昨日は私が風俗(ヘルス)に行っている夢を見た。
待合室が豪華な旅館の広間で、サラリーマン風の客が何人もいた。
その後私はトイレを所望したのだが、森林のような場所に案内され、これがトイレとは思えず、私は用が足せなかった。
◇
死んだ子の歳を数えるようだが、最近後悔していることがある。
かつてのウチの会社の得意先は2社のみ。その比率はほぼ7:3だった。
前者A社がメインだったのだが、ウチで製作している商品は複雑で、いくつものパーツで構成されているものが多かった。しかも納品後の検査も厳しく、言いがかりとしか思えないクレームで、全品回収・再検査という屈辱を味わわされたことが何度もあった。もちろん始末書も書かされた。
対して後者B社は、売り上げは少なかったが、部材が単品で納品できるものが多く、金型も少なくて済んだ。クレームもほとんどなく、仮に不良品があっても口頭注意で終わっていた。
今年1月にオヤジが会社を畳むと言った時、私は技術系がからきしダメだったから、一も二もなく従うしかなかった。
しかし数ヶ月が経って職探しがうまくいかないと、今から会社勤めをするより、ウチでの仕事を一部残して、私ひとりでも会社を継続すればよかったのではないか、と考えるようになった。
具体的にはA社との契約を破棄し、B社の仕事だけで糊口をしのぐのである。売り上げは少なくなるが、私一人だけ食べていければいいのだから、何とかなる。
そもそも今回オヤジには、自分が元気なうちに会社を畳んで、プレス機から何からすべて処分してしまいたい、の思惑があった。それにそもそも、私にプレス機をいじらせたくなかった。こういう仕事で五体満足でいる職人は稀で、指の1本や2本ない人はゴロゴロいる。私にそんなあぶない仕事はさせたくなかったのだ。
だがプレス機の処分は、別に会社を畳まなくても、あらかじめ業者を決めておけばいい。
プレス機のほうは、私は根っからの不器用だから、私がプレス機を動かしたら、いつかは指をやる。事実、数年前に叔父とふたりで金型の取り付けをやっている時、私が金型に指を挟んで、あやうく切断、という事態に陥ったことがあった。こんな事態を見ているから、オヤジが慎重になるのも無理はなかった。
だけど私だって子供じゃないんだから、いざ私だけで金型の取り付けをすることになれば、そこは最大限に注意する。
まあ私の独り立ちにはさらに数年かかるだろうし、A社のみ契約を解除するなど社会的にどうなのかと思う。「オタクは得意先を選り好みするのか」と批判されても反論できない。
だけど私だって食べていかなければならないのだ。就職がむずかしいなら、いままでやっていた仕事を継続したほうが近道ではないか。
だがこれが冒頭に書いた「死んだ子の歳を数える」というやつで、B社の金型は全部返却してしまったから、今さら返してくれとは言えない。それに動力の契約も今月に解除し、機材もすべて撤去してしまった。もう、プレス機は動かない。会社は死んでしまったのだ。
それでも昨夜、この思いをオヤジにぶつけたら、オヤジは血相を変えて怒り、私の主張を一蹴した。
いわく、私ひとりでは金型の取り付けはできない、仮にできたとしてもメンテナンスができない、仮にできたとしてもB社一社だけでは経費もろもろで一人分の給料が出ない、私が指をつぶす可能性を否定できない。そして最後にこう付け加えた。
「オレがホントにお前を一人前にしたかったら、心を鬼にして、頭を張り飛ばして、もっと早くから教育をしていたよ。だけどそこが親の甘さで、できなんだ」
ここまで論破されては、私は黙るしかない。
オヤジを説得するには、私の技術があまりにも未熟だった。それこそ10年前から今日この時が来るのを見越して、もっと勉強しなければならなかったのだ。
あんでるせんのマスターに「10年後の自分を想像しろ」と口を酸っぱくして言われたのに、何も行動しなかった私が悪い。
