19日(金)。いつもならLPSA芝浦サロンに向かうところだが、この日は夜まで自宅にいた。LPSAが駒込から芝浦に移転してからは芝浦の地が遠く感じられ、毎週通うのが億劫になってしまったからだ。
そもそも私が駒込サロンに通い出したのは、サロンがJRの初乗り料金で行ける近距離にあったからで、その利がなくなってしまっては、通う理由も薄れる。
もちろんLPSAの女流棋士にはとてもよくしていただいているので、いままでどおりサロンには顔を出すが、毎週は無理かもしれない。
また千駄ヶ谷の東京・将棋会館にて午前10時から将棋を指せる女流棋士スーパーサロンも魅力的だが、朝は通勤電車に乗るような感覚に陥り、こちらも毎週は厳しい。よって19日は自宅でマイナビ女子オープンのネット中継を見ながら、無聊を慰めていた。
夜は7時に駒込「ジョナサン」で、LPSA旧金曜サロン有志と待ち合わせ。ここで夕食を摂り、将棋談議に花を咲かせることになっている。言うまでもないが駒込ジョナサンは、サロンでの将棋終了後に数人の会員がたむろしていた聖地である。駒込時代はどうかすると、ジョナサンでのひとときのほうが、サロンでの将棋より楽しみだった。
芝浦(田町)までは遠いが、駒込までなら行ってもいい。そして心ゆくまで将棋の話がしたい、との声が旧金曜サロン会員の中で高まったため、10月に続いて、再び実現の運びとなったのである。
そして私にはもうひとつの大きな楽しみがあった。ジョナサンで働いているウエイトレスのTさんに会うことである。Tさんは沖縄出身で、島井咲緒里女流初段に似たかわいいお嬢さん。私たちが駒込サロンを去るとき、
「さびしいですう」
と言って私(たち)をホロッとさせたひとである。
当日の参加確定者はW氏しか知らず、ほかに誰が来るのか私は知らなかった。私が7時直前にジョナサンに入ると、W氏とTat氏がいた。テーブルにドリンクバーのジュースが載っていたので、早くから来ていたのだろう。あとで聞いたのだが、彼らは5時すぎからジョナサンに乗り込んでいたという。
私の直後にKun氏が入店。Hon氏も参加とのことだったが、彼にしては珍しく、15分近く遅れて到着した。さらにスペシャルゲストがひとり入店(女流棋士ではない。念のため)。計6人での新・駒込サロンとなった。
いつもは9時すぎに入店していたので、7時からだとたっぷり話ができる。食事も9時半すぎに摂ると胃もたれがしたが、この時間帯ならしっかり食しても心配はない。さらにドリンクバーのジュースもたっぷり飲めるということで、いいことづくめであった。
その程度で長時間粘られては店のほうもたまったものではないが、そこはよくしたもので、のんべえのTat氏があとからどんどん生ビールを注文するから心配はない。
「開店30周年記念」のファイナルメニューがあり、4人がそれを注文する。それを運ぶウエイトレスはTさんではないが、なかなかかわいい。これはW氏がすでにチェックしていて、すでに名前も確認しているという。W氏、将棋の終盤はスットコドッコイだが、こういうところは抜け目がない。彼女に対するみんなの点数も高かった。
食事も終わって本格的な将棋談議に入ったころ、ウエイトレスのTさんがわざわざ挨拶にきてくれた。感動の再会、というところである。
「約束どおり来させていただきました」
と、これは私のセリフ。Tさんが元気そうでなによりだった。
将棋の布盤と駒を何人かが用意していて、Kun氏とHon氏が将棋を始める。ここへ来ようかという話が出た際、「ジョナサンリーグでもやりましょうか」と誰からともなくジョークが出たが、まさか本当に指しだすとは、恐れ入った。
