一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

20日の歯科治療のご報告

2015-01-21 22:21:15 | プライベート
20日の歯科治療の顛末を記しておく。
診療室に入ると、アシスタントのおばちゃんに「歯を抜くことになったから浮かない顔ですね」と言われた。抜歯…それも歯根を抜くのだから、たしかに憂鬱ではある。
前夜オヤジは「Oは滅多なことでは歯を抜かないから、そうなるのはよほどのことだ」と言った。
たしかに、有無を言わさず健康な歯を削るSとは雲泥の差で、Oでサジを投げられたのでは仕方ない。私はもう、覚悟を決めていた。
前回は詰め物を取ってクスリを塗り、ゴムでかぶせた。3日経って、歯茎が落ち着いたようだ。
念のためレントゲンを撮り、状態を確認する。私は観念していたが、先生は、このまま様子を見ることを選択した。考えてみれば、歯根を抜いたら抜きっ放しなわけだから、性急になることもない。
もっとも今回は「執行猶予」で、6月にまた行くことになった。そのときに歯根が浮き出てきているから、抜きましょう、ということである。
ただ、再びゴムでフタをすると、隙間から雑菌が入り歯茎を傷めるので、そのまま放置。よって、この歯は空洞となった。
もちろん5か月後も歯根が現状を保っている可能性はあるが、それは少ない、と先生は見ている。
私は複雑な気持ちで、歯医者を後にした。
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将棋ペンクラブ新年会(後編)

2015-01-20 00:18:27 | 将棋ペンクラブ
A氏は三間に飛車を振ってきた。二枚落ち定跡には、二歩突っ切りや銀多伝などがあるが、定跡に捉われず、指したい手を指すのがいいと思う。
こういう席だから私も気楽に、のびのびと指す。
中盤、△4五歩で角を仕留めた。A氏は▲7三角成と、桂と刺し違えるが、△同金▲7四歩△7二金▲6四桂の結果は、意外に上手難しい。
数手後の▲6三とに私は△同玉と強く取ったが、▲7三飛成△5四玉となって、玉が危険地帯に近づき、よくなかった。といって▲6三とに△4二玉とも逃げにくく、やはり難しい。
かように二枚落ちは、上手に厳しい手合いなのである。
終盤に進み、A氏が▲4八銀とと金を払えば勝勢だったのだが、このあたりで飲み会の時間が近づき、A氏の思考に支障が出たようだ。
本譜は別の手で攻めてこられたので、私が九死に一生を得た。最後は連続王手が出現し、A氏無念の投了。私はルールに助けられる形となった。
A氏は何ともいえない表情だったが、こういう席では、勝敗は関係ない。また指しましょう。
別のテーブルでは、湯川博士幹事が渡部愛女流初段に、チェスを教えていた。両者がこうやって交流を深めるのは、いいことだと思う。

時刻は午後4時半を過ぎ、ここから新年の飲み会である。木村晋介会長以下関東在住の幹事がすべて揃い(たぶん)、豪華なメンバーだ。その中に私がいるのが場違いな気がする。
めいめい席に着く。私の4人掛けテーブルは、向かいに新人氏、ナナメ向かいにIn氏、左にOhh氏が座った。右のテーブルには、渡部女流初段。木村会長の隣で、この配置はしょうがない。こことはテーブルが離れているので、私は渡部女流初段と、話はできない。
まずは木村会長の音頭で「乾杯三唱」となる。「かんぱい、かんぱい、かんぱーい!!」。将棋ペンクラブは相変わらず、不思議な集団だ。
私は人見知りが激しいので、専らIn氏と話す。聞くと、In氏はどこかで将棋を教えているそうで、たくさんの奨励会員、女流棋士と知り合いらしい。
と、窪田義行六段が見えた。窪田六段は将棋ペンクラブをひいきにしてくれていて、こうした席には皆勤である。私たちは窪田六段のような棋士を、敬愛するのである。
みんな、将棋の話題でかまびすしい。いつの日も将棋のネタは尽きず、私もいくつか隠し玉があるのだが、言える話と言えない話がある。
1時間ほどして、木村会長が退席となる。去り際、「韓国の歌。あーコリャコリャ。中国の歌。あーチャイナチャイナ…」など、鉄板のネタを披露して、会場を後にした。

