一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

女流名人位戦5番勝負を振り返る(後編)

2012-02-24 00:04:58 | 女流棋戦
きのう23日、PJ(ピーチ・ジョン)のテレビCMを観た。幕開きは平凡に見えたが、テーマがテーマなので、後半に期待がかかる。そして感動のラスト。男の妄想を実現させてくれる、うれしい内容だった。これは「主婦編」で、ほかにも「OL編」「農業編」があるらしい。ほかの2本も楽しみである。

(きのうのつづき)
・第3局
5日(日)に行われた第3局は、先番里見香奈女流名人の石田流三間飛車。清水市代女流六段は棒金の構えを採った。しかし△8三金とは出ず、中央を厚くする。▲4五銀に△3三金も清水流の金上がり。このあたりの清水の指し手は、米長邦雄永世棋聖のそれを見ているようだった。そう、清水は米長永世棋聖の将棋に心酔しているのではなかろうか。いままでの一連の指し手を見て、そう思う。ただし、ふたりのそれは似て非なるものである。米長永世棋聖のそれが手厚いのに対して、清水のそれはゴテゴテと重たいだけである。
63手目▲6三歩成の成り捨てに、清水は△同金。形からいえば△同銀右と取りたいところだが、それは▲5五歩△同銀▲6五桂△5二金▲7三桂成で先手優勢。△6三同金はやむを得ぬ取り方だったが、こう指さざるを得ないようでは、清水の構想自体が悪かったということだ。
76手目△6八歩成の金取りに、▲4五歩(打)と金取りに返したのが事実上の決め手。これは並の女流棋士には打てない。里見、面目躍如の一手だった。
以下、里見の快勝。防衛に大きく近づいた。

・第4局
関西将棋会館で行われた一局。記録係は室谷由紀女流初段だった。ちなみに第3局の記録係は飯野愛研修会員。彼女が女流棋士になれば、女流棋士ファンランキングのトップ10以内に入る。
後手番里見がどの筋に飛車を振るか注目されたが、四間飛車だった。私は里見の四間飛車を信用していないので、里見に勝つ気があるのか疑ったものだった。
清水は穴熊に構える。対四間飛車には左美濃が多く、それで勝率もいいのに、なぜ穴熊を採用したのか分からない。清水は棒金を得意にしているが、実際は右玉の薄い将棋も指しこなすなど、元来は中央志向の戦いを得意とする。そんな清水に穴熊の将棋は合わないと思うのだ。清水、カド番に追い込まれ、余裕を欠いていたのかもしれない。
清水は7筋の歩を切り、▲7七金寄。金銀4枚が固まって、アマチュア同士なら勝負あったというところ。しかし前述のように、ここからが勝負なのだ。
里見は△4六歩から△3三桂だが、狙いが分からない。これは先手を持ちたくなった。
しかし90手目の△4七歩に、▲4六飛成と馬を消しに行ったのはどうだったか。代わる指し手もむずかしいが、これが最善ではなかったと思う。
95手目▲2二角に、△2四角と引いた手が、里見の才能を示した一手だった。ここは普通なら、香を取りながら△1九角成とするところ。先手にも▲3三角成と桂を取られるが、後手は△4六歩とし、敵飛を抑え込めるからだ。
しかし里見は角をも封じる方が得策と判断し、取れる香を取らずに△2四角と辛抱したのだ。ノータイムでも指せそうなこの局面で、角成以外の手を考える姿勢が素晴らしい。
さらに20手以上進んで119手目、清水が▲5二角と妖しい角を放った局面。ここは金香交換の駒得で里見の優勢だが、先手には▲7四歩の狙いもあり、安心はできない。
ここは後手もいろいろな勝ち方があるが、どう指して優位を拡げるか、センスを問われるところである。
里見は敵歩の頭に△6五角と打った。これがまたまた里見の才能を示した一手だった。▲6五同歩なら△7六竜と飛車を抜いて里見勝ち。清水は▲7七飛だが、△6六竜として歩切れを解消。△6五角は7四と9八、八方に利く名角となり、実戦も△9八角成以下端に殺到して、里見の快勝となった。
本局、里見の四間飛車は見事だった。シリーズ当初はぎごちなかったが、戦いながら四間飛車を自分のものにしていった感じだ。
誤解を恐れずに言えば、里見は本局に負けても、最終局はエース・ゴキゲン中飛車の投入で勝てる、という自信もあったのではないか。その余裕が、四間飛車を指させたと思えた。
ともあれ里見女流名人、3連覇おめでとうございます。
清水女流六段も捲土重来を期し、来年もこの5番勝負の場に戻ってきてもらいたい。
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女流名人位戦5番勝負を振り返る(前編)

