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エンターテイメント業界の支援の為の基金設立の必要性

2020-04-25 12:12:54 | ビジネス

Yahoo!のトピックスに北海道庁が、エンタメ業界に支援金を出す、という記事があった。
北海道新聞:エンタメ業界に25万円 道が一律給付へ 新型コロナ

この記事を読んで、気になったことがある。
3月中旬に一般社団法人コンサートプロモーターズ協会が、超党派議員に対して「新型コロナウイルスの感染拡大」に伴い要望書を提出している。
一般社団法人コンサートプロモーターズ協会プレスリリース(pdfファイル):
            「新型コロナウイルスからライブ・エンタテイメントを守る超党派議員の会に要望書を提出」

要望書を提出して1ヵ月。
この間にも様々なコンサートやライブが、次々と中止になっている。
中止ではなく延期を決めたコンサートなどもあるが、その延期となった公演がいつ行われるのか、まったく分からないという状況だ。
にもかかわらず、この分野の支援対策は、進んでいないように感じている。

今回のような感染症だけではなく、震災などによってもコンサートやライブは中止・延期になりやすい。
その理由は、拙ブログで過去何度か指摘させていただいている通り、「マズローの欲求の階層」の中では「上層」にある欲求であり、下層にある「生きるための安心や安全」が確保されてから起きる欲求だからだ。
しかし、コンサートやライブ、そのほかのエンタテイメントに関わる人達は、舞台に立つ人達よりも遥かに多く、その人達にも「生活があり、そのための安心や安全の確保」が、必要であることには変わりない。

ドイツ政府支援策には、中小零細企業を対象にした経済支援の中に、エンタテイメントの分野も含まれている。
ドイツ連邦共和国大使館総領事館:新型コロナウイルス ドイツ政府の経済支援対策 ドイツ外務省

欧州の他の国々も、エンタテイメントやアートの分野に対して、支援を次々と発表している。
美術手帳:1兆円の拠出も。新型コロナでイギリスやドイツなど各国が文化支援を続々発表。「誰も失望させない」

政府が積極的に支援をするだけではなく、イギリスの「アーツ・カウンシル・イングランド」のように、政府支援ではない振興評議会が積極的に関わっているという例もある。
もちろん日本でも「独立行政法人日本芸術文化振興会」という団体がある。
ただ残念ながら、対象としている「芸術文化」は歌舞伎や能などの伝統芸能といわれるものに限られているようなのだ。
今生活者の中心にあるエンタテイメントの支援は対象としていない(ように思える)。

日本政府の文化事業に対する扱いの軽さを考えると、今現在ある「独立行政法人日本芸術文化振興会」にプラスアルファというカタチでも良いので、音楽ジャンルを超えたファンや伝統芸能、大衆芸能を生活者が支えるという仕組みが、必要なのではないだろうか?

何故なら、新型コロナウイルスで危機に陥っている、エンタテイメントの衰退を実感するのは数年後で、その時に気づいても手遅れなのだから。