私は、現在ひそかに研究している形があり、それをIn氏に質してみた。本当は渡部女流初段にぶつけたかったのだが、仕方ない。この研究、In氏は否定的だったが、一発勝負では使えそうだった。
ほかにも女流棋士の話題などをいろいろ話すが、私が女性の奨励会員を最大限評価しているのに対し、女流棋士の実力も相当なもの…というのがIn氏の見解だった。
今宵のメニューは飲み放題と、豊富な料理。サラダから始まり、マグロのカマ、刺身、白身の唐揚げと、けっこう出てくる。左のOhh氏はいつの間にか消えていて、後方の席でMi氏と将棋を指していた。この光景、恐ろしくデジャヴだ…。
ちょぼちょぼ席替えがあって、向かいの新人氏は、別の新人氏になった。こういう席に招かれる人と招かれない人の差は何かと思うが、明確な規定はないのだろう。それがペンクラブ流である。
新人氏のリードで、改めて自己紹介をする。新人氏は名前をItouといった。ペンクラブには昨年入会したそうで、将棋を始めて間が浅いという。しかし女流棋士との初めての指導対局が矢内理絵子女流五段だったそうで、うらやましい限りだ。
ともあれ先ほどの新人氏もそうだが、こうして若い力が加わってくれるのは、ありがたいことだ。
Mi氏とOhh氏は再び場所を移し、将棋を指していた。中野隆義夫妻が見えたのでプチ移動があり、結果、私がOhh氏のテーブルで将棋を指すことになった。
だが中盤の入口のところで、このテーブルに一般客が着くことになった。私たちは居酒屋の一角を借りていて、ここはその範囲外だったのだ。
私は元のテーブルに戻ってもいいのだが、中締めの7時半にも近くなったので、これで失礼することにした。

将棋ペンクラブにおカネはないが、将棋を愛する気持ちは人一倍ある。私は何もできないが、拙い文章を投稿したりして、少しでもお役に立てればと思う。
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将棋ペンクラブ新年会(中編)

2015-01-19 19:00:40 | 将棋ペンクラブ
In氏は将棋ペンクラブに尽力している幹事であるが、その素性は実のところ、よく分からない。ただ将棋のほうは、交流会で見る手つきを見ても、相当な手練れであることは確かだ。
私とは以前対局したことがあるそうだが、全然記憶にない。たぶん、私が負けたのだろう。
傍らにはチェスクロックが置かれていて、こちら側は15分30秒、In氏側は初手から20秒に設定されている。しかしIn氏が直す気配がないので、それがそのまま私とのハンデキャップになるようだった。
私の先手で対局開始。角換わりから、In氏が棒銀に出る。私は▲9六歩から▲4八玉。あまり気は進まないが、右玉に構えた。
△8六歩▲同歩△同飛に▲2九飛。ここまでくれば、一安心である。
「大沢さん、やっぱり…」
とIn氏。「しっかり指せるんじゃないですか」
ふだんの指し手にムラがある(ありそう)と言わんばかりだったが、私は気分で指すタイプなので、これはしょうがない。
数手後の△8七角にはスパッと▲同金と取った。これは△同飛成で竜を作れるだけに、In氏は私がもう少し考えると思ったらしい。ただ▲8九飛と回っても、△8六歩で後手が十分だったようだ。私は全然読んでおらず、僥倖だった。

以下の指し手。▲3七角打△8八竜▲8九歩△8七竜▲6四角△同歩▲同角△6三歩▲9一角成△6四角▲同馬△同歩▲8八香△7六竜▲6七銀△同竜▲同金△6五歩▲8一香成△6六歩
▲同金△3三桂打▲4六桂△4五桂▲3四桂△3七銀▲5八玉△5七桂成▲同玉△3三銀打▲同桂成△同銀▲4二桂成△同金▲6一飛△3一歩▲4五桂△7五桂▲3三桂成△同桂
▲3四銀△4八角▲6八玉△6六角成▲同飛成△6七金▲同竜△同桂成▲同玉△7五桂▲7六玉△6七飛▲2四桂△同歩▲2三角 まで、一公の勝ち。

