日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「再生可能エネルギー」の駆け引きが始まった

2021-05-16 22:52:11 | ビジネス

毎日新聞のWEBサイトに、英国が石炭火力全廃をG7で提案をする、という記事があった(有料会員向け記事なので、全文を読むことはできない)。
毎日新聞:英国がG7で石炭火力全廃提案 気候変動で「日米リード」に黄信号

G7だけではなく、様々な国際会議などの話題の中心となりつつあるのが、おそらく「再生可能エネルギー」についての話なのでは?と、考えている。
何故なら、「再生可能エネルギー」の問題は、SDGsという面だけではなく「エネルギー産業の主導権」という面があるからだ。
これまでの様に、石油産出国依存からの脱却という点もあると思うが、むしろ「再生可能エネルギー」の技術獲得によってもたらされる「国益」という側面のほうが大きいのでは?という気がしているからだ。

実は、毎日新聞のこのスクープ記事の前日、日経新聞が興味深い記事を掲載していた。
日経新聞:ゲイツ氏ら注目の核融合発電、京大初スタートアップ挑む

電氣新聞:京大初の核融合発電スタートアップ。実用化にらみ開発加速

見出しにある「核融合」という文字を見て、原発を思い浮かべた方も多かったと思う。
私も「原子力発電」のようなものなのでは?と、思ったのだが、どうやら全く異質のもののようだ。
パーソナルテクノロジースタッフ:【地上に太陽を作る】核融合発電でエネルギー実用化に挑む企業たち

大きな違いは「放射性物質を使わない」ということだろう。
とは言っても、太陽光発電や風力発電のような「自然エネルギー」を利用した発電ではないため、リスクが「0」ではない、という点を知っておく必要があるだろう。
何より、施設そのものが巨大で安全性の高さが求められる、という点ではまだまだ研究段階の「未来のエネルギー」ということになると思う。

ただ、太陽光発電や風力発電の様な「自然エネルギー」の場合、電力の安定供給という問題点の解決には、程遠い状況である、と言っても過言ではない。
それだけではなく、太陽光発電を闇雲に設置したため景観を大きく損ねる、台風や豪雨により太陽光パネルが壊れても、事業者が改修・修理、あるいはパネスそのものを取り外すなどの対応が十分ではない、という問題も起きている。

とはいうものの「東京電力福島第一原子力発電所事故」後、日本では「原子力発電」の問題点を重視するようになってきている。
一つは地震などの自然災害が頻繁に起きる日本向きではないのでは?という点と、不要となった核燃料の処理施設という問題だ。
特に「不要となった核燃料の処理施設」の問題は、「原子力発電所」が稼働した時から解決されていない問題でもある。

おそらく諸外国のエネルギー事情も、似たような状況なのでは?と推察すると、この「核融合発電」に対する期待が高まるのは当然なのかもしれない。
その中でも「プラズマ研究」については、日本の複数の大学で行われている(はずだ。身近なところでは名大でもプラズマ研究を進めている)。
産学協同で進めるにしても、膨大な研究・開発費用の調達ができるベンチャー企業の存在が、今後の「エネルギー産業」の主導権をとるのでは?ということは想像できる。

果たして、この「新しいエネルギー産業」の駆け引きの行方はどうなるのか?
その駆け引きの如何によって、日本経済の浮沈にもかかわってくるような気がしている。