暦は8月になって、私はもはや将棋どころではないのだが、19日(土)は埼玉県川口市にある「大野教室」に行った。今回も「4時から男」である。
途中、川口駅の立ち食いそば屋が魅力的だったが、今回はやめておく。少しでも節約である。教室には4時キッカリに入った。
洋間では大野八一雄七段が指導対局の真っ最中。和室では生徒同士の対局が行われていた。Ok氏やE氏など、最近では懐かしい顔があった。
「じゃあ大沢さん早速だけど」と、手合い係のW氏がKoba氏との対局をつけてくれた。私の二枚落ちである。
Koba氏は筋がよいので、私の二枚落ちはかなり苦しいが、まだどこかで誤魔化せそうな気がした。
将棋はKoba氏の二歩突っ切り。私は例によって▲3五歩に△2二銀を受けない。以下▲3四歩△2二銀▲3三歩成△同銀▲3四歩△2二銀となったが、私はここで得た1歩を8筋方面で使うつもりだ。
数手進んで私は△8六歩▲同歩△8五歩。ここでKoba氏が応接しなかったので、私は△8六歩と取り込んだ。これは大きい。
上手にどんな狙いがあろうとも、△8五歩には断乎▲同歩としたい。
部分第1図から△8七歩成▲同金△8六歩▲7七金△7六歩▲7八金△8七歩成▲同金△8六歩▲9七金△8五桂(部分第2図)と進んだ。
2度目の△8七歩成の時、Koba氏が「ダンスの歩か…」とつぶやいたが、この手筋を知っているとは、Koba氏はやはり並の級位者ではない。
だがKoba氏も失敗した。第2図で別の場所に手をやったのが失着で、ここでは▲9八金ともう一手辛抱すべきだった。仮に私が△8七歩成▲同金としても、△8六歩と打つ最後の一歩がない。
戻って▲7七金の時、私は△8五桂と跳ねるべきだった。これに▲7八金なら△8七歩成▲同金△8六歩でよい。最初は歩で金を取る狙いだったが、金桂交換でも上手は満足しなければいけなかった。
幸い本譜も△9七桂成と駒得し、これは上手が優勢になった。
進んで第3図。ここで▲4五飛と逃げた手が▲6五飛を見て一石二鳥。私はお手伝いをしたかと焦ったが、よく見ると下手玉が詰んでいる。
すなわち△6八金▲同金△同桂成▲同玉△7六桂▲7九玉△8八金(投了図)までである。Koba氏は一瞬詰みと分からなかったが、角の利きが素晴らしく通っている。
2局目はSato氏と。Sato氏とは毎回激戦が多いが、たいてい私が劣勢になり、そこから惨敗するか逆転勝ちするかのパターンになる。
振駒でSato氏の先手になり、▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角。早々に飛車先の歩を決めてきた。これはSato氏に用意の作戦があるか、私の戦法を狭めるかの意味がある。そのどちらも外す意味で、私はその後中飛車に振った。
数手後Sato氏は▲9八香と穴熊の明示。しかし▲5八金を上がっているのがどうなるか。
私は向かい飛車に振り直した。それでSato氏の▲6八角が必要となり、右金の活用が難しくなった。
Sato氏は角の利きを活かして▲2四歩と伸ばす。私も△5三角の利きを活かして△2六歩と伸ばしたが、緩着。ここは△6四角と飛車取りに覗くべきだった。
というのは、Sato氏の▲4八金が形に捉われない好手で、次に▲3七金~▲2六金が実現すると、後手は完封負けしてしまう。
私は角銀交換の駒損で攻めたてたが、Sato氏に正しく応接されて、敗勢。
それ以降も美濃囲いのコビンを執拗に攻められ、私は投了寸前になった。
指導対局なら投げていたが、30秒将棋では心の整理がつかないから、なんとなく指し継いでしまう。
そのうちSato氏にも疑問手が出て、気が付けばこちらにもずいぶん楽しみのある将棋になっていた。
第1図以下の指し手。▲9二竜△5一玉▲6二歩△同金直▲7四桂△6一金引(第2図)
△4六馬と引いて竜銀両取り。Sato氏は▲9二竜と引いて王手。ここで△7三玉もあったが、金銀の多い△5一に引いた。
Sato氏は▲6二歩から▲7四桂と打ち、△6一金引に攻めるか受けるか。
第2図以下の指し手。▲8八銀打△7七歩成▲同桂△6九飛▲8九金△5九飛成▲6八香△5六角▲6六香(第3図)
双方秒読みの時は、分かりやすい手を指せるほうが有利だ。私は相手の手に乗って指せばいいからラクだ。第2図は攻める手もあって迷うところだが、Sato氏は▲8八銀打と守った。だが△7七歩成が利いてしまった。
これを▲同銀と取って△7九馬に▲7三桂もありそうだったが、本譜は▲同桂。ここで△6九飛が狙いすました一手だ。
次に△7九馬があるのでSato氏は▲8九金と埋めたが、私は△5九飛成と角を取って、本局ではじめて有利になったと思った。
戻って▲8八銀打では、▲8八銀と躱す手もあったかもしれない。