私は▲3七角と打ち、手ごたえを感じた。△8八竜に▲8九歩が細かいところで、ここで竜筋を外したことで、後に効果が現れる。
△6四同歩に▲8八香以下が俗だが、無理やり飛車を取れば戦えると思った。
以下は華々しい攻め合いとなる。あまり読みは入っていないが、負けてもともとだから、怖いものはない。右の渡部女流初段が興味深そうにこちらを見ている。ちょっと誇らしかった。
終盤△6七飛に▲2四桂。これをIn氏が△同歩と取ったため、▲2三角でトン死となった。以下は△2二玉に▲1二角成で、簡単な詰み。
戻って△2四同歩ではもちろん△4一玉と逃げるところで、これなら私は▲7八金と1回手を戻すつもりだった。が、以下△6三飛成でまだまだ大変な勝負だった。
感想戦。そもそも私の▲2四桂が疑問で、「こう指すところでしょう」とIn氏に▲2三銀成を指摘された。なるほどこの手があったか。全然読んでいなかった。
とはいえ▲2四桂に△同歩は、ふつうは指さない。In氏に錯覚があったとも思えぬから、In氏はこのあたりで対局を切り上げようとしたのではないかと思う。
検討は序盤に戻り、In氏は「△3一玉型にするんだった」としきりに後悔した。
強者と戦っていつも思うのは、検討のポイントが序盤の構想にあることである。そこを悔やみますか? というところをやる。これが私にはできず、大いに参考にしたいところだ。
ともあれペンクラブ最強のIn氏に勝てたことは、大きな自信になった。
新年会の参加者も徐々に増え、15人を越えた。ほとんどが将棋を指しているが、やはりみんな、将棋が好きなのだ。私もまだ指す。次は湯川恵子さんと指すことになった。
恵子さんについては改めて記すまでもない。女流アマ名人を何度も獲り、女流名人戦の観戦記者を長年務め、ペンクラブ大賞を何度も受賞している、アマ将棋界を代表する将棋ライターである。ちなみに今期の女流名人戦五番勝負の観戦記は、第2局を担当するという。
さて私と恵子さんは意外にも初対局。それも道理で、交流会などで顔を合わせても、恵子さんは裏方に徹しているから、なかなかお手合わせの機会がないのだ。
じゃんけんで先後を決め、恵子さんの先手。恵子さんの得意戦法が分からぬから手探り状態だったが、雁木に構えてきた。
私も似たような囲いになり、△3五歩とちょっかいを出してみる。これを▲同歩は△3六歩だからどうするのかと見ていると、恵子さんは▲4七金。
さすがの力強さで、△3六歩▲同金のあと▲3五金と進出され、△3三歩と謝るようでは面白くなかった。
その後▲4四歩と打たれれば私の銀損が確定、そのまま負けるところだったが、恵子さんは2筋から攻めかかる。
これも厳しかったが、やや攻めが細くなったようだ。私も寸隙を縫って反撃し、際どく一手勝ちを収めることができた。
「近代将棋」元編集長の中野隆義氏にもいえることだが、将棋関係者はおうおうにして勝敗に淡白だ。あくまでも将棋を楽しみ、シャカリキに勝ちにいかない。これは大いに見習いたいところである。
もう少し将棋が指せるようだ。次はA氏と指すことになった。
A氏は私が敬愛する作家で、出す本はいずれも好評だ。もちろん将棋も強いのだが、今回は二枚落ちを所望され、ひっくり返った。
私とA氏は平手の手合いが妥当。以前私が角を落としたが、勝ちはしたものの内容は完全な負けだった。A氏、それほどまでして私に勝ちたいのかと、私は苦笑するよりなかった。
というわけで、私の二枚落ちで対局が始まった。
(つづく)
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将棋ペンクラブ新年会(前編)

2015-01-18 12:14:59 | 将棋ペンクラブ
1月某日、将棋ペンクラブ幹事のA氏から、ペンクラブ新年会のお誘いを受けた。日にちは17日(土)。その日は「大野・植山教室」があり、Ok氏が私との対局を望んでいた気もするのだが、新年会にはLPSAの渡部愛女流初段が出席するという。これなら選択の余地はない。私はノータイムで、新年会参加を決めた。

