「今更だな~」と思いながらも、検証された結果を読めば納得する、ということは間々としてある。
Huffpostに、そんな記事があった。
Huffpost:富裕層への減税は社会のため?いいえ、富むのは富裕層だけでした。最新研究が「トルクダウン」を否定
この見出しの中に出てくる「トルクダウン」という言葉を、頻繁に聞いたのは「アベノミクス」が話題となり、故安倍元総理が胸を張って「経済政策を打ち出した時」だったような記憶がある。
「トルクダウン」=富裕層に経済的メリットを与えることで、消費が増え、結果として社会全体の経済浮揚策として有効な手法、と言われてきた。
安倍元総理が亡くなられてから、「アベノミクスの失敗」ということが、経済紙などで書かれるようになったが、時すでに遅しの感があった。
日本経済は、この30年でボロボロになり生活者が自由に使えるお金そのものは減り続けている。
理由は、給与そのものが上がっていないからだ。
上がっていないどころか、実質賃金は下がり続けている。
その後を継いだ?現岸田政権においては、もっとひどい状況だ。
経済政策らしきものは、発表されることなく、「異次元」という枕詞が付く「政策」は発表されるものの、肝心な「財源」となると口をつぐんでしまう、という状況が続いている。
そして多くの生活者は「増税以外の方法はないのでは?」と思いつつ、「増税」の言葉もはっきり言わない岸田政権にイライラしている、というのが今の政治に対する社会的な雰囲気なのでは?と、想像している。
Huffpostにある「トルクダウン」という経済の考え方は。決して新しい考え方ではない。
例えば、米国では共和党政治になると、富裕層向けの減税が行われることが多い。
特に、故レーガン大統領の時には、大幅な富裕層向けの減税を行っていた(と記憶している)。
しかし、フランスのトマ・ピケティの「21世紀の資本」によって、富裕層と呼ばれる人たちの多くは、先祖から引き継いだ莫大な資産があり、それを運用することで、より莫大な資産を得るようになっている、ということが分かったのだ。
富裕層の人たちは、元々莫大な資産を持っており、それが雪だるまのように増やしていくことができるが、資産を持たない生活者は増やす原資となるものがないため、「富裕層から税を徴収し、社会保障に充てるなどすることが、社会全体のセーフティーネットとなり、社会全体の経済が潤滑に動きやすい」という、内容だった。
この時既に「トルクダウン」という考えに対して、批判的な論文などがあったはずなのだが、何故か「トルクダウン」という言葉が、経済の活性化の切り札のように、使われていたのが「アベノミクス」だったような気がしている。
にもかかわらず、一時的な株価の上昇などにより、「日本経済が明るい方向へ動き出した」ような、錯覚を起こさせてしまった、というのも事実だろう。
この時所得で豊かになったのは、資産に余裕がある人達がほとんどであり、日本人の多くが信頼をしている預貯金では資産が増えない、ということが分かったのではないだろうか?
岸田総理の無策状況では、経済の回復どころか安定すら危ういのでは?と、感じている。
「異次元政策」を発表するのは、勝手だがその財源となる議論を進めて欲しい。
少なくとも、乾いたぞうきんしか持っていない生活者から、もっと絞れというのだけはやめて欲しい。
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