14日は、第33期女流王位戦挑戦者決定戦が行われた。
その前に、当ブログでは8月20日に予選通過者の予想を軽くやった。その答え合わせはしなかったが、正解4、間違い2だった。
そしてリーグ戦は、紅組で渡部愛女流三段が4勝1不戦敗で優勝、白組は5勝0敗で西山朋佳白玲・女王が優勝した。そして14日の決戦を迎えたというわけである。
両者は第1期白玲戦以来の対戦。渡部女流三段には厄介な相手だが、男性棋士が大山康晴五冠に挑戦する際、その前に升田幸三九段を倒さねばならなかったように、渡部女流三段がタイトル戦に出るなら、必ず倒さねばならない相手なのだ。
将棋は渡部女流三段の先手で、居飛車VS西山女流二冠の四間飛車となった。西山女流ニ冠には中飛車や三間飛車を予想していたから、やや意外だった。
渡部女流三段は▲5七銀から▲7七角とし、左美濃か穴熊というところ。渡部女流三段は振り飛車に対しては、このどちらかを採用することが多い。
対して西山女流二冠は△9二香。西山女流二冠の穴熊は珍しいのではないか。しかも△9四歩を突いたあとだから、なお意外だった。
渡部女流三段は銀冠に組み、▲8五歩。このあと▲8六角~▲7七桂となれば盤石だが、西山女流二冠はそうされる前に動く。△7二飛である。
対して渡部女流三段は▲8六銀(図)と上がり△7五歩を拒否したが、個人的にはこの形、8七の地点に空間ができて、好きではない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/c9/5d850605e708549088f03bb03aee7606.png)
ただ渡部女流三段の狙いは別にあって、▲9五歩△同歩▲同銀と棒銀に出た。
これを△9五同香は▲同角で先手十分。よって西山女流二冠は△7三金と力をためたが、渡部女流三段は▲5五歩△6三銀▲2六飛。▲5五歩△6三銀の利かしはいいとして、私ならじっと▲9四歩と抑えておく。逆から見たらこの形は結構なプレッシャーになると思うからだ。
ただ実戦はこのあと、▲9四歩~▲8四歩が実現し、先手も戦える形に見えた。
しかしもう一押しがない渡部女流三段は、▲3四飛から▲3三飛成と、飛角交換に出る。これは角を持駒にして大きいが、西山女流二冠も飛車を持った。
果たして西山女流二冠は△2八飛~△2九飛成から△9八歩~△8六桂。この局面を改めて見ると、上擦らされた△8五歩が攻めの足場になり、さらには▲8四の歩を△7三の金で取りつつ、△7二飛を敵陣に直通させる手も見ている。つまり後手には指したい手がいっぱいあるのだ。
渡部女流三段は4手をかけて飛車角交換を実現したのに、それほどでかしていないのが誤算だった。
実戦もこのあと、西山女流二冠が手堅くまとめて勝ち。里見香奈女流王位への挑戦権を獲得した。
渡部女流三段は残念だったが、西山女流二冠に勝つためには、「精進」しかない。私には縁のない単語だが、栄光を勝ち取るためには、精進あるのみである。
なお当ブログでは、10月31日に、緒戦者決定リーグの大まかな予想を書いた。
実際は加藤圭女流二段が不発だったが、ほかはまあまあ当たっていたと思う。ただこれは、将棋ファンのほとんどが考えることである。
その前に、当ブログでは8月20日に予選通過者の予想を軽くやった。その答え合わせはしなかったが、正解4、間違い2だった。
そしてリーグ戦は、紅組で渡部愛女流三段が4勝1不戦敗で優勝、白組は5勝0敗で西山朋佳白玲・女王が優勝した。そして14日の決戦を迎えたというわけである。
両者は第1期白玲戦以来の対戦。渡部女流三段には厄介な相手だが、男性棋士が大山康晴五冠に挑戦する際、その前に升田幸三九段を倒さねばならなかったように、渡部女流三段がタイトル戦に出るなら、必ず倒さねばならない相手なのだ。
将棋は渡部女流三段の先手で、居飛車VS西山女流二冠の四間飛車となった。西山女流ニ冠には中飛車や三間飛車を予想していたから、やや意外だった。
渡部女流三段は▲5七銀から▲7七角とし、左美濃か穴熊というところ。渡部女流三段は振り飛車に対しては、このどちらかを採用することが多い。
対して西山女流二冠は△9二香。西山女流二冠の穴熊は珍しいのではないか。しかも△9四歩を突いたあとだから、なお意外だった。
渡部女流三段は銀冠に組み、▲8五歩。このあと▲8六角~▲7七桂となれば盤石だが、西山女流二冠はそうされる前に動く。△7二飛である。
対して渡部女流三段は▲8六銀(図)と上がり△7五歩を拒否したが、個人的にはこの形、8七の地点に空間ができて、好きではない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/c9/5d850605e708549088f03bb03aee7606.png)
ただ渡部女流三段の狙いは別にあって、▲9五歩△同歩▲同銀と棒銀に出た。
これを△9五同香は▲同角で先手十分。よって西山女流二冠は△7三金と力をためたが、渡部女流三段は▲5五歩△6三銀▲2六飛。▲5五歩△6三銀の利かしはいいとして、私ならじっと▲9四歩と抑えておく。逆から見たらこの形は結構なプレッシャーになると思うからだ。
ただ実戦はこのあと、▲9四歩~▲8四歩が実現し、先手も戦える形に見えた。
しかしもう一押しがない渡部女流三段は、▲3四飛から▲3三飛成と、飛角交換に出る。これは角を持駒にして大きいが、西山女流二冠も飛車を持った。
果たして西山女流二冠は△2八飛~△2九飛成から△9八歩~△8六桂。この局面を改めて見ると、上擦らされた△8五歩が攻めの足場になり、さらには▲8四の歩を△7三の金で取りつつ、△7二飛を敵陣に直通させる手も見ている。つまり後手には指したい手がいっぱいあるのだ。
渡部女流三段は4手をかけて飛車角交換を実現したのに、それほどでかしていないのが誤算だった。
実戦もこのあと、西山女流二冠が手堅くまとめて勝ち。里見香奈女流王位への挑戦権を獲得した。
渡部女流三段は残念だったが、西山女流二冠に勝つためには、「精進」しかない。私には縁のない単語だが、栄光を勝ち取るためには、精進あるのみである。
なお当ブログでは、10月31日に、緒戦者決定リーグの大まかな予想を書いた。
実際は加藤圭女流二段が不発だったが、ほかはまあまあ当たっていたと思う。ただこれは、将棋ファンのほとんどが考えることである。