きょう1月12日は、大庭美樹先生のお誕生日。おめでとうございます。
大庭先生はトーナメントプロの本業のかたわら、LPSA理事という激務をこなし、昨年10月からは芝浦サロンの手合い係にも着任しました。これからのますますのご活躍をお祈りいたします。
昨年9月24日、LPSA金曜サロンは、1部が大庭美樹女流初段、2部が中倉宏美女流二段の担当だった。
2008年3月よりお世話になった金曜サロンも、ついにこの回で最後である。植山悦行手合い係が5月に卒業してから、駒込サロンへの来席人数も減少気味だったが、この日はさすがに客が多かった。たとえは悪いが、ローカル線の営業最終日を思わせる賑わいである。みんな、スケジュールをやりくりして訪れたのだろう。その光景を前にして、私は感傷的な気分になった。
さて大庭女流初段による金曜サロンでの指導対局は、これが17局目。金曜サロンでは、船戸陽子女流二段、松尾香織女流初段の23局、藤森奈津子女流四段の21局に続く、4位タイであった。
対局開始。☗2六歩☖3四歩☗7六歩☖3三角。
この4手が早くも両者の棋風を表している。私が飛車先の歩を突き攻め味を見せたのに対して、大庭女流初段は4手目☖3三角と、変化球を投げる。
☗4八銀☖2二銀。ここで角を換わってしまうと☖3三同銀でカベ銀を直されてしまうので、この角は無視して駒組を続けた。
私は☗4五銀と、ガッチャンとぶつけ、銀交換に出る。☖5一角にすぐさま☗5五銀(打)と据え、☖6四歩を取るぞと見せかけて、4筋に狙いをしぼった。
しかしこの構想は思ったほど効果がなく、持駒の銀を手放しただけ、損だった。
私は無理気味でも攻めを続けるしかない。ハシ(9七)に覗いた角をバッサリ切って(☗4二角成)、☗7七桂と活用する。
大庭女流初段は相手の言いなりになっているようで、こちらの攻めが息切れするのを待っている。いままでこうした指し方で、平手の下手が切らされたケースを、私は何度も見てきた。LPSAのみならず女流棋士全体を見ても、異質の勝ち方をする女流棋士だと思う。
果たしてこちらの攻めが一息つくと、大庭女流初段の反撃が始まった。
☖7七桂成と銀を取られ、再度の☖8五桂が厳しい。☗6七玉に☖7七銀。次に☖6六銀成を喰らったら終わりだ(☖4四角がいる)。
私は☗5五香と遮断したが、☖5四歩と冷静に香を取りに来られては、非勢を覚悟せざるを得なかった。
☗5七同玉に☖5五桂。がんじがらめで、受けようがない。☗5八玉と引く。ここでは負けたと思った。大庭女流初段、☖6七銀。こちらから打ってくるのか。☗4九玉。☖3九金。この攻めでいいのか? ☗5九玉☖5八歩☗同金☖同銀成☗同飛。
指導対局はマンツーマンではないから、上手がほかを回っているときに、下手はこんこんと考えることができる。しかしこれ、下手が敗勢のときは、自分に負けを言い聞かせる時間になってしまう。うまく逃げおおせたかと思ったが、次に☖6七桂不成と来られると、下手が詰んでそうだ。
大庭女流初段が戻ってきて、☖6七桂不成。いや、そうか…。☗6九玉。大庭女流初段、☖7九金。ダメだこりゃ。私はここで投了した。
大庭女流初段も礼を返すが、厳しい顔を崩さない。…? ちょっと様子がおかしいが、一応感想戦に入る。しかし私も気になって、数手をやりとりしたあと、
「一応、詰め手順だけ確認させていただいていいですか」
と申し出た。ちなみに投了局面は以下のごとくである。
ここから☗6八玉☖7七銀☗6七玉☖6六銀成☗6八玉☖7七桂成まで詰み、と読んでいたのだが、盤上で駒を進めると、これは5九に引いて詰まない。☖7七銀に☗6七玉と桂を取れるので、5九(7九)への逃げ道が自動的に出来るのだ。
ええっ!? じゃあ、私は不詰めの局面を投げてしまったということか!?
「そう、ですね…」
ええーっ!? またか! また、やってもーたのか!!
完全に寄せられたと思った。まさかすり抜けていたなんて…!
