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日本の「新型コロナウイルス」対策とWHOの示す「健康」の定義が、かけ離れている

2020-04-07 18:55:32 | アラカルト

「緊急事態宣言」が、やっと発令された。
「遅き失した」感がぬぐえない。
一部では「経済の失速を懸念して」という声もあるようだが、「経済の失速を懸念」するのであれば、もっと早く発令するべきであった、と考えている。

そもそも「新型コロナウイルス」の感染拡大は、人の移動によって引き起こされている。
感染症の患者を拡大させないことが、経済に及ぼす影響を限定的にすることができる、という考えられるからだ。
その視点で考えれば、この2か月間WHOの「検査の推進」もほとんど行われず、大胆な経済対策なども発表されなかったことで、日本経済は随分後退してしまったのでは?という、気がしている。
そして「人の移動制限」を言わないまま、東京の医師会会長が示した「6週間」よりも短い「1ヵ月(=4週間)」を対象としているのも、理解に苦しむ。

何より、この2カ月間政府の後手後手の対策で、多くの事業者や個人がとても辛い状況に陥ってしまっている。
そこに目を向けずに発表される「新型コロナウイルス対策」は、生活者や中小零細企業、個人事業主の心には、響くことが無い。
何より、政府が発表する内容の中には、「WHO」の定義する「健康」という視点が、まったくない。

WHOが定義する「健康」とは
「病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされて状態にあること」
としている。
今の状態は、これらの肉体的、精神的、社会的それぞれの視点で「健康」とは言えないのではないだろうか?
特に「明日の生活にも心配をしている人達」にとっては、この3要素すべてが欠落しているように感じるのだ。
確かに「動ける体」があれば「病気や弱っている状況ではない」と、言えるのかもしれない。
ただその体を動かす為の精神的不安があれば、「動ける体」も十分に動かすことはできない。
何より考えたいのは「社会的」という点だ。

「社会的存在」が認められた時、人は「社会的満足」を感じる。
しかし今現在政府から出されている「新型コロナウイルス対策」は、中小零細企業や社会の底辺にいる人達のことを考えているのか?という点では、疑問な点が多い。
確かに「減収世帯(減収者か?)に対して、30万という補助」と言ってはいるが、どのような基準で、支給開始の目途など、肝心なところは全く告知されていない。
「非課税世帯」も含まれてはいるが、ギリギリで「非課税世帯ではない世帯」は、自己責任と自己努力で何とかせよ!と、言っているようにも思える。

それだけではなく、「社会的満足」の要素の一つである「エンターテイメントを含む文化産業」に対して、何も動こうとはしていない。
確かに「マズローの欲求の階層」から考えれば、文化産業は上位の位置にある「欲求」だが、その「文化に携わる人たち」もまた生活者であり「健康でなくてはならない人達」でもあるのだ。
同様に観光産業についても「終息後」の政策案は発表されても、現在の対応策が無いというのも、どこかズレた政策案だろう。
今の政府は、「今の問題を見ないようにして、いつか来る終息後(正しくは、自然に終息する日)」ばかりを見て、問題から逃げているように思えるのだ。

そのような思考と発想によって発令された「緊急事態宣言」。
どれほどの効果が、期待できるのだろうか?