17日当日。私は午前中に歯医者に行き、昼過ぎに家を出た。場所はお茶の水にある居酒屋「魚百」で、ここはペンクラブ会合時の定番である。開始時間は午後1時半で、ここで4時半まで将棋を指し、そこからは7時半まで飲み会となる。ひとつところでふたつのイベントができるわけで、ジョナサン駒込店のペンクラブ版といえる。
現地まではJRを使ったが、地下鉄で行けば乗り換えなしで行けた…と後悔しながらJR御茶ノ水駅を出ると、どこかのブラスバンドの演奏とともに、チアリーダーがパレードを始めたところだった。
チアは17人もいて、先頭は「小川町雪だるまフェア」の垂れ幕を持っていた。その先、応援団の先頭は東京大学の旗を掲げていた。…ということは、彼女らは東大生か!!
魚百までは同じ方向なので、並行して歩く。スコートからのぞく彼女らの太ももがまぶしい。歩道にはカメラマンがチラホラいて私もカメラ小僧の血が騒ぐが、カメラ不携帯なので指す手がない。かといってスマホでは撮影したくない感じである。
靖国通りに出、パレードは日本橋方面に向かう。このまま彼女らの太ももを鑑賞しちゃおうかの思いがよぎるが、渡部女流初段の笑顔が脳裏に浮かび、ハッと我に返った私は踵を返した。

「小諸そば」に寄る時間がなくなり、1時25分ごろ魚百前に来ると、すでに何人かそろっていた。
M幹事、A幹事ら数名に混じり、渡部女流初段の顔がある。新年一発目の女流棋士が愛ちゃんとは、幸先がいい。早速新年の挨拶をした。
「きょう、ひし美ゆり子の写真集の発売日ですよね。そこの本屋で、ひし美ゆり子のポスターが貼られてましたよ」
とA氏。
そう、きょうは「ひし美ゆり子写真集 YURIKO 1967-73 Evergreen」の発売日である。私は復刊ドットコムからオーダーし、15日には現物が届いていた。といっても、まだ中身は見ていないのだが。
二階に上がる。すぐに湯川博士幹事、恵子さんが到着して、9人になった。
渡部女流初段が近くにいたので、私は
「マイナビはどの辺まで勝ち残ってるの?」
と話しかける。
「……?」
「あっ、マイナビは愛ちゃんもう(敗退していた)…。大詰めだったね」
適当に話題を振ったら、それが大悪手だった、というケースはよくある。
「年賀状ありがとう」
とは湯川幹事。別に後ろめたいことはないのだが、湯川幹事と話すときは、いつもビビッてしまう。
「ブログ見ましたよ」
とは恵子さん。ネットサーフィンをしていて、昔のペンクラブの記事を偶然見たらしい。私も書きたいことを書いているので、恐縮してしまう。ただ内容はともかく、昔の記事の方が勢いはあった。

参加者はこのあと続々到着予定で、最終的には20人を超す模様だ。とりあえずめいめいで将棋を指す。
私はKob氏と。Kob氏、月に1回行われる将棋の会合に出ているそうで、成績はメロメロだと嘆く。そんな話を聞けば与しやすしと思うが、これ大変な間違いだったことを思い知らされることになる。
将棋は私の四間飛車に、Kob氏の居飛車穴熊となった。
Kob氏▲6五歩に私はよろこんで△同桂。▲6六銀には△5三銀と飛車筋を通し、▲6八角に、△6六角▲同金△5七銀と攻めた。
…のはいいが私らしからぬ攻めで、まあこれでもいいが、この前に△4六歩▲同歩の利かしを入れておくべきだった。これなら後で△4六飛と走れる。
本譜は難しい戦いになった。

