日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

状況を読めない官僚と政治家

2020-04-03 21:49:57 | 徒然

「アベノマスク」騒動が、収まらない。
収まらないどころか、自ら「火に油を注いでいるのでは?」という気がする案が出てきた。
「二世帯同居の場合は、2枚から増やす」というのだ。
いまだに「マスクの配布」で、生活者の不安が解消される、と思い込んでいることに正直驚くばかりだ。

もう一つ驚いたのは、この「アベノマスク」を提案したのが、経産省出身の官邸官僚だという。
しかも1カ月もあたためてきた「案」だという。
プレジデントオンライン:「2カ月待たせてマスク2枚」世界中がずっこけたアベノマスク騒動

1ヵ月もあたためてきた「案」が、この「一家に2枚のマスク」だとしたら、この官僚は一体「何を見てきたのだろう?」と、不思議に思ってしまう。
それほど、ズレ感満載な「案」であり、「日本の官僚は優秀」と海外から言われていた時代は、遠の昔に終わっていたのだな~と、実感できる話だ(昨日エントリした「経済一流、政治は三流」という文を紹介したが、「政治が三流でも官僚が優秀だから、政治が行えている」という続きがある)。

ただ経産省出身と聞いて、このような「ズレ感満載な案」を自慢げに出してしまうのも、なんとなくわかる気がするのだ。
経産省に入省する人達は、学力的にはとても優秀な人達が多い(と言われている)が、その思考については常々疑問を感じていたからだ。
それは会社員時代、あるセミナーに出席した時のことだ。
講師として招かれたのは経産省の役付きの方。年齢的には私と同世代だったと思う。
そのセミナーの出席者は私以外は、男性ばかりで「女性の活躍」をテーマにしたセミナーだった。
話の内容は、経産省が推し進める「女性の活躍」だったはずだが、講師の方は「まぁ、建前としてはこのような感じですが、女性の活躍は期待していない」という趣旨の話をされたのだった。
根が正直なのか?テーマ内容を理解していないのか?唯一女性の参加者としては、苦笑いしかできなかった、という経験があったからだ。
その後も経産省出身の方お話しを聞く機会があっても、同様に「何だかな~???」という、ズレ感を感じることがあった。

平常時でも「ズレ感」を感じさせるような話をしているのだから、刻々と状況が変化する今のような状況で適切な判断をする能力を期待するのは、難しいのかもしれない。
その「状況判断力」の違いと凄さを見せつけているのが、米・ニューヨーク州のクオモ州知事だろう。
Precious.jp:クオモN.Y.州知事は全米のヒーロー!そのリーダーシップとメッセージが胸に刺さる理由とは?

クオモ州知事のような「状況把握と判断力」があれば、「一家に2枚(単価200円の布マスク。日医会長は、その効果に疑問と言っている)配布」などという、お金と労力ばかりがかかり、その効果には疑問視せざる得ないような「案」を1ヵ月も温めているはずはないだろうし、そのような話に乗ることもないと思うのだ。

今日本にある「危機」とは、状況判断力に欠ける官邸と官僚の存在なのかもしれない。


「アベノマスク」という発想は、政治家を育ててこなかったツケなのか?

2020-04-02 19:21:30 | 徒然

昨日唐突に発表された「一家に2枚のマスク配布」。
当然のことながら、与野党から批難の声が上がっている。
ところが、この発表をした安倍さんは、自信満々らしい。
よほど「エイプリルフールの冗談」のような、政策に自信を持っているのだろう。
時事通信:布マスク1枚200円 全戸配布「スピード感重視」と菅官房長官 新型コロナ

個人的には、ツッコミどころ満載の記者会見だが、総理女房役としては、このような記者会見は仕方ないのかもしれない(と、一応菅さんに同情をしておく)。

この「アベノマスク」に関連する、安倍さんの行動と発言を見ていて、思い出したコトがある。
それは40年くらい前、ハーバード大学の東アジア研究所の所長をされていた、エズラ・ヴォ―ゲル氏の著書「ジャパン・アズNo.1」が、ベストセラーになっていた頃だ。
当時は、日本の自動車産業、家電などは輸出産業の柱となっていた。
今のように「現地法人」による、生産体制が出来上がる前だ。
その頃言われていたことの一つに「日本の経済は一流、政治は三流」という言葉がある。

「経済一流」と言われていたのは、GDPが米国に迫る勢いがある世界第2位だった。
お分かりだと思うのだが、この「経済一流」というのは、上述したような製造業や商社などの日本企業の頑張りがあったからだ。
決して政治家の経済政策によって、GDPが世界第2位という発展を遂げていたわけではない。
その後のバブル経済の崩壊と共に、日本経済は大きく低迷してしまい、30年経った今でも、完全回復とは程遠いのが現状だろう。