不詰めなのに投了したのは、2009年5月の藤田麻衣子女流1級戦以来、2度目。しかし、何も金曜サロン最後の日にこんなチョンボをしなくてもいいではないか。まあそれも私らしいといえばいえるか。
大いにヘコんだ、1部の指導対局だった。
大庭先生はトーナメントプロの本業のかたわら、LPSA理事という激務をこなし、昨年10月からは芝浦サロンの手合い係にも着任しました。これからのますますのご活躍をお祈りいたします。
昨年9月24日、LPSA金曜サロンは、1部が大庭美樹女流初段、2部が中倉宏美女流二段の担当だった。
2008年3月よりお世話になった金曜サロンも、ついにこの回で最後である。植山悦行手合い係が5月に卒業してから、駒込サロンへの来席人数も減少気味だったが、この日はさすがに客が多かった。たとえは悪いが、ローカル線の営業最終日を思わせる賑わいである。みんな、スケジュールをやりくりして訪れたのだろう。その光景を前にして、私は感傷的な気分になった。
さて大庭女流初段による金曜サロンでの指導対局は、これが17局目。金曜サロンでは、船戸陽子女流二段、松尾香織女流初段の23局、藤森奈津子女流四段の21局に続く、4位タイであった。
対局開始。☗2六歩☖3四歩☗7六歩☖3三角。
この4手が早くも両者の棋風を表している。私が飛車先の歩を突き攻め味を見せたのに対して、大庭女流初段は4手目☖3三角と、変化球を投げる。
☗4八銀☖2二銀。ここで角を換わってしまうと☖3三同銀でカベ銀を直されてしまうので、この角は無視して駒組を続けた。
私は☗4五銀と、ガッチャンとぶつけ、銀交換に出る。☖5一角にすぐさま☗5五銀(打)と据え、☖6四歩を取るぞと見せかけて、4筋に狙いをしぼった。
しかしこの構想は思ったほど効果がなく、持駒の銀を手放しただけ、損だった。
私は無理気味でも攻めを続けるしかない。ハシ(9七)に覗いた角をバッサリ切って(☗4二角成)、☗7七桂と活用する。
大庭女流初段は相手の言いなりになっているようで、こちらの攻めが息切れするのを待っている。いままでこうした指し方で、平手の下手が切らされたケースを、私は何度も見てきた。LPSAのみならず女流棋士全体を見ても、異質の勝ち方をする女流棋士だと思う。
果たしてこちらの攻めが一息つくと、大庭女流初段の反撃が始まった。
☖7七桂成と銀を取られ、再度の☖8五桂が厳しい。☗6七玉に☖7七銀。次に☖6六銀成を喰らったら終わりだ(☖4四角がいる)。
私は☗5五香と遮断したが、☖5四歩と冷静に香を取りに来られては、非勢を覚悟せざるを得なかった。
☗5七同玉に☖5五桂。がんじがらめで、受けようがない。☗5八玉と引く。ここでは負けたと思った。大庭女流初段、☖6七銀。こちらから打ってくるのか。☗4九玉。☖3九金。この攻めでいいのか? ☗5九玉☖5八歩☗同金☖同銀成☗同飛。
指導対局はマンツーマンではないから、上手がほかを回っているときに、下手はこんこんと考えることができる。しかしこれ、下手が敗勢のときは、自分に負けを言い聞かせる時間になってしまう。うまく逃げおおせたかと思ったが、次に☖6七桂不成と来られると、下手が詰んでそうだ。
大庭女流初段が戻ってきて、☖6七桂不成。いや、そうか…。☗6九玉。大庭女流初段、☖7九金。ダメだこりゃ。私はここで投了した。
大庭女流初段も礼を返すが、厳しい顔を崩さない。…? ちょっと様子がおかしいが、一応感想戦に入る。しかし私も気になって、数手をやりとりしたあと、
「一応、詰め手順だけ確認させていただいていいですか」
と申し出た。ちなみに投了局面は以下のごとくである。
ここから☗6八玉☖7七銀☗6七玉☖6六銀成☗6八玉☖7七桂成まで詰み、と読んでいたのだが、盤上で駒を進めると、これは5九に引いて詰まない。☖7七銀に☗6七玉と桂を取れるので、5九(7九)への逃げ道が自動的に出来るのだ。
ええっ!? じゃあ、私は不詰めの局面を投げてしまったということか!?
「そう、ですね…」
ええーっ!? またか! また、やってもーたのか!!
完全に寄せられたと思った。まさかすり抜けていたなんて…!
不詰めなのに投了したのは、2009年5月の藤田麻衣子女流1級戦以来、2度目。しかし、何も金曜サロン最後の日にこんなチョンボをしなくてもいいではないか。まあそれも私らしいといえばいえるか。
大いにヘコんだ、1部の指導対局だった。