以下の指し手。▲3一角△7五角成▲同飛△3二飛▲4一角△3三飛▲2二角成

Kob氏は▲3一角。これに△3二飛は▲6四角成や▲6四金があり後手面倒だ。
そこで私は先に角を切り、△3二飛と寄った。これで角が死に後手十分と見たが、Kob氏に涼しい顔で▲4一角と打たれ愕然とした。
△3一飛と取りたいが、それは▲6三角成で負ける。私は△3三飛と辛抱したが、▲2二角成と追撃され、おのが敗勢を悟った。
以後はKob氏に着実に指され、惨敗となった。Kob氏、弱そうにほのめかしながら、相当な手練れだ。いやはや、いい勉強になった。
渡部女流初段は2面指しを行っていたが、タイミングよく終わったので、指導対局をお願いする。
LPSAサロンに行かなくなってから、女流棋士との対局はかなり貴重になった。
▲7六歩△8四歩▲5六歩△8五歩▲7七角△5四歩▲7八銀△6二銀▲6八角△3四歩▲7七銀。
4手目△8五歩を咎めようと、私は矢倉を目指したのだが、変調だった。こう指すなら3手目に▲6八銀と指すべきで、明らかに舞い上がっていた。
右では木村晋介ペンクラブ会長が、飛車落ちで挑んだ。木村会長は軽快な振り飛車を得意としている。
本譜は中央から攻め込まれ、早々に▲5八歩と屈服する始末。湯川幹事に「ひどいね」とつぶやかれ、クサッタ。
そこから私も徐々に凝り形をほぐし、むしろ私が十分の形勢になったのだが、渡部女流初段の8筋の攻めを軽視した。△8八歩に▲同銀も▲同玉も△6七金があり、下手敗勢。私は桂損を甘受したが、それがやがて金損となり、ここでイヤになった。
私は▲6四桂の飛車取り。しかし△4二飛とかわされ、二の矢がない。▲5三角成と飛び込み、△4二飛と△5四銀に当てる手はあるが、幸便に△6五銀と出られる手が気に食わない。それで投了したら、渡部女流初段に盛大に驚かれた。
In幹事を交えた感想戦では、△6五銀でも相当難しい、となったが、私が戦意喪失しているのだからしょうがない。
「ここで投げるのはもったいないですよ」
とIn氏。
「いや私、苦しい将棋を指すのはイヤなんですよ。やうたんじゃないんだから」
「固有名詞を出すのはどうかと思う」
と、Hak氏が笑いながら言う。
ただIn氏は相当に違和感を抱いたようで、今度は私とIn氏が指すことになった。
私がどういう将棋を指すか、見てみたくなったらしい。
(つづく)
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左上7番の歯の悲劇

2015-01-17 22:12:27 | プライベート
以前も書いたことがあるかもしれないが、また書く。
世の中にヤブ医者は星の数ほどいるけれど、救いようがないのは「歯医者」だ。
たとえば内科の場合、医者がヘンな薬を出しても、患者が自然治癒してしまうから、問題にはなりにくい。
これが歯医者になると、少し事情が変わってくる。
たとえば治療してもらったばかりの詰めものが取れてしまったとする。患者は当然歯医者に行くが、医者が「申し訳ありませんでした」と迷惑料をくれるかといえばそうではなく、逆に患者が「ありがとうございました」と、重ねて治療費を出すのだ。まるでアベコベである。
虫歯か否かの判断が難しいところでも、ヤブはどんどん歯を削る。歯科治療の最大の特徴は、患部が残らない、ということだ。だから極論すれば、健康な歯を虫歯と偽って、治療してしまうことも可能である。何しろ証拠が残らないのだから。
まあそこまではいかなくても、「詰め物が古くなったから」といって再治療をすることはある。そのたびに健康な歯が削られ、詰め物から金冠、入れ歯へと進行していく。この手の歯医者はかなり多いと思われる。これでは患者が毎日歯を磨いていても、意味がない。

