札幌からは再び地下道を通る。リュック脇のペットボトルホルダーには、「ヨーグリーナ」を入れてあるので、いつでも飲める。
15分で大通会場に着いた。氷像はライトアップされており、昼とは違う顔を見せている。やはり色がついたほうがきらびやかだ。
ズルッ!!
移動中、ぬかるみに足を取られ、転びそうになった。
5丁目のトット商店街では、雪のスクリーンに、札幌の街並みの影絵が映し出された。
反対側の台北賓館は、2色でライトアップされている。
忘れないうちに、グッズ売り場で缶バッジ(200円)と雪まつり絵ハガキ(16枚セット500円)を買っておく。迷ったが。絵ハガキは別の店でもう1冊買った。耳鼻科の女先生(もちろん既婚)に差し上げるためだ。まったく、我ながら何をしているんだろう。
7丁目の凱旋門は、フランス国旗の3色でライトアップ。ステージではNatsuki&ブライトが、サッポロゴスペルライブのリハーサルをやっていた。このライブはこのあと午後8時より行われる。
8丁目の奈良・興福寺中金堂はプロジェクションマッピングが行われていた。プロジェクションマッピングはだいぶ定着したが、これは一度プログラミングをしてしまえば、ステージの演者なしに集客が見込める。先の影絵もそうだが、不景気による経費削減において、このシステムは救世主であろう。今後プロジェクションマッピングは、有人イベントの代替としてますます増えると思う。
それにしても喉が渇いた。…あれ? リュックの網にあったヨーグリーナがない!!
あっ、さっきこけそうになった時に、網から飛び出てしまったのか!? まだ一口しか飲んでなかったのに!!
私は今きた道を戻ったが、ヨーグリーナはない。いや仮に見つけたところで、それが私のモノという保証はない。拾う行為は可能だが、飲むのは勇気が要る。
こうなると、猛烈に喉が渇いてきた。しかしここでジュースはバカバカしくて買えないところである。もう少し我慢するしかない。
凱旋門に戻る。8時になって、Natsuki&ブライトのコンサートが始まった。むかしはこの時間に「さよならさっぽろ雪まつり」のコーナーがあり、関係者代表のスピーチやミスさっぽろの引継ぎ式、各丁目の代表者が登場するなど、豪華だった。
それが経費削減のためか消滅し、いまは彼女らのコンサートが雪まつりの締めとなっている。
しかし私は、ヨーグリーナを落としたショックが尾を引いて、ちっともライブを楽しめない。なんでヨーグリーナを一口しか飲まなかったんだ。もっとゴクゴク飲んでおけば…。
そこに自分の将来を重ね合わせると、虚しい気持ちが募ってくる。何だかいろんな種類の後悔が渦巻いて、心ここにあらずだった。
ライブが終わり、最後に「すすきの氷の祭典会場」に向かう。雪まつりは夜も観光タイムなのだ。
氷の祭典といえば、魚を氷に閉じ込める「魚氷」が有名だが、昨年、北九州市のスケートリンクで、リンクに魚を閉じ込めた行為が非人道的とされ、その余波はすすきのも襲った。
でも札幌市民は今年も魚氷の展示に踏み切った。その意気やよしである。
氷像はみんな白でライトアップされているので、いささか単調だ。私はフラッシュなしで撮影しているが、うまく撮れてないと思う。まあ氷像や雪像は、肉眼で見て楽しむのがいちばんだ。
氷の女王(2人)の撮影会があったので、私を入れて撮ってもらう。私は自分が写真に入るのが大嫌いで、旅行写真でも自分のそれは滅多にないが、今回はふらふらと入ってしまった。
撮影後液晶モニターで確認すると、トトロのような巨体をして、ニヤけたハゲの顔があった。だから写真はイヤなのだ。
ちょっと小腹がすいた。すすきの会場の近くに馴染みのそば屋があったのだが、何年か前に移転してしまった。そこを調べていくほど私はヒマではないが、札幌のそばは食べたい。
昨年、中島公園の「福住」で食べたそばも美味かったが、いまからそこに行くのは億劫だ。で、近くに「一心」があったので、入った。
ここは何年か前にオープンしたのだが、なんとなく割高な感じで、いままで入店を躊躇っていたのだ。
店内は簡素な作りで、立ち食いそばっぽくもある。言っちゃあなんだが、小諸そばのほうがよほど雰囲気がある。
ただし値段はしっかりしていて、白そばと黒そばは各600円。ちなみに、あいもりは700円。それで白そばの大盛り(800円)を頼んだ。
そばはもちろん更級で、美味かった。福住よりやや噛みごたえがあるが、そばの香りは高く、のど越しもよく、美味い。800円はちょっと高めだが、出す価値は十分にあると思った。
これにてすすきのを失礼する。今宵の宿は、地下鉄・北24条の近くにある「北海道第一ホテル」(4,000円)である。札幌や千歳付近に拘らなければ、男一人が廉価で泊まれる宿はいくらでもある。
チェックイン後、RadikoでミスDJを聴こうとしたら、区域外で聴けなかった。
そうか、そうだよね…。
翌朝は早いので、早めに就寝した。
翌13日(月)。私は6時前に起きた。今日はもう帰京するだけである。
ホテルから徒歩1分のところにバスターミナルがあり、新千歳空港行きのバスが出ている(約65分、1,030円)。早朝の空港行きで便利なのは、乗り換えなしで空港カウンター前に横づけしてくれるバスである。その意味で、この便の存在は大きかった。
朝6時、私はホテルのロビーでチケットを買い、ターミナルでバスを待った。
これで今年の冬まつり旅行も終わりである。いろいろあったが、楽しかったというべきだろう。また来年もここに来られるよう精進しなければならないが、5月からの職探しは厳しいものになるだろう。
…想像するだに恐ろしい。
(おわり)
15分で大通会場に着いた。氷像はライトアップされており、昼とは違う顔を見せている。やはり色がついたほうがきらびやかだ。
ズルッ!!