そして、その40年くらい前から変わっていないのが、「政治は三流」という点かもしれない。
むしろ40年くらい前よりも、酷くなっているかもしれない。
何故なら、40年くらい前の政治家は今の政治家に比べ、「覚悟」のようなモノを感じさせてくれたからだ。
「金権政治」の代名詞のように言われた、金丸信さんであっても政治家として周囲をたじろがせるような、迫力があった。
決して、「お友達」感覚で政治をしていなかったように思うのだ。
それは安倍さんの御尊父である、安倍晋太郎さんも同じだった。

元々日本人の国民性として、「お上(=政治)をあまり信用していない」という、ところがあると思う。
その一例が、「老後資金、2000万円必要」というニュースだろう。
国が国民の老後の生活を保障するはずの「年金」そのものを信用していないので、「自分で老後の生活費を捻出しなくては!」と考え、今のようなマイナス金利時代にどうやって貯蓄をすれば良いのか?と、頭を悩ませることになるのだ。
かくいう私も「年金」に関しては、まったく信用してはいない。
とても信用できるような話を、一度たりとも聞いた記憶がないからだ。

「利権が絡めば政治家を利用する」ことはあっても、「政治家を信用しているわけではない」というのが、本当のところだとすると、「国民のことを真剣に考える政治家」など育つはずはない。
今の安倍さんのような政治家をつくってしまったのは、国民にも責任があるのかもしれない。


「新型コロナウイルス」経済対策。諸外国と日本の違いは、何故起きるのか?

2020-04-01 21:54:44 | 徒然

「新型コロナウイルス」の感染拡大による「緊急事態宣言」は、まだなのか?という、声さえ出てくるようになった。
「緊急事態宣言」を出したからと言って、どれだけの「拘束力」があるのだろうか?と、疑問に思うところもあるだが、安倍さんにしても小池さんにしても、今年の夏開催予定がされているオリンピック開催ばかりに気を取られ、「生活に不安を抱える人達に対する救済措置」となると、遅々として進んでいない(ように感じている)。

そんな中、Huffpostに興味深い記事があった。
Huffpost:日本型「自粛せよ。しかし金は出さない」で人の命は守れるか。

今現在も、給付金などについては「議論がされている」という状態ではない!ように思われる日本。
当初の金額は、1万2千円だったような記憶がある。
諸外国の補償額が、給与ベースを考えているのに対して、「一人当たり○○円」という、よく言えば「平等補償」、悪く言えば「バラマキ」であり、その額も「明日の生活さえも大変なのに、何故にその額?」と思えるほどの少額だった。
その後「10万円」という額が出てくるのだが、その額の根拠もイマイチ分からず「収入が減った人を対象に」という、一体いつからの「収入が減った人」を対象にしているなど、具体性に欠ける内容だ。
しかも、唐突に「お肉券」やら「お魚券」等、族議員さんたちによる奇妙奇天烈な提案もあり、「一体この方たちは、誰の為に国会議員をやっているのだろう?」と思うことさえあった。

このようなことをしている間に、時間はどんどん過ぎており「明日の生活」を心配する人が、どんどん増えているという状況になっている。
このような状況になると、海外で起きている「新型コロナウイルス」対策ではない、「新型コロナウイルス経済対策」ができない為に、経済的問題で亡くなる方が感染者数を上回るのでは?ということを、懸念せざる得ない状況になる。

そして今日の夕方、安倍さんが「一世帯2枚のマスクを配布する」と、発表した。
あまりの内容に、失笑された方、「一体安倍さんは何を言っているのだろう?」と、会見の内容に呆然とした人など、様々な反応があっただろう。
中には「笑えない、エイプリールフール」と、思った方もいらしたかもしれない。

そしてこの「一世帯2枚のマスク配布」の会見を見て、「現政権が、国民をどう思っているのか?」ということも、ある程度分かったような気がした。
安倍さんをはじめとする現政権の政治家の皆さんたちは、国民のことなど全く知らないのだ。
この「マスク」配布の為に、どれだけの労力(=労力に対する対価である賃金)を必要とするのか?
この人達の頭の中には「労力(=労働)に対して支払われる賃金」という、考えも理解も無いのだ。
だから諸外国が行っているような「支払われる給与の何%」という、補償の発想も生まれてこないのだ。

Huffpostの記事には「ペスト」の話なども出てくるが、「ペスト」や「スペイン風邪」は、100年以上も前の話で、当然当時と今とでは「労働環境」も「賃金」という考えも大きく違う。
にもかかわらず、今の日本の政治家は「スペイン風邪」が大流行した頃と、同じように国民を見ているのかもしれない。