中盤に差し掛かったころ、またTさんが来て、Hon氏と話していた。Tさんは将棋のルールは知っていたらしい。Hon氏、これも小さな将棋普及だった。
ふたりの将棋は、Kun氏の勝ち。次は私とHon氏の対局。Hon氏の四間飛車に私は☗6八金上から☗3八飛~☗3五歩と仕掛けたが、Hon氏が5四に成り返った馬が手厚く、以下もHon氏の指し手が冴え、完敗となった。
いつもニコニコのHon氏、私と指す時はいつも違う戦型で、毎日将棋の研究をしているのが見て取れる。Hon氏は私と同学年だが、歳を重ねても棋力は向上するという、よいお手本となっている。
Hon氏が一足早く帰ったあとは、Kun氏とTat氏の対戦。いやしかし、ファミレスでこんなに将棋に没頭していいのかと思うが、読み筋どおりTat氏がどんどん生ビールを注文し、店の売り上げに貢献しているので、まあいいのだろう。
将棋はTat氏の逆転勝ち。終盤で鋭い切り込みを見せた。
やがてKun氏もおカネを置いて、退店。時間は11時前後になっているが、残っている私たちは動かない。ここが駒込のありがたさで、まだ1時間近くは粘れるのだ。ちなみにこれが芝浦サイゼリアなら、私たちも帰り仕度、というところである。
11時を過ぎたころ、三たびTさんが来た。しかし今度はオシャレな私服姿だ。帰る前に一言御礼を述べに来たのだ。大いに恐縮してしまうが、これだけ手厚く指されてしまうと、今後も月に1度は駒込ジョナサンに寄ろうかという気になってしまう。
私たちが芝浦サロンに通うのは、LPSA女流棋士の人間的魅力に惹かれるからだ。ただ将棋が強くなりたいだけならネット対局でもいいし、ソフトを相手にしてもいいのだから。
ファミレスでも同じことがいえる。もし駒込周辺にいくつかのファミレスがあれば、気の置けないウエイトレスがいる店を選ぶ。すなわち、Tさんの働いているジョナサンを選ぶ。
Tさんの客への気遣いに、営業の真髄を見た気がした。
そもそも私が駒込サロンに通い出したのは、サロンがJRの初乗り料金で行ける近距離にあったからで、その利がなくなってしまっては、通う理由も薄れる。
もちろんLPSAの女流棋士にはとてもよくしていただいているので、いままでどおりサロンには顔を出すが、毎週は無理かもしれない。
また千駄ヶ谷の東京・将棋会館にて午前10時から将棋を指せる女流棋士スーパーサロンも魅力的だが、朝は通勤電車に乗るような感覚に陥り、こちらも毎週は厳しい。よって19日は自宅でマイナビ女子オープンのネット中継を見ながら、無聊を慰めていた。
夜は7時に駒込「ジョナサン」で、LPSA旧金曜サロン有志と待ち合わせ。ここで夕食を摂り、将棋談議に花を咲かせることになっている。言うまでもないが駒込ジョナサンは、サロンでの将棋終了後に数人の会員がたむろしていた聖地である。駒込時代はどうかすると、ジョナサンでのひとときのほうが、サロンでの将棋より楽しみだった。
芝浦(田町)までは遠いが、駒込までなら行ってもいい。そして心ゆくまで将棋の話がしたい、との声が旧金曜サロン会員の中で高まったため、10月に続いて、再び実現の運びとなったのである。
そして私にはもうひとつの大きな楽しみがあった。ジョナサンで働いているウエイトレスのTさんに会うことである。Tさんは沖縄出身で、島井咲緒里女流初段に似たかわいいお嬢さん。私たちが駒込サロンを去るとき、
「さびしいですう」
と言って私(たち)をホロッとさせたひとである。
当日の参加確定者はW氏しか知らず、ほかに誰が来るのか私は知らなかった。私が7時直前にジョナサンに入ると、W氏とTat氏がいた。テーブルにドリンクバーのジュースが載っていたので、早くから来ていたのだろう。あとで聞いたのだが、彼らは5時すぎからジョナサンに乗り込んでいたという。