移動中、ぬかるみに足を取られ、転びそうになった。
5丁目のトット商店街では、雪のスクリーンに、札幌の街並みの影絵が映し出された。
反対側の台北賓館は、2色でライトアップされている。
忘れないうちに、グッズ売り場で缶バッジ(200円)と雪まつり絵ハガキ(16枚セット500円)を買っておく。迷ったが。絵ハガキは別の店でもう1冊買った。耳鼻科の女先生(もちろん既婚)に差し上げるためだ。まったく、我ながら何をしているんだろう。
7丁目の凱旋門は、フランス国旗の3色でライトアップ。ステージではNatsuki&ブライトが、サッポロゴスペルライブのリハーサルをやっていた。このライブはこのあと午後8時より行われる。
8丁目の奈良・興福寺中金堂はプロジェクションマッピングが行われていた。プロジェクションマッピングはだいぶ定着したが、これは一度プログラミングをしてしまえば、ステージの演者なしに集客が見込める。先の影絵もそうだが、不景気による経費削減において、このシステムは救世主であろう。今後プロジェクションマッピングは、有人イベントの代替としてますます増えると思う。
それにしても喉が渇いた。…あれ? リュックの網にあったヨーグリーナがない!!
あっ、さっきこけそうになった時に、網から飛び出てしまったのか!? まだ一口しか飲んでなかったのに!!
私は今きた道を戻ったが、ヨーグリーナはない。いや仮に見つけたところで、それが私のモノという保証はない。拾う行為は可能だが、飲むのは勇気が要る。
こうなると、猛烈に喉が渇いてきた。しかしここでジュースはバカバカしくて買えないところである。もう少し我慢するしかない。
凱旋門に戻る。8時になって、Natsuki&ブライトのコンサートが始まった。むかしはこの時間に「さよならさっぽろ雪まつり」のコーナーがあり、関係者代表のスピーチやミスさっぽろの引継ぎ式、各丁目の代表者が登場するなど、豪華だった。
それが経費削減のためか消滅し、いまは彼女らのコンサートが雪まつりの締めとなっている。
しかし私は、ヨーグリーナを落としたショックが尾を引いて、ちっともライブを楽しめない。なんでヨーグリーナを一口しか飲まなかったんだ。もっとゴクゴク飲んでおけば…。
そこに自分の将来を重ね合わせると、虚しい気持ちが募ってくる。何だかいろんな種類の後悔が渦巻いて、心ここにあらずだった。
ライブが終わり、最後に「すすきの氷の祭典会場」に向かう。雪まつりは夜も観光タイムなのだ。
氷の祭典といえば、魚を氷に閉じ込める「魚氷」が有名だが、昨年、北九州市のスケートリンクで、リンクに魚を閉じ込めた行為が非人道的とされ、その余波はすすきのも襲った。
でも札幌市民は今年も魚氷の展示に踏み切った。その意気やよしである。
氷像はみんな白でライトアップされているので、いささか単調だ。私はフラッシュなしで撮影しているが、うまく撮れてないと思う。まあ氷像や雪像は、肉眼で見て楽しむのがいちばんだ。
氷の女王(2人)の撮影会があったので、私を入れて撮ってもらう。私は自分が写真に入るのが大嫌いで、旅行写真でも自分のそれは滅多にないが、今回はふらふらと入ってしまった。
撮影後液晶モニターで確認すると、トトロのような巨体をして、ニヤけたハゲの顔があった。だから写真はイヤなのだ。
ちょっと小腹がすいた。すすきの会場の近くに馴染みのそば屋があったのだが、何年か前に移転してしまった。そこを調べていくほど私はヒマではないが、札幌のそばは食べたい。
昨年、中島公園の「福住」で食べたそばも美味かったが、いまからそこに行くのは億劫だ。で、近くに「一心」があったので、入った。
ここは何年か前にオープンしたのだが、なんとなく割高な感じで、いままで入店を躊躇っていたのだ。
店内は簡素な作りで、立ち食いそばっぽくもある。言っちゃあなんだが、小諸そばのほうがよほど雰囲気がある。
ただし値段はしっかりしていて、白そばと黒そばは各600円。ちなみに、あいもりは700円。それで白そばの大盛り(800円)を頼んだ。
そばはもちろん更級で、美味かった。福住よりやや噛みごたえがあるが、そばの香りは高く、のど越しもよく、美味い。800円はちょっと高めだが、出す価値は十分にあると思った。
これにてすすきのを失礼する。今宵の宿は、地下鉄・北24条の近くにある「北海道第一ホテル」(4,000円)である。札幌や千歳付近に拘らなければ、男一人が廉価で泊まれる宿はいくらでもある。
チェックイン後、RadikoでミスDJを聴こうとしたら、区域外で聴けなかった。
そうか、そうだよね…。
翌朝は早いので、早めに就寝した。
翌13日(月)。私は6時前に起きた。今日はもう帰京するだけである。
ホテルから徒歩1分のところにバスターミナルがあり、新千歳空港行きのバスが出ている(約65分、1,030円)。早朝の空港行きで便利なのは、乗り換えなしで空港カウンター前に横づけしてくれるバスである。その意味で、この便の存在は大きかった。
朝6時、私はホテルのロビーでチケットを買い、ターミナルでバスを待った。
これで今年の冬まつり旅行も終わりである。いろいろあったが、楽しかったというべきだろう。また来年もここに来られるよう精進しなければならないが、5月からの職探しは厳しいものになるだろう。
…想像するだに恐ろしい。
(おわり)