私が小学生の時最初に訪れた歯医者Oは、駅向こうに居を構える名医だったが、私にとって「ドリル」を持つ歯医者は殺人鬼と同義語で、もうOには行くものかと思った。
次に虫歯ができた時、私は近所の歯医者Sに行った。しかしこれが、おのが人生を左右した悪手。大失敗だった。
私は学校の検診の「虫歯1本」で行ったのだが、Sは何回行っても治療を終えてくれない。
たしかに学校の検診は甘いところもあるから、見落とされた虫歯もあったかもしれないが、それにしたって多すぎる。
どうもSは、前の歯医者で治療した箇所を、全部治療し直しているようだった。
結局虫歯は、「9本」も治療された。気が付くと私の口内は、金属だらけになっていた。
2年か3年かあと、「虫歯1本」で再びその医者にいったときも、ほかにも数本治療された。
そんな中学1年だか2年のある日、家でりんごを食べていたら、左上7番の歯の詰め物が欠けた。
しかしSに行けば、その治療だけで終わらず、また何本か健康な歯を削られる。
私はそのまま放っといたが、ある日ズキズキ痛みが走り、たまらずSに行った。
すると、「なんでこうなるまで放っといたっ!!」と怒鳴られ、金冠をかぶせられた。
そもそもこの歯は小学生の時、「この歯も治療(?)しておこう」と削られたもの。そのときこのヤブがしっかり治療しなかったから、こんな事態になった。放っておいた私も悪いが、Sにだって非はあろう。
私が予備校生のとき、かぶせていた金冠がズレ、私はまたSに行った。このときも最終的に、9本治療?された。
ここに至り私はやっと、Sを見放した。このままいったら数年後に総入れ歯にされると、本気でおののいたのだ。しかし払った代償はあまりにも大きく、私はおのが決断の鈍さに呆れたのだった。

次に見つけた歯医者Iは、駅前にできたところだった。ここで私は、Sのヤブぶりを盛大にアピールした。Iの先生は聞いてくれたが、同意まではしない。それはそうで、同業者を悪く言うわけがない。
ここでは、左上7番の金冠を付け直してもらった。接着部分がズレて、痛みが生じていたからだ。Iは気乗りしないふうだったが、無理を言って治療してもらった。
ところがその2年後、ここの金冠が外れ、三たびつけ直してもらった。ただ何となく、Iもヤブっぽいことが分かった。

次に虫歯ができたとき、私は久しぶりにOに行った。回りまわって、あの恐ろしい歯医者に再び出向いたわけだ。
このとき先生は代替わりしていたが、今度の先生は、インフォームドコンセントが完璧だった。驚いたのは、こちらが虫歯と思った歯を、「(これは虫歯に見えるけれど)虫歯ではありません」と言ったことだ。患者が治療を望んでいるのに、それをしない歯医者がいるなど夢にも思わなかったからだ。
これがSだったら、よろこんで歯を削っている。Oは信用できる、と思った。
Oは歯をかぶせた後も、上下の歯型に合わせ、丁寧に調整していく。ちなみにSは、かぶせたら終わりである。いつだったか、あまりにも噛み合わせが悪いので、翌日出直したこともあった。OとS,その治療法はあまりにも違う。私は歯医者の選択を誤っていたことに、ここに至って確信した。

私が40代になって、またも左上の7番の金冠が外れた。私はOで付け直してもらったが、2013年のある日、その部分の歯茎に痛みを感じるようになった。
Oに行くと、事態は大変なことになっていた。Oの説明では、歯の根の部分に亀裂が走っており、そこから雑菌が入り化膿したらしかった。また、歯根への影響を考えると、これ以上金冠をかぶせることはできない、とのことだった。なかんずく、抜歯の話まで出てきたので、私は仰天した。
だが言われてみればたしかにそうで、ここまでこの歯は、都合4、5回付け替えられている。そのたびに健康な歯は削られ、いまや地表部分の天然の歯は、ほとんどなくなっていた。もう、この歯は限界を越えていたのだ。
しかし…と思う。この歯は、最初は虫歯だか何だか分からない、小さいものだった。それが、Sの甘い治療のせいで、以後再三の治療を重ねることになった。
私はどうにも合点が行かなかったが、その不満をOは感じ取ったか、抜歯だけは見送ってくれた。ほとんどすり減った歯の上に詰め物をしただけで収まり、そのまま放置された。
ところが今年に入って、またも左上7番の歯が痛みだした。この理由は分かっている。また歯根から雑菌が入って、炎症を起こしたのだろう。
14日(水)にOに行き、改めて抜歯宣告。17日(土)午前、再びOに行き、再び抜歯宣告された。
しかし上記の通り、私は抜歯に納得できないでいる。こんな事態になるまで、私はここの歯に悪さをしていない。最初は、ごくごく小さな虫歯だった(それすら疑わしい、と私は見ているが)。それが数々の不運で、ガタガタになってしまった。
これで抜歯じゃ、この歯がかわいそすぎる。
次回の歯医者は20日(火)。Oは、抜きたがっている。私は最後の抵抗をするつもりだが、恐らく、抗いきれないと思う。
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