▲6八香は攻防の手だが、私は△5六角。Sato氏はいきおい銀を取ったが、ここで後手に決め手がある。
(つづく)
途中、川口駅の立ち食いそば屋が魅力的だったが、今回はやめておく。少しでも節約である。教室には4時キッカリに入った。
洋間では大野八一雄七段が指導対局の真っ最中。和室では生徒同士の対局が行われていた。Ok氏やE氏など、最近では懐かしい顔があった。
「じゃあ大沢さん早速だけど」と、手合い係のW氏がKoba氏との対局をつけてくれた。私の二枚落ちである。
Koba氏は筋がよいので、私の二枚落ちはかなり苦しいが、まだどこかで誤魔化せそうな気がした。
将棋はKoba氏の二歩突っ切り。私は例によって▲3五歩に△2二銀を受けない。以下▲3四歩△2二銀▲3三歩成△同銀▲3四歩△2二銀となったが、私はここで得た1歩を8筋方面で使うつもりだ。
数手進んで私は△8六歩▲同歩△8五歩。ここでKoba氏が応接しなかったので、私は△8六歩と取り込んだ。これは大きい。
上手にどんな狙いがあろうとも、△8五歩には断乎▲同歩としたい。
部分第1図から△8七歩成▲同金△8六歩▲7七金△7六歩▲7八金△8七歩成▲同金△8六歩▲9七金△8五桂(部分第2図)と進んだ。
2度目の△8七歩成の時、Koba氏が「ダンスの歩か…」とつぶやいたが、この手筋を知っているとは、Koba氏はやはり並の級位者ではない。
だがKoba氏も失敗した。第2図で別の場所に手をやったのが失着で、ここでは▲9八金ともう一手辛抱すべきだった。仮に私が△8七歩成▲同金としても、△8六歩と打つ最後の一歩がない。
戻って▲7七金の時、私は△8五桂と跳ねるべきだった。これに▲7八金なら△8七歩成▲同金△8六歩でよい。最初は歩で金を取る狙いだったが、金桂交換でも上手は満足しなければいけなかった。
幸い本譜も△9七桂成と駒得し、これは上手が優勢になった。
進んで第3図。ここで▲4五飛と逃げた手が▲6五飛を見て一石二鳥。私はお手伝いをしたかと焦ったが、よく見ると下手玉が詰んでいる。
すなわち△6八金▲同金△同桂成▲同玉△7六桂▲7九玉△8八金(投了図)までである。Koba氏は一瞬詰みと分からなかったが、角の利きが素晴らしく通っている。
2局目はSato氏と。Sato氏とは毎回激戦が多いが、たいてい私が劣勢になり、そこから惨敗するか逆転勝ちするかのパターンになる。
振駒でSato氏の先手になり、▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角。早々に飛車先の歩を決めてきた。これはSato氏に用意の作戦があるか、私の戦法を狭めるかの意味がある。そのどちらも外す意味で、私はその後中飛車に振った。
数手後Sato氏は▲9八香と穴熊の明示。しかし▲5八金を上がっているのがどうなるか。
私は向かい飛車に振り直した。それでSato氏の▲6八角が必要となり、右金の活用が難しくなった。
Sato氏は角の利きを活かして▲2四歩と伸ばす。私も△5三角の利きを活かして△2六歩と伸ばしたが、緩着。ここは△6四角と飛車取りに覗くべきだった。
というのは、Sato氏の▲4八金が形に捉われない好手で、次に▲3七金~▲2六金が実現すると、後手は完封負けしてしまう。
私は角銀交換の駒損で攻めたてたが、Sato氏に正しく応接されて、敗勢。
それ以降も美濃囲いのコビンを執拗に攻められ、私は投了寸前になった。
指導対局なら投げていたが、30秒将棋では心の整理がつかないから、なんとなく指し継いでしまう。
そのうちSato氏にも疑問手が出て、気が付けばこちらにもずいぶん楽しみのある将棋になっていた。
第1図以下の指し手。▲9二竜△5一玉▲6二歩△同金直▲7四桂△6一金引(第2図)
△4六馬と引いて竜銀両取り。Sato氏は▲9二竜と引いて王手。ここで△7三玉もあったが、金銀の多い△5一に引いた。
Sato氏は▲6二歩から▲7四桂と打ち、△6一金引に攻めるか受けるか。
第2図以下の指し手。▲8八銀打△7七歩成▲同桂△6九飛▲8九金△5九飛成▲6八香△5六角▲6六香(第3図)
双方秒読みの時は、分かりやすい手を指せるほうが有利だ。私は相手の手に乗って指せばいいからラクだ。第2図は攻める手もあって迷うところだが、Sato氏は▲8八銀打と守った。だが△7七歩成が利いてしまった。
これを▲同銀と取って△7九馬に▲7三桂もありそうだったが、本譜は▲同桂。ここで△6九飛が狙いすました一手だ。
次に△7九馬があるのでSato氏は▲8九金と埋めたが、私は△5九飛成と角を取って、本局ではじめて有利になったと思った。
戻って▲8八銀打では、▲8八銀と躱す手もあったかもしれない。
▲6八香は攻防の手だが、私は△5六角。Sato氏はいきおい銀を取ったが、ここで後手に決め手がある。
(つづく)