2012-02-23 00:47:04 | 女流棋戦
きのう2012年2月22日は上野のTSUTAYAに行き、同日発売の「PJ(ピーチ・ジョン)」を買った。表紙は道端アンジェリカが前号に続いて登場。彼女と南海キャンディーズ・山里亮太のCMもオンエアされるという。放映が楽しみだ。

先ごろ終了した、第38期女流名人位戦5番勝負・里見香奈女流名人VS清水市代女流六段戦を、ほかの棋戦も交えて振り返る(以下、肩書きは省略)。

・マイナビ女子オープン準決勝
開幕は1月15日(日)だったが、この4日前の11日(水)、マイナビ女子オープン準決勝で、ふたりの激突があった。本5番勝負の前哨戦である。
この将棋、後手の里見が何と四間飛車に振った。里見といえば「ゴキゲン中飛車」が代名詞であり、清水戦の成績もよい。公式戦の重さに差異があってはいけないが、マイナビも準決勝まで来れば相当な勝負である。どうして「エース」を投入しないのか、いぶかしく思った。
本局は清水の競り勝ち。しかしこれで、5番勝負が面白くなった。

・第1局
出雲市で行われた第1局は、里見の先手。振り飛車は想定内として、どこに振るかが注目されたが、またも四間に振ったのでズッコケた。
対する清水は自然体で四枚美濃に構える。清水の振り飛車対策は、ゴキゲン中飛車には棒金、四間飛車には左美濃と、清水システムが構築されている。棒金のほうはちょっと指し手がダサイが、左美濃での指し回しは手堅く、これはいい勝負になると思った。
しかし里見、実戦不足の弊害が出たか、▲5六銀と出てから▲4六金~▲4七銀引が変調だった。この金銀が逆なら固いが、逆形ではスキが目立つ。ここから清水が指し易くなったようだ。
清水は終始リードを保ち、万全の指し回し。終盤で怪しくなったものの、逆転までには至らなかったようである。
終局図で里見の▲4六金、▲4七銀が残っていたのが、本局のすべてを物語っていた。

・第2局
1週間後の22日(日)、千葉県野田市の関根名人記念館で行われた第2局は、里見がやっとゴキゲン中飛車に構えた。
奨励会初段の里見は、励会でも相矢倉を指すなどし、意識的に芸域を拡げている。先のマイナビ女子オープンや前局でも、その意気込みは十分伝わったが、しかし勝負は勝たなければ意味がない。何も番勝負にまで不慣れな戦法を持ち込むことはないじゃないか、と外野は思ったわけである。
里見のゴキゲン中飛車に対して清水の対策が注目されたが、本局は棒金ではなく、▲4七銀から▲6八銀~▲7七銀と構えた。
このあと▲6六銀と出ると思いきや、すぐに▲6六歩としたので、ズッコケた。これが清水流なのか。しかし、私も対振り飛車で▲7七銀型に組むことがあるが、これは角が使いづらく、幸せになった試しがない。百戦錬磨の清水がどうまとめるのか注目したが、のちに▲6八銀と引いたので、またもズッコケた。
このあとどういう展開になるのか分からぬが、これは里見が勝つと思った。結果も里見の逆転勝ち。清水、次が踏ん張りどころとなった。

・マイナビ女子オープン挑戦者決定戦
第2局から11日後の2月2日(木)、清水と長谷川優貴女流初段との間で、マイナビ女子オープンの挑戦者決定戦が行われた。
長谷川の先手中飛車で始まったこの将棋、虚々実々の応酬が繰り広げられたが、中盤で清水が放った△1四金、△5一桂、△2四銀の三連打が、驚愕の辛抱だった。それまでは清水がわずかに有利だと思っていたから、これでもかという防御には心底驚いた。
清水は将棋を有利に進めていながら、ときどき駒をベタベタと自陣に打って形勢を混沌とさせることがある。本局はそれが顕著に出てしまった。
この将棋はもちろん、里見も見ていたはずである。そしてどう思ったか。清水与し易し、と思ったのではないだろうか。
(つづく)
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私がよく観るテレビ番組

