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「新型コロナウイルス」が変える?、国と地方自治の力関係

2020-04-19 14:21:41 | アラカルト

「新型コロナウイルス」の感染拡大により、全国を対象に「緊急事態宣言」が発令された。
その結果、とても静かな週末となったのだが、この状況がGW明けまで続く。
このような状況の中で、安倍首相の支持の低下が目立ってきたようだ。
代わりに急上昇中なのが、大阪府知事の吉村洋文さんだ。

吉村府知事が注目されるのには訳がある。
それは「新型コロナウイルス」に対する、対応がとにかく早いからだ。
早いだけではない。
府民に対する発信力もある。
素早い行動力と力強い発信力、メッセージ力があることで、感染者数が減少している状況ではなくても、府民の方々が「吉村さんの言うことなら」と、支持をするようになってきているように感じるのだ。

それはSNSなどにも見受けられる。
「#吉村寝ろ」というのは、不眠不休で対策に奔走されている姿から出てきた、吉村さんを案じる「#」だ。
一方同じ「寝ろ」でも、愛知県知事の大村さんにつけられた「#大村寝ろ」は、(仕事をキチンとしないなら)「寝ていろ!」という、冷ややかな「#」だ。

東京都知事の小池さんも、「新型コロナウイルス」の対応については、政府がもたついている間に様々なメッセージを積極的に発信している。
この一連の発信力が、小池さんに対する支持を増やしているように感じている。

実は今回の「新型コロナウイルス」の感染拡大によって、政府の後手後手対策に対して、地方自治体の首長さんたちの積極的な行動が目立つようになってきているように感じるのだ。
おそらく、生活者と近い関係にある地方自治体の首長さんたちと、政府とで「危機感に対する温度差」のようなモノがあるのでは?という、気がしている。
生活者に近ければ近いほど、生活者が「今抱えている問題」が把握しやすい、ということはあるだろう。
ただ、それ以上の活躍をし、生活者に寄り添う姿勢を見せているのが、大阪府知事の吉村さんなのだ。

このような「有事」の時には、政府の動きが遅くなるのはある意味、仕方がないのかもしれない。
何故なら「関係する省庁が多すぎて、調整をする為の時間」が、必要となるからだ。
それに対して、地方自治においては首長さんの意思や考えで、組織全体を動かすことができる。
何より、上述した通り「生活者の姿」が見えるのが、地方自治体であり、「生活者の姿」が見えにくいのが政府だからだ。

地方自治体の首長さんが、裁量範囲で積極的に対策をとればとるほど、政府の動きの遅さが目立つようになってしまう。
とすれば、「政府の持っている裁量を地方自治体へ移せ」という議論が、これから先出てくるかもしれない。
それはとりもなおさず、頓挫した感のある「道州制」議論の復活、ということになるだろう。

もちろん、全国に大阪府知事のような人材が、いるわけではない。
ただ「新型コロナウイルス」の感染拡大により、「地方自治の裁量」を増やし、その地域にあった政策をしやすくなる議論が出てくるかもしれない。
むしろそのような議論が出てきてほしい。

「国民一人当たり10万円」という給付金などは国レベルでの話だが、「マスクの供給方法」や「医療者への手厚い支援」等は、現場に近い地方自治体が行ったほうがスピード感がある対応ができるのではないだろうか?
安倍さんは今回の「新型コロナウイルス対策」について、何度も「スピード感」という言葉を口にしたが、受け手となる生活者は「スピード感ね~???」という、感じだったはずだ。
その感覚の違いは「生活者に近い感覚を持っているのか?否か?」という部分が大きいと思う。
とすれば「スピード感」のある対策は、やはり地方自治の首長に任せる方が、良いのではないだろうか?