とにかく徹底的に叩きのめされた一夜だった。
待合室が豪華な旅館の広間で、サラリーマン風の客が何人もいた。
その後私はトイレを所望したのだが、森林のような場所に案内され、これがトイレとは思えず、私は用が足せなかった。
◇
死んだ子の歳を数えるようだが、最近後悔していることがある。
かつてのウチの会社の得意先は2社のみ。その比率はほぼ7:3だった。
前者A社がメインだったのだが、ウチで製作している商品は複雑で、いくつものパーツで構成されているものが多かった。しかも納品後の検査も厳しく、言いがかりとしか思えないクレームで、全品回収・再検査という屈辱を味わわされたことが何度もあった。もちろん始末書も書かされた。
対して後者B社は、売り上げは少なかったが、部材が単品で納品できるものが多く、金型も少なくて済んだ。クレームもほとんどなく、仮に不良品があっても口頭注意で終わっていた。
今年1月にオヤジが会社を畳むと言った時、私は技術系がからきしダメだったから、一も二もなく従うしかなかった。
しかし数ヶ月が経って職探しがうまくいかないと、今から会社勤めをするより、ウチでの仕事を一部残して、私ひとりでも会社を継続すればよかったのではないか、と考えるようになった。
具体的にはA社との契約を破棄し、B社の仕事だけで糊口をしのぐのである。売り上げは少なくなるが、私一人だけ食べていければいいのだから、何とかなる。
そもそも今回オヤジには、自分が元気なうちに会社を畳んで、プレス機から何からすべて処分してしまいたい、の思惑があった。それにそもそも、私にプレス機をいじらせたくなかった。こういう仕事で五体満足でいる職人は稀で、指の1本や2本ない人はゴロゴロいる。私にそんなあぶない仕事はさせたくなかったのだ。
だがプレス機の処分は、別に会社を畳まなくても、あらかじめ業者を決めておけばいい。
プレス機のほうは、私は根っからの不器用だから、私がプレス機を動かしたら、いつかは指をやる。事実、数年前に叔父とふたりで金型の取り付けをやっている時、私が金型に指を挟んで、あやうく切断、という事態に陥ったことがあった。こんな事態を見ているから、オヤジが慎重になるのも無理はなかった。
だけど私だって子供じゃないんだから、いざ私だけで金型の取り付けをすることになれば、そこは最大限に注意する。
まあ私の独り立ちにはさらに数年かかるだろうし、A社のみ契約を解除するなど社会的にどうなのかと思う。「オタクは得意先を選り好みするのか」と批判されても反論できない。
だけど私だって食べていかなければならないのだ。就職がむずかしいなら、いままでやっていた仕事を継続したほうが近道ではないか。
だがこれが冒頭に書いた「死んだ子の歳を数える」というやつで、B社の金型は全部返却してしまったから、今さら返してくれとは言えない。それに動力の契約も今月に解除し、機材もすべて撤去してしまった。もう、プレス機は動かない。会社は死んでしまったのだ。
それでも昨夜、この思いをオヤジにぶつけたら、オヤジは血相を変えて怒り、私の主張を一蹴した。
いわく、私ひとりでは金型の取り付けはできない、仮にできたとしてもメンテナンスができない、仮にできたとしてもB社一社だけでは経費もろもろで一人分の給料が出ない、私が指をつぶす可能性を否定できない。そして最後にこう付け加えた。
「オレがホントにお前を一人前にしたかったら、心を鬼にして、頭を張り飛ばして、もっと早くから教育をしていたよ。だけどそこが親の甘さで、できなんだ」
ここまで論破されては、私は黙るしかない。
オヤジを説得するには、私の技術があまりにも未熟だった。それこそ10年前から今日この時が来るのを見越して、もっと勉強しなければならなかったのだ。
あんでるせんのマスターに「10年後の自分を想像しろ」と口を酸っぱくして言われたのに、何も行動しなかった私が悪い。
とにかく徹底的に叩きのめされた一夜だった。