2012-02-22 00:10:44 | プライベート
先日、ある女流棋士から、私の好きなテレビ番組を聞かれた。そこできょうは、2012年1月~3月のクールで、私が毎週観ているテレビ番組を発表する。
時間が重複したり、時間的に観られない番組もあるが、それはビデオに録って観ている。番組内容によって観たり観なかったりする番組もあるが、観る頻度の高い番組は記す。

・日曜日
10:00~ NHKEテレ NHK将棋講座
10:15~ NHKEテレ NHK杯将棋トーナメント
11:45~ NHKEテレ 囲碁・将棋フォーカス(将棋の回のみ)
18:00~ テレビ東京 ドライブA GO!GO!
19:58~ テレビ朝日 大改造!!劇的ビフォーアフターSeason2

・月曜日
12:00~ フジテレビ 笑っていいとも!(月~金)
19:00~ フジテレビ ネプリーグ
20:00~ TBSテレビ ステップファザー・ステップ 主演・上川隆也
21:00~ TBSテレビ 月曜ゴールデン

・火曜日
19:56~ 日本テレビ 踊る!さんま御殿!!
20:54~ テレビ東京 開運!なんでも鑑定団
21:00~ フジテレビ ストロベリーナイト 主演・竹内結子

・水曜日
19:00~ テレビ朝日 ナニコレ珍百景
20:00~ テレビ東京 いい旅夢気分
21:00~ テレビ朝日 相棒10 主演・水谷豊
21:00~ テレビ東京 水曜ミステリー9
21:00~ フジテレビ ホンマでっか!?TV
22:00~ 日本テレビ ダーティ・ママ! 主演・永作博美

・木曜日
20:00~ テレビ朝日 科捜研の女 主演・沢口靖子 
21:00~ フジテレビ とんねるずのみなさんのおかげでした
23:58~ 日本テレビ デカ黒川鈴木 主演・板尾創路

・金曜日
21:00~ フジテレビ 金曜プレステージ

・土曜日
09:30~ 日本テレビ ぶらり途中下車の旅
18:00~ テレビ朝日 人生の楽園
18:30~ フジテレビ もしもツアーズ
19:00~ テレビ東京 土曜スペシャル
21:00~ テレビ朝日 土曜ワイド劇場

推理モノは1時間モノ、2時間モノを問わずに観ている。旅行番組や雑学モノも好きだ。しかし何といっても面白いのは将棋番組だろう。NHK杯将棋トーナメントの、人間対人間の筋書きのないドラマは、作り物のドラマよりはるかに面白い。今後私の生活習慣が変わろうとも、将棋はずぅっと観続けるだろう。
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十九たび大野教室に行く(後編)・二棋士の教え

2012-02-21 00:14:09 | 大野教室
神経を使う将棋になった。Fuj氏は▲5六角だが、この手を見落としていた。▲8三金の飛車殺しと▲2三角成の両狙いだ。私は△2六飛と打ち、▲8三金なら△5六飛▲同歩△8三飛を見たが、ここに飛車を打つようでは面白くなかった。
△2六飛では△7一銀と引き、▲2三角成なら△2六飛と打ち、△2八飛成を狙うべきだった。
中盤、Fuj氏が▲3七桂と跳ね、次に▲2五桂と△3三銀取りを見せた手に対し、私が△2一飛と打ったのが敗着となった。▲2五桂打とされ、遅ればせながらの△2四歩だが、▲3三桂成△同玉に▲6六角が、間接的に玉を狙って厳しかった。適当な受けもないので、私はここで投了。
感想戦では、真っ先に△2一飛を悔やんだ。ここは△2四歩が正着で、先手の持ち駒は角金桂だが歩切れが大きく、これといった攻めがない。Fuj氏は▲3五桂としたが、そこで△2一飛とすれば、次に△3四歩を楽しみにして、後手も指せる形である。どうも消化不良の1局だった。
以上で将棋対局は終了。しかし2勝4敗はいただけない。植山悦行七段の危惧したとおり、初戦以外はさんざんな内容となってしまった。
このあとは食事会だが、なんとなく時間があったので、大野八一雄七段と植山七段に、Ii君との将棋を見ていただく。自分のヘボ将棋をプロに見ていただくのは気恥ずかしいが、これも大野教室の特色である。
初手から並べていったが、私が▲4八飛と回った手に、大野七段が疑問を呈した。△4四歩を突いてないのに、飛車が回るのはおかしいというわけだ。
将棋の一手一手には意味がある。しかしアマは相手の手を見ずに、自分の指したい手を指してしまうところがある。反省せねばならない。
中盤、Ii君が△9七歩と垂らして問題の場面になる。ここから私が▲8六歩と催促してIi君の攻めが始まるのだが、△9一香までの投了の局面は、先手もそうひどい手を指していないようである。
どうも妙だが、受けていてはダメなので攻め合いに転じ、後手玉に迫ってみる。▲4一角と打つ。この手は詰めろなのか? 数手進め、
「これであらかた後手玉は詰みでしょう?」
と言うと、植山七段が
「それはダメです。最後までちゃんと読まないと」
と釘を刺した。
この会話は以前もあった。終盤は勝ち負けに直結する大事なところ。形だけで判断するのではなく、最後までキッチリ読むのが大切だと、植山七段は説いているのである。
しかし正確に検討すると、どうも先手が足りないようだ。もう一度△9五香からの攻めを検討するが、やはり先手がつぶれている。
「これは攻めが繋がってますねえ」
と大野七段。もうひとつ、△7六歩に▲7八玉の変化も進めてみるが、やはり後手の攻めを切らすのは容易ではなかった。
「これは大沢さん、ツクリが悪かったんですよ」
と植山七段も続ける。私は苦笑するしかなかった。

