2丁目の公式グッズ売り場に行くと、宮宗紫野女流二段似の売り子さんはいなかった。もう上がってしまったのだろうか。
あるブースでは、北海道スープの試飲をやっていた。私はオニオンスープをいただく。素材の味が活かされていて、美味かった。
5丁目のサントリーブースでは、またも「BOSS俺の微糖」を配っており、またもいただく。サントリーBOSS万歳!! である。
飲食ブースでは、300円のシュークリームが100円で売られていたので、1個買う。恒例の、最終日の安売りである。このシュークリームは美味かった。
ライトアップされた雪像は綺麗である。プロジェクションマッピングなどを上映し、観光客を飽きさせない。
ただ昔は、こういう時間にライブ等のイベントをやっていた。いつもどこかでよさこいを踊っていたし、お能をやっていた時もあった。
つまり現在は、人件費を掛けない、お手軽な演出が主流になっている。かつては会場内に常時BGMが流れていたが、それもなくなって久しい。やはり北海道の景気も悪いのだろう。
6丁目のマルシェでジンギスカン焼きそばを買う。500円が250円だから安い。
だが焼きそばの量が少なく、この額が妥当な気もした。まあ350円くらいかな。
赤十字ブースでは、今年も初音ミククリアファイルが売られていた。11丁目の初音ミクブースとは違い、こちらは赤十字が絡んでいるので少し安く、@200円だ。
毎年多くのデザインが売られているが、今年は6種残っていたので、1枚ずつ買う。
今後のことを考えて壱万円札を出したのだが、「これは募金になりますので……」と、お釣りを拒否された。私は1,200円ピッタリを出し直したが、そんな暗黙の了解があるとは知らなかった。
2丁目の公式グッズ売り場に戻るが、やはり宮宗女流二段似の子はいなかった。
でも絵ハガキは買った。これも31年連続のルーティーンである(ただ後で気付いたのだが、今年は缶バッジを買い忘れた)。とはいえ……ぐずぐずしていて、チャンスを逃す。私の人生を象徴しているようである。
11丁目に行くと、初音ミクの演奏会が始まった。だがミクファンの一団は後方に固まり、前に来て踊らない。まだ一般の観光客が多く、パフォーマンスをする雰囲気ではないのだろう。
1曲終わり、近場にいたミクファンに聞くと、もう少ししたら前で踊る、とのことだった。でも私はそこまで待てない。
12丁目まで行く。その先の札幌市資料館も美しくライトアップされていた。
引き返し、8丁目に行く。HTB広場の貨物列車はいい題材だ。脇のPRブースでは、建物全体がJR貨物のコンテナを模しており、これが本物そっくりだ。こういう地味な演出に、私は感動を覚えるのである。
5丁目の氷の広場では、アイドルグループが歌っていた。数えると11人もいた。彼女らは北海道を拠点に活動するアイドルグループ・フルーティーだった。
もちろん親衛隊もいて、やはりステージに演者がいると、活気が増す。しかしライブは、すぐに終わってしまった。これは残念だったが、タイミングの関係でどうしようもない。
4丁目の「初音ミク&戸山香澄」は相変わらず、周囲を覆いで囲っていた。中ではたぶんプロジェクションマッピングをやっており、混乱を避けるためなのだろうが、この措置に意味があるとは思えなかった。
時刻は午後8時を過ぎたが、私は最終日のフィナーレが好きだった。HTB広場が多かったのだが、ミスさっぽろが集い、交代式があった。各丁目のリーダーは設営の苦労を語った。スタッフの長老格のコメントも名物のひとつだった。
しかしこれも経費削減の一環からかなくなり、私は最終日の来場にこだわる必要がなくなってしまった。
最後に、すすきの氷の祭典会場に移動する。その途中、デパートの1階に構える食事処「しらん」があったので、入った。昨年も入った店だ。
ここは四方を壁に囲った店舗ではなく、フロアの一角に出店している形だ。したがって敷居はないが、簡易イスはある。もりそばは380円で、店舗と立ち食いの中間料金だ。私は大もり(480円)が食べたかったが、券売機が壱万円札を受け付けず、小銭がわずかに足らない感じ。で、もりそばを注文した。
もりそばが出された。そば猪口につゆが入っているのに、そば徳利にもつゆが入っている。これは定山渓の紅葉亭もそうで、北海道ではポピュラーなのかもしれない。
そばは昨年と変わらず、香り高く美味かった。どうも夫婦で経営しているみたいだが、この組み合わせの食事処は、間違いなく美味い食事を出す。
すすきのの氷像は、ライトアップされて幻想的になっていた。イルミネーションロードも青色発光ダイオードが映えている。なお今年もどこかで、氷の女王の撮影会が行われるはずだが、その時間を確認するまで、私は熱心ではなかった。
以上、これにて今年のさっぽろ雪まつり鑑賞は終了である。今回は覚悟したほど寒くなく、手袋をすることもなく、快適に観光できた。関係者の皆様には、御礼を申し上げたい。
「東横INN札幌すすきの南」は、繁華街から外れたところにあった。3日前には考えられなかった、おまけのもう1泊である。
チェックインし9階の917号室に入ると、ベッドはキングサイズで、部屋も広かった。駅への利便性の悪さを、部屋のグレード向上でカバーしているのだ。
ただ、テレビが壁の上方にあるのがよく分からなかった。これはベッドに寝ながら観る分には構わないが、座ってだと、首を上げなければならない。
でもサスペンスドラマを観ていると、この時間だけは妙に落ち着いた。誰にも邪魔されない、逃避のひととき。明日帰京するのが憂鬱になった。
なお、財布に100円玉が残っていた。「しらん」で大もりが食べられたのに、惜しいことをした。
明けて12日(火)の朝である。今日は石勝線夕張支線に乗ろうと思う。
JR北海道はどの路線も大赤字だが、石勝線夕張支線もひどく、この春に廃線が決まった。
私は、廃止になりそうな路線に乗って応援するのは好きだが、廃止が決まった路線に乗るのはあまり好まない。快復の見込みがある知人を見舞うのは構わないが、余命いくばくもない患者を見舞うのはいたたまれない、ということだ。
ただし今回、北海道の滞在が1日延びたのは何かの縁だ。それは鉄道の神からの、最後に夕張支線に乗ってやれい、の御宣託だと思うことにした。
ボリュームのある朝食をいただき、チェックアウトする。札幌駅へはホテルから無料の送迎バスが出ているので、利用することにした。
私は座れたが、バスは補助席を使って、満席。もちろん外国人の比率が高い。今年の旅も、本当に外国人が多かった。
だが札幌駅に着き、ここで一つの選択をしなければならなかった。
(つづく)