一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

十三たび大野教室に行く(前編)・オー、サンキュー!

2011-11-22 00:10:08 | 大野教室
深キョンのほっぺたをクニュッとやってみたい。

13日(日)は、川口市にある「大野教室」に行ってきた。同教室は日本将棋連盟の大野八一雄七段が主宰する将棋教室で、その親切かつアツい指導には定評がある。その賜物か、最近は生徒数も飛躍的に伸びているようだ。
大野教室は午後1時からだが、きょうは2時半ごろに入った。もっとも、このくらいの時間が私にはちょうどいい。LPSA駒込金曜サロンのころも、私は金曜日が休みだったが、開講時間の午後2時に入ったことは一度もない。いつも3時すぎだった。
さて、早速大野七段との指導対局に入ったが、奨励会のO(オー)3級が来たので、大野七段の指示により、まずO3級に教えていただくことになった。
将棋に関心のない人ならば、肩書きに「級」とつくだけで弱い、と感じる人もいるだろうがそれは間違いで、「奨励会の級位者」はタダモノではない。研究会でなら四段以上の棋士に何番も入れてしまうし、奨励会を退会してからアマタイトルを獲った例も少なくない。現在進行中の女流王座戦五番勝負では、奨励会1級の加藤桃子さんが、清水市代女流六段を相手に、カド番に追いこんでいる。そのくらい、奨励会級位者は強いのだ。
当然私との将棋も、O3級に駒を落としていただくつもりだったが、O3級がハッキリしない。それで私が強引に先手番を取った。持ち時間は「30分・30秒」。
私の居飛車明示にO3級は藤井システムの出だし。△9四歩に私は端を受けなかったが、O3級が端を突き越さなかったので、私は▲9六歩。「時間差の端受け」が私流である。
振り飛車に対して居飛車の作戦はいろいろある。穴熊、急戦、左美濃、玉頭位取り…。しかしどれを指しても潰されそうで、つい時間を使ってしまった。
結局私は玉頭位取りを選ぶ。O3級は△4五歩~△3五歩~△4四飛。
このまま△3四飛と寄られては面白くないので、私は▲6五歩と突っ張った。△3四飛▲3三角成△同桂▲2二角。この角が活躍するかどうかがカギだ。
2六の地点で飛車交換になり、△2八飛▲3一飛と打ちあったあと、△4一金に▲同飛成と切って▲3九金。O3級は△5八飛成と金を取ったが、ここは△2七飛打とされるほうがイヤだった。ただ本譜も▲3九金が遊び駒になる可能性があるので、こう指したいところではある。
O3級は△7六金と▲6六銀取りに打つ。ここ、△4四角と銀取りに引く手が見えるが、強く▲5五銀と出る手があり、指し切れなかったようだ。しかし本譜は▲3三馬と桂を取りながら▲6六銀にヒモをつけることができ、ここで初めて、指し易くなったと思った。
O3級は△9五歩▲同歩△同香と端攻めに出る。さすがにあっちこっちと手を作ってくるものだ。▲9八歩△同香成▲同香△9七歩▲9二飛△9八歩成▲同飛成。この局面、O3級は、端に飛車を打たせて後手よし、と考えていたらしい。しかし私は私で、端の脅威が消えたので、先手十分と考えていた。
O3級、△4六歩。私は▲6八桂と打ち、目障りな△7六金を追い払う。しかし△4七歩成に▲7六桂は早まったかもしれない。ここは落ち着いて▲4七同銀だったか。しかしそれだと△6七飛という妙な手がある。以下▲5八銀には△6六飛成▲同馬△同金で一枚損してしまう。とはいえこの進行もあったかもしれず、ここは微妙なところだった。
ここからは一進一退の攻防が続く。いつもならノータイムでエイヤッと行っちゃうところを、待て待て、と相手の手を消し辛抱する。それが3回ぐらいあったろうか。時間も小刻みに使い、ここはと思うところは長考した。まったく冷静で、このときの私は、いつもと別人だった。
私は▲7二桂成と銀を取る。これは、あの▲6八に打った桂が6四~7二と跳んだもの。これは大きい活用だった。
O3級、△8二王と上がる。序盤で△7一王としてから、100手以上ぶりに王が動いた。私は香を取りつつ▲6一金と迫る。
ここでO3級が、負けました、と投了した。
「うん」
と私。
どちらも秒読みになっていた。熱闘の余韻か、すぐには笑みが出なかった。大変なことをしちゃったんだな、と我に返ったのは、その2~3分後だった。何しろ現役の奨励会員、しかも「3級」に勝ってしまったのである。プロ棋士の指導対局ならいざ知らず、奨励会員はどんなときも本気度100%である。その勝負に勝てたのだから、これは本当にうれしかったし、信じられなかった。
本局、奨励会員相手だから負けるのは承知の上。でも恥ずかしくない将棋を指そうと、謙虚に盤に向かったのがよかったと思う。また上にも書いたが、苦しい局面でも暴発せず、じっと堪えたのもよかった。相手に手を渡すような冴えない手だったが、存外最善手だったかもしれない。
いつもとは違う手が指せたということは、相手が強敵だったから。力のこもった、いい勝負だったと思う。私の力を実力以上に引き出してくれたO3級には、改めて感謝の言葉を述べたい。
ところで▲2二角は、さまざまなルートを通って、終局時には「7六馬」になっていた。
2局目はまたも奨励会員で、M6級と。この将棋に勝ったら、私が大野門下に入り、奨励会の受験?が現実味を帯びてくるところだった。
M6級とは振り駒。私が先番になり、▲7六歩△3四歩▲2六歩△8四歩。ここでふつうなら横歩取りの将棋になるのだろうが、どの変化も勉強されているような気がして、私は▲6六歩とひるむ。なんだ、これではFuj氏と同じではないか!
将棋は矢倉模様になったが、早囲いを目指したところ、M6級に急戦で来られて参った。こちらは二段玉なので、当たりがキツイのだ。
恐らく、早囲いには急戦、が玄人間の常識なのだろう。それを知らない私は、やはり素人なのだった。
本局、というわけで序盤から作戦負け。中盤、こちらがおもしろくなったか、と思った局面もあったのだが、M6級の△3三桂が好手。左桂を跳ねる手は、まったく見えなかった。
M6級、さらに△4五桂の▲3七角取り。▲2六角と逃げたいが、△5五銀▲同歩△同角が▲2八飛と▲9九香の両取りだ。これが分かっていても受けづらく、さりとてそれに代わる手もない。
これ以上指しても、M6級の指し手がしなるだけ。この場面をたまたまW氏らが見ていたのがシャクだったが、ここで私は投了した。残念だったが、極めて順当な結果であった。
大野門下に入ることはできなかったが、そもそも私の心の師匠は、真部一男である。これでよかったのだ。
(つづく)
コメント (3)
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