きのう23日、PJ(ピーチ・ジョン)のテレビCMを観た。幕開きは平凡に見えたが、テーマがテーマなので、後半に期待がかかる。そして感動のラスト。男の妄想を実現させてくれる、うれしい内容だった。これは「主婦編」で、ほかにも「OL編」「農業編」があるらしい。ほかの2本も楽しみである。
(きのうのつづき)
・第3局
5日(日)に行われた第3局は、先番里見香奈女流名人の石田流三間飛車。清水市代女流六段は棒金の構えを採った。しかし△8三金とは出ず、中央を厚くする。▲4五銀に△3三金も清水流の金上がり。このあたりの清水の指し手は、米長邦雄永世棋聖のそれを見ているようだった。そう、清水は米長永世棋聖の将棋に心酔しているのではなかろうか。いままでの一連の指し手を見て、そう思う。ただし、ふたりのそれは似て非なるものである。米長永世棋聖のそれが手厚いのに対して、清水のそれはゴテゴテと重たいだけである。
63手目▲6三歩成の成り捨てに、清水は△同金。形からいえば△同銀右と取りたいところだが、それは▲5五歩△同銀▲6五桂△5二金▲7三桂成で先手優勢。△6三同金はやむを得ぬ取り方だったが、こう指さざるを得ないようでは、清水の構想自体が悪かったということだ。
76手目△6八歩成の金取りに、▲4五歩(打)と金取りに返したのが事実上の決め手。これは並の女流棋士には打てない。里見、面目躍如の一手だった。
以下、里見の快勝。防衛に大きく近づいた。
・第4局
関西将棋会館で行われた一局。記録係は室谷由紀女流初段だった。ちなみに第3局の記録係は飯野愛研修会員。彼女が女流棋士になれば、女流棋士ファンランキングのトップ10以内に入る。
後手番里見がどの筋に飛車を振るか注目されたが、四間飛車だった。私は里見の四間飛車を信用していないので、里見に勝つ気があるのか疑ったものだった。
清水は穴熊に構える。対四間飛車には左美濃が多く、それで勝率もいいのに、なぜ穴熊を採用したのか分からない。清水は棒金を得意にしているが、実際は右玉の薄い将棋も指しこなすなど、元来は中央志向の戦いを得意とする。そんな清水に穴熊の将棋は合わないと思うのだ。清水、カド番に追い込まれ、余裕を欠いていたのかもしれない。
清水は7筋の歩を切り、▲7七金寄。金銀4枚が固まって、アマチュア同士なら勝負あったというところ。しかし前述のように、ここからが勝負なのだ。
里見は△4六歩から△3三桂だが、狙いが分からない。これは先手を持ちたくなった。
しかし90手目の△4七歩に、▲4六飛成と馬を消しに行ったのはどうだったか。代わる指し手もむずかしいが、これが最善ではなかったと思う。
95手目▲2二角に、△2四角と引いた手が、里見の才能を示した一手だった。ここは普通なら、香を取りながら△1九角成とするところ。先手にも▲3三角成と桂を取られるが、後手は△4六歩とし、敵飛を抑え込めるからだ。
しかし里見は角をも封じる方が得策と判断し、取れる香を取らずに△2四角と辛抱したのだ。ノータイムでも指せそうなこの局面で、角成以外の手を考える姿勢が素晴らしい。
さらに20手以上進んで119手目、清水が▲5二角と妖しい角を放った局面。ここは金香交換の駒得で里見の優勢だが、先手には▲7四歩の狙いもあり、安心はできない。
ここは後手もいろいろな勝ち方があるが、どう指して優位を拡げるか、センスを問われるところである。
里見は敵歩の頭に△6五角と打った。これがまたまた里見の才能を示した一手だった。▲6五同歩なら△7六竜と飛車を抜いて里見勝ち。清水は▲7七飛だが、△6六竜として歩切れを解消。△6五角は7四と9八、八方に利く名角となり、実戦も△9八角成以下端に殺到して、里見の快勝となった。
本局、里見の四間飛車は見事だった。シリーズ当初はぎごちなかったが、戦いながら四間飛車を自分のものにしていった感じだ。
誤解を恐れずに言えば、里見は本局に負けても、最終局はエース・ゴキゲン中飛車の投入で勝てる、という自信もあったのではないか。その余裕が、四間飛車を指させたと思えた。
