一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

C級1組順位戦最終戦のドラマ

2022-03-10 01:24:09 | 男性棋戦
第80期C級1組順位戦最終戦は8日に行われた。
ここまで及川拓馬七段の昇級が決まっており、あとの2枠を8勝1敗の大橋貴洸六段、7勝2敗の飯島栄治八段、高橋道雄九段が追っていた。
夜、大橋六段が勝って9勝1敗となり、2人目の昇級決定。しかし飯島八段は佐藤和俊七段に屈し7勝3敗。高橋九段のキャンセル待ちとなった。
だが高橋九段の相手は、2勝7敗で降級点の決まっている先崎学九段である。先崎九段は米長邦雄永世棋聖の弟子ではあるが、勝負に執着するタイプでもないので、ここは高橋九段が取ると思われた。
ところが将棋というのは、肩の力が抜けたほうがいい将棋になる場合が少なくない。あと言葉は悪いが、見切り発車的に指した手が意外に厳しい手だったりして、そこが将棋の面白いところでもある。果たして高橋-先崎戦もいい勝負になった。
そして深夜、先崎九段が勝った。すんでのところで昇級を逃した高橋九段の悔しさはいかばかりだったか。高橋九段は米長永世棋聖の兄弟弟子なのも何かの因縁か。昇級ならずは誰のせいでもない、おのが実力不足を嘆くよりないのだった。
それにしても高橋九段、勝てば61歳の昇級となっただけに、惜しかった。
実は似たような例が40年近く前にもあった。第42期順位戦C級2組(昇降級リーグ4組)である。
この期、61歳の広津久雄八段は9回戦を終えて8勝1敗。最終戦に勝てば文句なく昇級で、大きな話題になること必定だった。
最終戦の相手は71歳の小堀清一八段。小堀八段は腰掛け銀の名手で、無類の将棋好きから「将棋学徒」と呼ばれた。当時のC級2組は降級点がない天国のような場所だったが、71歳の老雄にそれは関係なかった。
将棋は広津八段が負け、順位の差で昇級ならず。私は当時から実年世代を応援していたが、高校の先輩は、「年寄りが昇級するより、若手が昇級するほうがいいよ」と言ったものだ。
ちなみにこの期の3人目の昇級は、土佐浩司四段だった。
さて書き遅れたが、今期の3人目の昇級はそういうわけで、飯島八段がすべりこんだ。7勝は最終的に、8人になったから、順位の差がモノを言った。まさに昇級枠が3人になったことの恩恵だが、飯島八段は4勝6敗でC級1組に降級していたから、釣り合いは取れている。
順位戦は各クラスでドラマがある。だから順位戦は面白い。
コメント
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