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どこまでズレた感覚なのか?経産省の「GO TO キャンペーン」

2020-04-08 12:48:45 | アラカルト

今朝FM番組を聞いていたら、経産省の補正予算についての話題があった。
その中で取り上げられていたのが「令和2年の補正予算で組まれた『GO TO キャンペーン(仮称)』」だった。
この「GO TO キャンペーン(仮称)」とは、「新型コロナウイルス終息後、観光地や様々なイベントに出かけてもらおう!」という、キャンペーンのようだ。

実際、公開されている令和2年度の経済産業省関連の補正予算を見ると、このキャンペーンに充てられている金額は1兆6,794億円となっている。
総額が8兆3,193億円なので、けっして少なくない金額がこのキャンペーンに充てられている、ということがわかる。
経済産業省:令和2年度補正予算(概算) (注意:pdfファイルの5ページ目)

ちなみに「新型コロナウイルス対策関連費」は、227億円となっている(pdfファイル1ページ目)
確かに、「新型コロナウイルス対策関連費」の中心は厚労省だと思うのだが、それにしても「GO TO キャンペーン(仮称)」は、「新型コロナウイルス」終息後を見込んでの内容であって、今すぐ必要な内容ではない。
経済産業省が中心となってすべき「強靭な経済構造の構築(pdfファイル1ページ目」という内容であっても、総額が4,383億円となっている。
「強靭な経済構造の構築」を目的とした当初予算(pdfファイル)で、1兆を超える内容となっているのか?と、確認したところ、同じ内容のものが見当たらず、様々な事業推進の為の予算を合計すると1兆円になるのかな?という、程度の印象だった。
何故必要なところに、集中的な費用の投入がされないのだろうか?と、疑問に感じてしまうのだ。

しかも「GO TO キャンペーン(仮称)」内容を見ると、このショボさがますますショボいことに気づくのだ。
例えば、観光では「旅行業者経由で、期間中に旅行商品を購入した消費者に対し、代金の1/2相当分のクーポンなどを付与」となっている。
自家用車で、自分で直接ホテルや旅館に予約を入れた旅行は、対象外になるのだ。
しかも「代金の1/2相当分のクーポンなどを付与」ということは、「旅行が終わってからクーポン券を与えるので、もう一度、期限内に旅行代理店を通して旅行に行ってね!」ということなのだ。
飲食店ではon-line予約の対象者、イベント関連ではチケット購入者に対して、割引・クーポンの付与となっている。
現在次々と中止や延期となっているイベントに関しては、主催者側にも購入者側にも、何の補助にもなっていないのだ。
しかもほとんどが「クーポン券など」という、どれだけ期限内に次ぎの利用があるのだろうか?と、疑問に感じる内容なのだ。

終息後のことではなく、「今をどう乗り切るのか?」ということが、一番問題なはずだ。
にもかかわらず、お題目として「今回の感染症の影響により、売上等に甚⼤な打撃を被った観光・運輸業、飲⾷業、イベント・エンターテインメント事業等」をサポートするようになっている。
重ねて書くが、この補正予算が社会的に効力を発揮するのは、「新型コロナウイルス感染終息後」である。

補正予算を見る限り、経産省が考える「新型コロナウイルス」というのは、この程度のことなのだ。
「アベノマスク」の発案者は、経産省出身の官僚だったはずだが、この補正予算を見ても「発想と思考」が同じ、ということがわかる気がする。