ともあれ里見女流名人、3連覇おめでとうございます。
清水女流六段も捲土重来を期し、来年もこの5番勝負の場に戻ってきてもらいたい。
(きのうのつづき)
・第3局
5日(日)に行われた第3局は、先番里見香奈女流名人の石田流三間飛車。清水市代女流六段は棒金の構えを採った。しかし△8三金とは出ず、中央を厚くする。▲4五銀に△3三金も清水流の金上がり。このあたりの清水の指し手は、米長邦雄永世棋聖のそれを見ているようだった。そう、清水は米長永世棋聖の将棋に心酔しているのではなかろうか。いままでの一連の指し手を見て、そう思う。ただし、ふたりのそれは似て非なるものである。米長永世棋聖のそれが手厚いのに対して、清水のそれはゴテゴテと重たいだけである。
63手目▲6三歩成の成り捨てに、清水は△同金。形からいえば△同銀右と取りたいところだが、それは▲5五歩△同銀▲6五桂△5二金▲7三桂成で先手優勢。△6三同金はやむを得ぬ取り方だったが、こう指さざるを得ないようでは、清水の構想自体が悪かったということだ。
76手目△6八歩成の金取りに、▲4五歩(打)と金取りに返したのが事実上の決め手。これは並の女流棋士には打てない。里見、面目躍如の一手だった。
以下、里見の快勝。防衛に大きく近づいた。
・第4局
関西将棋会館で行われた一局。記録係は室谷由紀女流初段だった。ちなみに第3局の記録係は飯野愛研修会員。彼女が女流棋士になれば、女流棋士ファンランキングのトップ10以内に入る。
後手番里見がどの筋に飛車を振るか注目されたが、四間飛車だった。私は里見の四間飛車を信用していないので、里見に勝つ気があるのか疑ったものだった。
清水は穴熊に構える。対四間飛車には左美濃が多く、それで勝率もいいのに、なぜ穴熊を採用したのか分からない。清水は棒金を得意にしているが、実際は右玉の薄い将棋も指しこなすなど、元来は中央志向の戦いを得意とする。そんな清水に穴熊の将棋は合わないと思うのだ。清水、カド番に追い込まれ、余裕を欠いていたのかもしれない。
清水は7筋の歩を切り、▲7七金寄。金銀4枚が固まって、アマチュア同士なら勝負あったというところ。しかし前述のように、ここからが勝負なのだ。
里見は△4六歩から△3三桂だが、狙いが分からない。これは先手を持ちたくなった。
しかし90手目の△4七歩に、▲4六飛成と馬を消しに行ったのはどうだったか。代わる指し手もむずかしいが、これが最善ではなかったと思う。
95手目▲2二角に、△2四角と引いた手が、里見の才能を示した一手だった。ここは普通なら、香を取りながら△1九角成とするところ。先手にも▲3三角成と桂を取られるが、後手は△4六歩とし、敵飛を抑え込めるからだ。
しかし里見は角をも封じる方が得策と判断し、取れる香を取らずに△2四角と辛抱したのだ。ノータイムでも指せそうなこの局面で、角成以外の手を考える姿勢が素晴らしい。
さらに20手以上進んで119手目、清水が▲5二角と妖しい角を放った局面。ここは金香交換の駒得で里見の優勢だが、先手には▲7四歩の狙いもあり、安心はできない。
ここは後手もいろいろな勝ち方があるが、どう指して優位を拡げるか、センスを問われるところである。
里見は敵歩の頭に△6五角と打った。これがまたまた里見の才能を示した一手だった。▲6五同歩なら△7六竜と飛車を抜いて里見勝ち。清水は▲7七飛だが、△6六竜として歩切れを解消。△6五角は7四と9八、八方に利く名角となり、実戦も△9八角成以下端に殺到して、里見の快勝となった。
本局、里見の四間飛車は見事だった。シリーズ当初はぎごちなかったが、戦いながら四間飛車を自分のものにしていった感じだ。
誤解を恐れずに言えば、里見は本局に負けても、最終局はエース・ゴキゲン中飛車の投入で勝てる、という自信もあったのではないか。その余裕が、四間飛車を指させたと思えた。
ともあれ里見女流名人、3連覇おめでとうございます。
清水女流六段も捲土重来を期し、来年もこの5番勝負の場に戻ってきてもらいたい。