日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「100均ショップ」が変わろうとしている

2021-05-01 19:59:23 | ビジネス

ファッション専門誌・WWDJapanのサイトに、少し驚くような記事があった。
WWDJapan:ダイソーがフランス製ネイル2ブランドを展開 ジェルネイル風の豊富な86色や除光液不要のネイル

ダイソーというのは、100均ショップの先駆けとなった大創のことだ。
これまでダイソーをはじめ、100均ショップを展開している企業の多くは、オリジナル商品の開発をし製造は中国やアジア諸国の新興国で行ってきた。
新興国で製造する理由は、ご存じの通り「人件費が安い」からだ。
もちろん、日本国内で製造されている文具などもあるが、ほとんどの商品は新興国で生産されている。
「100均」で商品が提供できるのは、そのような「人件費」が安いところで製造しているからなのだ。

それが「フランス製のネイルを販売する」というニュースは、驚きと共に意外な印象を持ってしまう。
確かにダイソーは今年に入ってから「100均ショップ」ではない、新しい業態の小売店の展開を始めた。
ダイソー:新業態「Standard Products」オープンのお知らせ

この新業態のショップが開店した時には、「無印良品そっくり」等と言われた。
価格的には、もちろん無印良品よりも安価とはなるが、既に「3Coins」という「300円均一ショップ」やデンマークの雑貨店「フライングタイガーコペンハーゲン」が、ライバルショップということになるだろう。

確かに「シンプルな商品」をコンセプトに展開をする、という点では「無印良品」に近い気がするのだが、今回のフランス製のカラフルなネイルを取り扱うということを考えると、「フライングタイガーコペンハーゲン」に近いような気がする。
何故なら「フライングタイガーコペンハーゲン」の主な客層は、高校生~大学生、OLという若い層だ。
そしてオシャレにも敏感で、カワイイ・カラフルと言ったココロがウキウキするようなコトが、大好きな層でもある。
とは言っても、お金をかけるわけにはいかないので、価格が手ごろで様々な商品が気軽に楽しめる、ということが購入の動機となる場合が多い。

これまでの「100均ショップ」では、取扱商品そのものは多い反面客層を絞るという点では、難しかったはずだ。
それは他の「100均ショップ」でも同じなのだが、他社に比べ「様々な客層に対応できる品ぞろえ」という点が、ダイソーの強みだったように思う。
そのような客層はダイソーにとって大切な客層なのだと思うのだが、ここ2,3年で試してきた「女子学生(女子高校生か?)と考えた商品企画」のヒットがあり、それを自信に「脱100均ショップ」というイメージを打ち出したいのでは?というの様に感じるのだ。
そして「フランス製ネイル」そのものは、ドラッグストアーなどで販売されているネイルよりも安価にするために、量などは少ないかもしれない。
その「量が少ない」というのも、「色々試してみたい」という高校生や大学生、OLの需要を見込んでの展開であろう。

新しい顧客層の獲得と旧来の顧客との棲み分け、これまでの「100均ショップ」では体験できないオシャレさ…100均ショップそのものが、変わろうとしているように思えるのだ。