このあとは食事会に行く。どこに行くか迷ったが、デパート内にあるトンカツ屋に入る。参加者と席の配置は以下のとおり。

      壁
   植山 W Minami Fuj
衝立
   一公 大野 フランク Mizumo Is

私はMizumoちゃんと同じ、かつ丼を頼む。しかし1,365円は高いと思った。
食事のあとは、駅前のサイゼリヤに入って、ティータイムである。ここでの席の配置は以下のとおり。

Is  大野  W  Fuj

一公 フランク 植山 Minami Mizumo
   壁

席に着いてしばらく経って、MizumoちゃんがFuj氏とW氏の間に座った。
ここでのおしゃべりは硬軟織り交ぜて多岐に渡った。私も北海道旅行の土産話をする用意はあったのだが、みんなにその関心はなかったようである。
それよりもフランクさんが、しきりに将棋を指したがる。フランクさんは泣く子も黙る大学教授だが、どうして大野教室とジョナ研のメンバーは、万国共通で将棋バカが多いのだろう。
W氏が布盤と駒を持っていたので、私が相手をする。将棋は相矢倉模様になった。後手番の私が中飛車に変化したが、どうも指し手がぎごちない。
フランクさんの▲2四歩△同歩▲同飛に、私は△2三歩と謝らず、△3三銀と突っ張る。▲2八飛に△6四角(打)▲3七角(打)△5五歩(打)。私は△6四角に期待したのだが、▲3七角に△5五歩と打つようではおかしかった。
以下はフランクさんの指し手が冴え、最後は▲2三歩と△3一玉の逃げ道を防がれて、私の投了となった。
局後、横目で見ていた大野七段に指摘されたのだが、△6四角では△2七歩!が正着。▲同飛△3八角で馬作りが約束され、後手の大優勢だった。ゴキゲン中飛車で、居飛車側が不用意に飛車先の歩を交換してきたときにある筋だが、全然見えなかった。
それにしてもフランクさんは強い。私も彼に負けず、将棋の勉強をしなければならない。
今夜も大いに笑って、11時55分に散会。駅に向かう途中、私が例の話をすると、前を歩いていたMizumoちゃんが、目を丸くして振り向いた。まだその話してるの!?という顔だ。
まだMizumoちゃんがこの話を聞くのは2回目だが、これでウンザリするようでは、Mizumoちゃんは私の友達にはなれない。もっとも、私とオトモダチになるなんぞ、あちらからお断りであろう。
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十九たび大野教室に行く(中編)・ダブル大錯覚

2012-02-20 20:53:59 | 大野教室
以下の手順。▲8六歩△同角▲8七銀△6八角成▲同金△9八歩成▲同玉△7六歩▲7八歩△9五香▲9六歩△同香▲同銀△8六金▲8七銀△9二飛▲9六歩△同金▲同銀△同飛▲8八玉△8七銀▲同玉△9九飛成▲8六銀△9六歩▲9八香△9一香 まで、Ii君の勝ち。

