一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

金曜サロン・中倉彰子女流初段①

2009-06-07 13:31:19 | LPSA金曜サロン
きょうは冒頭から、実戦次の1手を出題する。例によって駒の配置しか記さないので、熱心な方は盤に並べてください。正着は複数あるかもしれないが、私の指した手を考えていただきます。「将棋ペンクラブ」の会員なら簡単だろう。解答は末尾。

先手(下手)一公:1一馬、1六歩、1九香、2九桂、3一竜、4六香、4七歩、4八銀、5六歩、5八金、6六銀、6七歩、6九金、7六歩、7八玉、8七歩、8九桂、9七歩、9九香 持駒:桂、歩
後手(上手)中倉彰子女流初段:1三歩、2八飛、3八と、4三銀、4五馬、5二金、5四歩、6一金、6四歩、7二銀、7三歩、8一桂、8二王、8三歩、9一香、9三歩 持駒:歩3 
(▲4六香に、2七のと金を△3八と、と入った局面である)

5日の金曜サロン、昼は中倉彰子女流初段、夕方は藤森奈津子女流三段の担当だった。
中倉女流初段は東京・府中市の出身。昨年3月に行われた「1DAYトーナメント・けやきカップ」では、袴姿で登場した。その姿は「はいからさんが通る」の花村紅緒を彷彿とさせ、既婚者とは思えない瑞々しさであった。
中倉女流初段の金曜サロン登板は久しぶり。イベントでは何度かお目にかかってはいるが、金曜サロンでは時間帯が合わず、今回が初顔合わせ。だから私はこの日が来るのを心から楽しみにしていた。一方の中倉女流初段は私のことを、なんとなくどこかで見たことがあるような…と思っている程度だろう。しかしこのくらいの距離感が、私はなんとなく好きである。
ちなみに今回の中倉女流初段との指導対局で、LPSA現役棋士全員に、将棋を教えていただくことになる。ということは、平成13年11月号「将棋世界」の別冊付録「若手女流棋士自戦記集」に登場した、のちのLPSA棋士6人全員と対局したことになるわけだ。こんな展開になろうとは、LPSAが設立しなかったら考えられないことだった。
指導対局開始。私の▲7六歩に中倉女流初段△3四歩。以下▲2六歩△4四歩▲4八銀に、中倉女流初段が私の前を離れず、大長考(1分以上)してしまったので、ちょっと戸惑った。ここで手番を間違えるわけがないし、まあこちらは中倉女流初段のご尊顔をチラチラ拝見できるので願ったり叶ったりというところだが、中倉女流初段は真剣な表情だ。
やがて、カチリと△6二銀。まさかの矢倉模様に、私は「えええーーっ!!」と叫び、アタマに手をやった。これでは私の苦手な相居飛車の将棋になってしまう。
LPSAで相居飛車を指す棋士は少なく、中倉女流初段も居飛車対振り飛車の対抗形を得意とする。しかし指導対局では、島井咲緒里女流初段や松尾香織女流初段など、ときどき相居飛車も指すことがある。
今回の中倉女流初段も、そうした気分転換があったのだろう。しかし以降の指し手が、またナゾだった。
▲6八銀△6四歩▲5六歩△6三銀▲3六歩△3二銀▲1六歩△4二飛――。
けっきょく中倉女流初段は飛車を振った。しかしこれでは△6三銀が不急の手になってしまう。果たして実戦では飛車の打ち込みに備えて△7二銀と戻す手が必要となり、私が勝たせていただいた。
私は局後、「先生は矢倉を目指したのに、私が絶叫したので、(対抗形の)振り飛車に戻してくれたのではないですか」と問うと、「いえいえ、▲1六歩を緩手にしたかったから…」と言葉を濁していた。しかし中倉女流初段が私のために矢倉をやめた、という読みに間違いはないと思う。その優しさに、私はますます中倉彰子女流初段のファンになってしまった。中倉シスターズ、恐るべし。

冒頭の解答は「▲3九銀」。「美人を前にすると、ついカッコイイ手を指したくなってしまう」のだ。以下△同とに▲4五香と馬を取って指しやすくなったと思った。
コメント (2)
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