私の直後にKun氏が入店。Hon氏も参加とのことだったが、彼にしては珍しく、15分近く遅れて到着した。さらにスペシャルゲストがひとり入店(女流棋士ではない。念のため)。計6人での新・駒込サロンとなった。
いつもは9時すぎに入店していたので、7時からだとたっぷり話ができる。食事も9時半すぎに摂ると胃もたれがしたが、この時間帯ならしっかり食しても心配はない。さらにドリンクバーのジュースもたっぷり飲めるということで、いいことづくめであった。
その程度で長時間粘られては店のほうもたまったものではないが、そこはよくしたもので、のんべえのTat氏があとからどんどん生ビールを注文するから心配はない。
「開店30周年記念」のファイナルメニューがあり、4人がそれを注文する。それを運ぶウエイトレスはTさんではないが、なかなかかわいい。これはW氏がすでにチェックしていて、すでに名前も確認しているという。W氏、将棋の終盤はスットコドッコイだが、こういうところは抜け目がない。彼女に対するみんなの点数も高かった。
食事も終わって本格的な将棋談議に入ったころ、ウエイトレスのTさんがわざわざ挨拶にきてくれた。感動の再会、というところである。
「約束どおり来させていただきました」
と、これは私のセリフ。Tさんが元気そうでなによりだった。
将棋の布盤と駒を何人かが用意していて、Kun氏とHon氏が将棋を始める。ここへ来ようかという話が出た際、「ジョナサンリーグでもやりましょうか」と誰からともなくジョークが出たが、まさか本当に指しだすとは、恐れ入った。
中盤に差し掛かったころ、またTさんが来て、Hon氏と話していた。Tさんは将棋のルールは知っていたらしい。Hon氏、これも小さな将棋普及だった。
ふたりの将棋は、Kun氏の勝ち。次は私とHon氏の対局。Hon氏の四間飛車に私は☗6八金上から☗3八飛~☗3五歩と仕掛けたが、Hon氏が5四に成り返った馬が手厚く、以下もHon氏の指し手が冴え、完敗となった。
いつもニコニコのHon氏、私と指す時はいつも違う戦型で、毎日将棋の研究をしているのが見て取れる。Hon氏は私と同学年だが、歳を重ねても棋力は向上するという、よいお手本となっている。
Hon氏が一足早く帰ったあとは、Kun氏とTat氏の対戦。いやしかし、ファミレスでこんなに将棋に没頭していいのかと思うが、読み筋どおりTat氏がどんどん生ビールを注文し、店の売り上げに貢献しているので、まあいいのだろう。
将棋はTat氏の逆転勝ち。終盤で鋭い切り込みを見せた。
やがてKun氏もおカネを置いて、退店。時間は11時前後になっているが、残っている私たちは動かない。ここが駒込のありがたさで、まだ1時間近くは粘れるのだ。ちなみにこれが芝浦サイゼリアなら、私たちも帰り仕度、というところである。
11時を過ぎたころ、三たびTさんが来た。しかし今度はオシャレな私服姿だ。帰る前に一言御礼を述べに来たのだ。大いに恐縮してしまうが、これだけ手厚く指されてしまうと、今後も月に1度は駒込ジョナサンに寄ろうかという気になってしまう。
私たちが芝浦サロンに通うのは、LPSA女流棋士の人間的魅力に惹かれるからだ。ただ将棋が強くなりたいだけならネット対局でもいいし、ソフトを相手にしてもいいのだから。
ファミレスでも同じことがいえる。もし駒込周辺にいくつかのファミレスがあれば、気の置けないウエイトレスがいる店を選ぶ。すなわち、Tさんの働いているジョナサンを選ぶ。
Tさんの客への気遣いに、営業の真髄を見た気がした。