私は▲8六歩△同角と呼びこんで▲8七銀だが、これに△6四角では▲8六歩で後手切れ筋なので、いきおい△6八角成と切る。▲同金△9八歩成には▲同香もあるが、私は▲同玉しか考えなかった。
しかし△7六歩には迷った。ここは▲8八玉もあるところ。しかし△7七金以下の攻めが存外しつこいので、私は▲7八歩と打った。
Ii君は△9五香以下捨て身の攻めだが、△8七銀と捨てて△9九飛成の局面では私の角得である。しかし△9六歩▲9八香△9一香と進んでみると、後の△9七○成に▲同桂と取れない(▲4九飛が抜かれる)ので、どうにも受けがない。ここで私は投了した。
戻って、△9六同飛には▲9七歩が利くと錯覚していた。実際は歩切れで、この歩は打てない。この勘違いが痛かった。
しかしどうにも不可解な負けで、勝ったIi君も首をヒネっていた。
4局目はHanaちゃんと。Hanaちゃんの先手中飛車に私は玉頭位取りに出るが、Hanaちゃんに快調に攻められ、早くも不利になった。
▲5一竜▲6二角・持駒銀歩、△3二玉△4二金△4三金△4五歩…の局面で、Hanaちゃんは▲3一銀。しかし△4一金に▲同竜△同玉▲2二銀成の攻めは荒かった。これは詰めろでないので、私は先手玉に詰めろ詰めろと迫る。
Hanaちゃん、▲2六角成とするようでは、私の勝勢になった。しかしここから事件が起きる。

▲1七玉▲2二成銀▲2六馬▲2七歩▲6五銀・持駒桂金、△3四銀△3七と△4一玉△5三金△6三歩…の局面で、▲5四桂△同金▲同銀に、△2五桂▲同馬と進んだとき、私は大錯覚に気付いた。
▲2五同馬に△同銀と取れば先手玉は必至だが、銀が4三から離れたので、後手玉には▲5三桂△5一玉▲6一金△4二玉▲4三金までの即詰みが生じている。▲5三桂に△4二玉も、▲5三金以下詰みだ。さりとてここで受けようにも、▲2五馬が働きだしたから、もうダメだ。
絶望した私は、ここで投了した。まったく、ひどいココセをしたものだ。
しかし感想戦を続けるうち、とんでもないことが分かった。
投了の局面で、▲2五同馬に読みどおり△2五同銀と取っておけば、▲5三桂に△5二玉と逃げて、後手玉は詰まないことが分かったのだ!
ウオアアーーッ!! ま、またやっちまったのか!? 相手玉に必至を掛ければよかったものを、自玉が詰みと勘違いして、またも勝ちの将棋を投げてしまった!!
二重の錯覚をしていては勝てない。まったく、ひどい将棋だった。
5局目はSai氏と。Sai氏も大野教室は長くなるが、意外にも私とは初対局。Sai氏は高校時代に将棋に熱中したが、その後20年くらいブランクがあったという。それにしては昨年もO奨励会3級に平手で勝ちそうになったりして、地力のあるところを見せている。容易ならざる相手である。
Sai氏の先手で相矢倉となった。私は△7五歩から歩交換を果たし△7四銀と立つが、▲4六角に△9二飛、▲7六銀△4二角▲7五歩にも△8三銀と引くことになり、これでは模様が悪くなった。
以下もSai氏に自在に指され、私の(△1三)玉は風前のともしび。Sai氏は▲3五銀だが、指した瞬間、アッ、と言った。ここは▲3五金打がよかったようだ。
そして私の△2八飛に、▲2四金(と寄る)が敗着。△同飛成以下清算して、後手玉が行き返った。植山悦行七段の指摘によると、ここは▲3七桂と跳ね、次に▲2五桂打を狙えば先手必勝だったという。
序盤からずっと苦しい将棋で、最後は拾わせてもらった。こういう将棋は勝ってもうれしくない。
もう午後5時をとっくに過ぎていたが、Fuj氏が来る。きょうはY氏主宰の将棋研究会に参加したあと、大野食事会に参加するために、わざわざ来たという。私も使った手ではあるが、熱心なことである。
Fuj氏と指す。Fuj氏の▲2四同飛に、私はマイブームの△2三歩。ここで▲3四飛なら後手がわずかに不利だが、それで即負けになるほど将棋は単純ではない。
Fuj氏は▲3四飛と取った。そう来なくては男ではない。
(つづく)
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