
そのようなカタチで、この「シカ肉カレー」は、メニュー化されたものだったのだろう。
もちろん、「Coco壱番」には事前に了解を得て、メニュー化はしているだろうが、このようなローカルメニューがある、ことは地元ファンだけではなく、全国の「ココイチファン」にとっても、「訪れてみたい」という気持ちにさせるだろう。
その視点で考えれば、「シカ肉」を活用した地域活性化の切っ掛けを、「ココイチ」が作りかけていたのではないだろうか。
何より「滋賀県庁に用事はないが、ココイチのシカ肉カレーを食べてみたい」と言う人たちが、滋賀県を訪れるようになったかもしれない。
そのような「経済的効果」ということを考えなかったのだろうか?

それだけではなく、今回の「シカ肉カレー」は、農作物を荒らすニホンシカの駆除後の使い道としても、地域からの情報発信力があったのではないだろうか?
というのも、全国各地で「農作物を荒らす」という理由で、駆除される鳥獣を「ビジエ料理」として活用しよう、とする動きが出てきているからだ。
特定非営利活動法人 日本ビジエ振興協議会

これまで農作物を荒らす、という理由で駆除された動物などは「廃棄物」として処理されるか、イノシシなどは「ボタン鍋」などで食べるくらいだった。
しかし、ヨーロッパなどでは「ビジエ料理」として、人気が高くメニューそのものも豊富だ。
一番の問題とされてきた「駆除された動物の処理」という点でも、処理ができる技術を持った施設を認定し、認定された施設で処理された野生鳥獣のみが流通できるような仕組みも整いつつある。

そう考えると、ココイチのシカ肉カレーは「ジビエ料理」というほどではないが、「ジビエ料理」を知る切っ掛けとなったかもしれない。
それだけではなく、滋賀県の新しい農畜産業の一つとして「ジビエ料理の加工」という産業が生まれたかもしれないのだ。
このような産業振興こそ、県の仕事ではないだろうか?

確かに行政側の規則や規定は、大切だと思う。
しかし、視点を変えれば農作物を荒らすニホンカモシカを、官民一体で「地域振興として活用する」のチャンスを逃してしまったような気がする。
そして「逃した魚(=地域振興策によってもたらされる経済効果)」は、大きかったのでは?