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「緊急事態宣言」発令中のチグハグな政策が、周回遅れの日本経済に打撃を与える

2021-05-28 20:13:56 | アラカルト

6都道府県に出されている「緊急事態宣言」の延長が、ほぼ確定となったようだ。
多くの人が指摘をしているが、今回の「緊急事態宣言」は延長を繰り返すばかりで、「いつになったら緊急事態宣言が修了するのか?」という、疑問が起きている。
むしろ「緊急事態宣言慣れ」のような事も起きつつあるのでは?という、気がしている。

昨年の春の「緊急事態宣言」では、小中高学校から大学まで「休校」になり、代わりに「オンライン授業」が行われていた。
今でも大学などでは、「オンライン授業」が継続中のようだが、小中高校は「休校」ではなく、通常通りの授業が行われている。
そのこと自体、問題だとは思ってはいない。
何故なら、学校で発生したクラスターの多くは、通常の授業の中ではなく部活の合宿や寮などで発生しているからだ。
「生活を共にする」ことで、クラスターが発生したと考えれば、通常の授業中は窓を開け・換気をするなどの対策で、ある程度は防げる、ということが分かってきたからだ。

同様に、百貨店なども「デパ地下」等での営業は継続しているし、企業も昨年のような「リモートワーク」から通常の出勤スタイルに戻っている企業も多いはずだ。
少なくとも、朝の通勤電車などを見る限り「コロナ禍前」の出勤風景が戻り始めている、という印象を持っている。

にもかかわらず、国からの要請で「閉館」している施設がある。
「映画館・美術館・図書館」等だ。
全ての映画館が閉館している訳ではないが、今回の「緊急事態宣言」により公開が見送られた映画はいくつもある。
特に子ども向けのアニメ映画などは、この春公開予定だったはずが、今だに公開予定が立っていない、という映画もあるようだ。
それよりも不思議なのは「美術館と図書館」の閉館だ。
そもそも、美術館と図書館は収蔵している作品や蔵書の保管の為に、空調設備などは百貨店などよりも厳しく管理されている。
そして来館する人達も、騒ぐような行為はまず行わない。
静かに美術作品を鑑賞したり、本を読んだり勉強をしたりしている。
騒ぐ要素など、一つもないのだ。
にもかかわらず、閉館要請をするのは何故だろう?

何となくだが、これらの施設が「不要不急」と勝手に決めつけられてしまっているのでは?という気がしている。
映画館はダメだが、「新型コロナ対策」をすれば、スポーツ観戦はできる、という基準はどこにあるのだろう?
元々施設の性格上「新型コロナ対策」に近い設備となっているのに、閉館を要請するのは何故なのか?
その理由が、ハッキリしない。

そもそも「不要不急」と言いながら、「オリンピック開催中止」と海外の著名で影響力のある医学雑誌に掲載されるような状況になっているにもかかわらず、「オリンピックを開催することで経済が動く」等と嘯くような事を言ってしまうのは、どんな科学的根拠があるのだろう?

あくまでも個人的な考えだが、オリンピック開催によってこれまでと違う複数の変異株が一斉に発生し、主な感染者が日本人であった場合、経済を動かす人そのものが減ってしまう。
何故なら、実体経済を動かしている人達は、「3密」のリスクを知りながら通勤をしている人たちなのだ。
その人達に「高い感染リスク」をこれ以上負わせる事は、決して日本の経済にプラスとなるとは思えないのだ。
とすれば、国が考えている「不要不急」とは、科学的根拠があり一貫性を持ったものではない、ということになる。
そこに、ダラダラと続く「緊急事態宣言の延長」。

「気合と根性」で乗り越えられなくなってきている今、科学的根拠に基づく一貫性ある政策が一番必要だと思うのだ。