一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

冬の北海道旅行2017(2)

2017-08-11 00:29:58 | 旅行記・北海道編
石狩月形では23分間の停車。上り列車を待つのである。新十津川発は1日1本しかないが(というか、この列車が終点で折り返すのだ)、浦臼からは上りが6本出ているのだ。
ここで表に出て、ホームや駅周辺の撮影をするのが鉄道マニアの定跡である。
空は快晴で、まずはありがたい。それにしても、雪が少ない。私は定点調査をしているようなものだから、雪の多寡はよく分かる。
駅員さんも「少ないね」。
やはりそうなのだ。私は我が列車・キハ40を撮影する。
列車に戻って、運転手さんにも聞いてみた。
「少ないね。毎年列車の左側に雪の壁ができるんだけど、今年は左側の壁の掃除は0回」
個人的には雪があったほうがうれしいが、JRとしては除雪費用がかからないので、少雪は歓迎なのだろう。


▲2016年

▲2017年

列車は08時40分に出発した。ここから約50分、私が最も好きなJR区間の列車旅が展開される。
平日だが、車内には同行の士が多く、あっちこっちうろうろしては写真を撮る手合いがいる。
これは大人も子供もやっている。4人掛けのボックス席には1グループ以上が腰掛けているが、そこに侵入して駅名標の写真を撮ったりするのだ。
私も鉄道マニアだから気持ちは分かるが、彼らは撮影に夢中なあまり、周りが目に入らないことがある。だから鉄ちゃんは白い目で見られるのだ。
列車はマイペースでノロノロと走る。右には国道が並行しているが、観光バスが3台ほど我が列車を抜かしていった。速さ競争なら、隣の函館本線に任せておけばいい。
終点新十津川には09時28分に着いた。と、駅舎の前では地元の方々が歓迎してくれた。
小さな子供がカードを持って、それを私たちにくれる。お手製のウエルカムカードだ。
旅をしていて、こんな歓迎はうれしい。我が仕事がなくなろうとしている今、涙腺が弱っている私は、ついウルウルしてしまうのであった。


▲2016年

▲2017年


駅構内はまたきらびやかになっていた。札沼線沿線の写真が貼られ、付近のパンフレットも用意されている。壁の時刻表には、1日1本発着の時刻が記載されていた。


▲2016年

▲2017年

駅ノートには旅人の感想が多く書かれ、この駅が全国の人々に愛されているのが分かる。地元と旅行客の熱意が鉄道を存続させるのだ。
新十津川役場では、新十津川到達証明書(無料)をくれるとのことで、行ってみた。
カウンターでは「よくいらっしゃいました」という感じで、手際よくカードをくれた。ナンバリングは2461で、
「本日あなたは日本一早い最終列車が出発する駅に到達したことを証明致します」
とあった。



09時56分の北海道中央バスで、滝川に向かう。例年よりダイヤが遅めで、滝川バスターミナルでは10時発の深川行きに乗りたかったが、これでは無理だ。
タイム13分で滝川に着く。次の深川行きは10時30分である。この間に旅行貯金をしていきたいが、滝川駅前では以前したことがあり、できれば違う郵便局にしたい。それで、保留とした。
北空知中央バス10時30分発の深川行きに乗る。この区間はJRを使いたいのだが、あちらは特急列車しか走ってないからダメだ。私は特急料金を払えるほどお金持ちではない。
バスの乗客は6人。30分ヘッドでバスが出ているとはいえ、やはり少ない。しかも途中で乗客がポロポロ降り、気がつけば私ひとりになっていた。
定刻を3分遅れて、11時21分、深川5条3番着。この近くの郵便局で貯金をしたことがあったので、降りる。郵便局がダブるのは気が引けるが、今後するチャンスがない。
ちなみに昨年は、ここで氷雪まつりを見たが、今年はその時間もない。
郵便局は何とか見つかった。深川郵便局、210円。
急いで深川駅前まで走り、構内に入った。改札横ではかつてKIOSKが営業していたが、親会社の都合で、昨年2月15日をもって閉店した。現在その箇所は空きスペースとなり、私はいたたまれなかった。
気を取り直して、駅前からJRバス深名線に乗る。鉄道は1995年に廃止。現役時代は知る人ぞ知る大ローカル線で、コアな鉄道マニアがいた。しかし私は一度しか乗ったことがなく、それが今でも悔やまれてならない。私がこのバスに拘るのは、江戸の敵を長崎で討つ、の心境にほかならない。
私は回数券を2冊買う(2,000円)。これで2,200円分の乗車ができるから、だいぶ得だ。
座席に座って中を見回すと、乗客は5人しかいなかった。これが日常的な光景で、バスに転換しても景気が悪い。バスは定刻11時45分に出発した。
深川近辺は住宅街だが、次第にそれもなくなり、広大な大地の合間に家々が見られるようになる。
タイム1時間13分で幌加内バスターミナル着。ここで一休みし、次の発車は13時17分である。平日だからターミナル2階の深名線資料館は開いているはずだが、私は1階の蕎麦屋で幌加内そばを手繰るのだ。
運転手に断ると、大丈夫ですか、と心配そうだ。
店に入ると先客がいたが、そば1枚ならすぐ作ってもらえる。
ざるそば(700円)はコシと風味があり、美味かった。
バスに向かうと、ロビーで休んでいた運転手さんが「間に合うもんだね」と言った。こちらは何度も経験しているので、当然の結果である。
定刻に発車。といっても、乗客は私ひとりである。私だけのためにバスが走る。これぞ究極のバス旅であろう。
13時36分、せいわ温泉ルオント前着。この温泉施設でひと風呂浴びるのが私の定跡で、降りる。
温泉の前に、ルオント内で営業している蕎麦屋「そばの里」に入った。ここは昼の営業時間が2時までなので、温泉より先に食すしかないのだ。
おろしそば(750円)を頼む。こちらもそばの香りが高く、美味かった。
店を出ても、まだやることがある。第三雨竜川橋梁に挨拶に行くのだ。同橋梁はルオントの手前500メートルぐらいのところにあり、深名線最大の遺構。一時は撤去の話も出たが観光施設として辛くも生き延び、2009年、土木学会選奨の土木遺産に選ばれた。
同橋梁、今年は雪が少ないので橋の緑色も映え、例年以上に迫力があった。
これでやっと温泉に入れる。温泉は意外に客が多かった。平日に温泉に入るのは優越感が味わえてよい。しかし今の私は失業が間近に迫っており、複雑な心境だ。5月から毎日、平日が休日になりそうな気がして、怖い。
露天風呂も味わい温泉を上がると、談話室でひと休み。バスでもらった時刻表を見ると、次の名寄行きは16時16分(最終便)で、まだ時間がある。
バス転換当初は本数も多かったが漸減され、幌加内―名寄間は現在1日3本である。だけど、走っているだけでもありがたいのだ。
私はバス停近くの待合室で待つことにした。
(つづく)
コメント
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