今週の月曜日は「成人の日」だった。
と言っても、この日各地で行われた自治体の「成人式」の参加者は、18歳ではなく20歳だったようだ。
改めて、理由を説明する必要は、ないと思う。
この「成人の日」に合わせ、サントリーが「成人の日CM」を公開している。
こちらの主人公となる成人は18歳の受験生だ。
サントリー: 【成人の日CM】「大人じゃん・06」(母・フルver.)
サントリー: 【成人の日CM】「大人じゃん・06」(息子・フルver.)
このCMを見て、「#涙腺崩壊」というハッシュタグが付くほど、企業CMとは思えないほどのCMになっている。
と同時に思い浮かんだのが「さすが、寿屋広告」だった。
「寿屋」というのは、サントリーとなる前の企業名だ。
1950年代後半から1960年代にかけ、寿屋の広告を担当していた社員たちは、その後文壇やイラストレーターとして活躍をする人達が集まっていた。
作家の山口瞳や開高健、イラストレーターの柳原良平(「アンクル・トリス」のイラストレーター)、編集者・坂根進らが在籍していた。
POPEYE:伝説のPR誌「洋酒天国」を作った先輩たち。Vol.1
サントリーの戦略として、当時の主力商品である「トリス」を売る、という広告を打つだけではなく、当時まだ馴染みの薄い「ウイスキー」の認知度を上げ、消費を促すという目的があった。
その一つが「洋酒天国」だったのだ。
「トリス」ではなく、日本に「洋酒文化」だけではなく、戦後復興期から高度成長期に「文化」というモノを伝えるツールともなった冊子でもあった。
その意味では、資生堂の「花椿」と同じような、位置づけの冊子だったかもしれない。
このような「文化」を伝える、というサントリーの姿勢はその後「不易流行」という冊子へと繋がり、現在では「不易流行研究所」という、ライフスタイル研究所(現サントリー次世代研究所)となっていく。
このような企業文化を持っているからこそ、季節折々のイベントやライフイベントに合わせ、企業CMが打てるのかもしれない。
かつては「洋酒」が主力商品であったサントリーだが、現在では取り扱う商品は飲料水だけではなく健康食品、洋酒の発酵技術を応用したバイオ技術による植物(「青いバラ」等)の研究等と広がっている。
取扱い商品の幅が広がるにつれ、企業のキャッチコピーも「水と生きる」へと変化していったことで、このようなCMが自然にできるようになったのだろう。
と同時に、日本の経済が低迷する中企業CMが減り、「売るためのCM」ばかりが優先されるようになった。
ここ10数年はその傾向が顕著になってきた気がする。
だからこそ、このようなCMを見ると「あ~、この企業は日々の暮らしの中にある、自社の位置づけを丁寧に伝えようとしているのだな~」と、感じられるのだ。
その意味で、「企業CM」のお手本という気がする。
もちろん、このCMは今週末に予定されている「共通テスト」を受験する、新成人たちへのエールでもあるだろう。
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