昨日の新聞各社の朝刊一面は、昨日の岸田首相の「施政方針演説」だったのでは、ないだろうか?
新聞各社がどの内容について、一面扱いにしているのか?という点を見れば、その新聞の傾向がおおよそ判断できる。
全体的な内容を読んでみると、「総花的」ということになるのでは?という、気がしている。
「施政方針演説」そのものが、「今年の重点項目はこれ!」と、表明している部分があるので、具体性よりも政府としての「今年の方向性」とか「今年力を入れる政策」ということを、表明するのが「施政方針演説」だと考えれば、ある程度総花的な内容になってしまうのは、仕方ないことだと思う。
その中で「そうれって、どうなの?」という気がしたのが、今朝の朝日新聞で伝えている「少子化対策」についてだ。
朝日新聞:「次元の異なる少子化対策を実現」、岸田首相施政方針演説
「次元の異なる少子化対策」として挙げているのが、「子育てに対する予算を増やす=次元のことなる少子化対策」ということのように思える。
確かに、日本は長い間OECD諸国の中でも「国が子どもにお金を掛けない国」と言われてきた。
Eduwell Journal:日本の最重要な国策は、公的教育財源の倍増!
教育関連のサイトなので、見出しなどからも相当積極的に子どもの教育に財源を充てるべき、という論調になってはいるのは割り引いてみても、欧州諸国に比べると、子どもに対する教育費負担割合が私的が多いということが分かる。
就学前教育(小学校入学前)の教育に対しても数値が高いことを考えれば、日本は「子どもに対して教育熱心な国」ということが分かる。
その教育を十分に受けさせたい、と思う反面そこまでの教育を受けさせる事ができないのでは?という、経済的不安から子どもを持つ事に躊躇している親が増えている、とも読み取れるのでは?
OECDの「教育」についてのデータだけを見ると、そのような見方ができるのだが、その一方で「子どものいる世帯構成」は、「両親+子ども2人」である、というデータもある。
逆に言えば、子どもがいる世帯構成はあまり変わってはおらず、変わったのは「未婚独身者世帯が増えた」ということになる、という指摘もされている。
「未婚独身者世帯」が増えた事で、少子化が加速度的に進んだのではないか?という、指摘である。
とすると、「未婚独身者世帯」を減らすことが、少子化対策の第一歩ということになる。
だからと言って、「国を挙げて婚活」等ということではない。
背景の一つには「経済的理由」ということがあるのでは?ということなのだ。
非正規が増えれば、当然経済的な安定は望めない。
「世帯主=男性」である必要はないが、日本の社会はいまだに「男性有利」な社会だ。
「子どもがいる単身世帯」の多くは、シングルマザー世帯であり様々な面で男性よりも不利な経済状態となっている。
そしてこのような状況に陥った場合、日本の社会で言われる言葉は「離婚を選んだ自己責任」という、心無いことばだ。
この「自己責任」という言葉によって、様々な事を諦めている社会を創り出しているのでは?
岸田さんの前に首相をされていた、菅さんは「公助よりもまず自助」という趣旨のことを言われていた。
しかし今の日本経済は「自助」できる程、生活者は豊かではない。
そこに、岸田さんは目を向けて「次元の異なる少子化対策」ということを話したのか?甚だ疑問なのだ。