一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

里見女流五冠、崖っぷち

2022-09-25 17:45:23 | 女流棋士
22日に里見香奈女流五冠の棋士編入試験第2局が行われた。第2局の試験官は岡部怜央四段。第1局の徳田拳士四段は厳しかったが、とにかく里見女流五冠はここから巻き返さねばならない。
第2局は里見女流五冠の先手で、中飛車になった。岡部四段は急戦の構えを見せたが里見女流五冠がうまく対処し、岡部四段は穴熊に組み替えた。しかし堅そうに見えず、玉が遠くなっただけだ。
ここから岡部四段が攻め、里見女流五冠が受ける展開となった。

第1図の▲4七銀打に、岡部四段は△5五銀! 飛車をくれてやるというのだ。
しかし里見女流五冠は▲7三桂成! 飛車を取らなかった。ここがプロの手なのか、私ならよろこんで▲5六銀と飛車をいただいているところである。
本譜▲7三桂成のあとは△同角で、そこで▲5六銀は△3六桂があるから不可。よって▲5五銀としたが、△5七金以下、飛車に生還されてしまった。

数手進んで、第2図は△6九角まで。
ここで▲2七金が里見女流五冠らしい手で、NHK杯でも自陣に金を入れたことがあったが、里見女流五冠はこの類の手が好きなようである。

ただ本譜、ここにカナケを使ってしまうと、ジリ貧になる。代わる手は分からないけれど、ほかの手で何とかできなかったものか。
なお本局はABEMAで中継があり、解説が菅井竜也八段だった。これが歯に衣着せぬ解説で、相当に面白かったらしい。私も聴きたかった。

さらに数手進んで第3図。
ここで里見女流五冠は▲4六金と寄ったが、代えて▲3八銀で竜が死んでいる。しかしそれには△4八竜があり(▲同金は△3六桂)、指し切れなかったようだ。
しかし▲4六金もタダのところに逃げる手で、これが本手とは思えない。もう、流れは岡部四段だった。
以下、132手まで岡部四段の勝ち。里見女流五冠はいい将棋を落とし、0勝2敗。文字通り、崖っぷちに追い込まれた。
過去の棋士編入試験を見ると、今泉健司五段は
○宮本広志四段、○星野良生四段、●三枚堂達也四段、○石井健太郎四段。
折田翔吾四段は
○黒田尭之四段、●出口若武四段、 ○山本博志四段、○本田奎五段。
どちらも勝ちが先行し、余裕を持って戦えていたことが分かる。
どうも今回の里見女流五冠には、覇気が感じられない。試験の〆切ギリギリになって申し込んだことは、それだけモチベーションが低かった、ということにならないか。
残り3局で全勝は相当厳しいが、頑張るしかない。
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西九州新幹線開業の光と影

2022-09-24 23:37:45 | プライベート
佐賀県の武雄温泉駅と長崎駅を結ぶ「西九州新幹線」が9月23日に開業した。1973年に整備計画が決定してからほぼ半世紀、待望の開業である。
今回の新幹線の大きな特色は、上記の通り、大都市を起点としない。博多~武雄温泉は新幹線で繋がっておらず、今回の開業部分は根なし草となっている。その全長は66キロで、日本一短い新幹線路線である。
だが沸いているのは長崎県だけで、佐賀県は苦々しく思っている。新幹線が通っても地元の恩恵はほとんどなく、逆に在来線の特急が廃止になるなどのデメリットのほうが大きい。特急のは走らない町は、不思議とサビれていくのだ。
そんなわけだから、博多―武雄温泉の新幹線着工にも、佐賀県が首をタテに振らない。ルートさえ決まっていない。
西九州新幹線に話を戻せば、私もあまり魅力を感じない。今回の開業にあたり、JRや長崎県は「博多―長崎間が従来の在来線特急より30分早くなった」と胸を張った。
しかし武雄温泉での乗り換えを余儀なくされるので、これを面倒と捉える人には難儀だろう。
それに私は旧長崎駅舎が好きだったので、よけい新幹線仕様の長崎駅を苦々しく思うのである。
博多―武雄温泉間は特急リレー号を使い、博多―長崎間が5,520円。オール在来線よりやや割高になったが、まあ許容範囲だろう。新幹線の約6割が山の中、すなわち直線で貫かれているので、営業距離が短くなり、意外に安く済むのだ。
ただ博多―長崎間なら、私は迷わず高速バスを使う。2,900円と割安だし、バス本数も多い。席が必ず確保されるうえ、乗り換えの必要もない。唯一のネックは時間がかかることだが、車窓を愉しむからよい。
そもそも列車の魅力は、クルマが通らない秘境にレールを敷いて、鉄道ならではの景色を堪能できることにある。紀行作家の宮脇俊三は、「各駅停車は長時間列車に乗れるうえ、料金も安い」とさえ書いている。
その伝でいくと、山の中ばかりを高速で走る西九州新幹線に魅力はない、ということになる。
西九州新幹線の評価は、今後の乗車率にかかっている。
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ミスDJの改編

2022-09-23 23:41:59 | プライベート
18日の文化放送「ミスDJリクエストパレード360」を、Radikoで聴いた。
今回は10月からの新体制が告知されるとのことだったが、その内容は以下のごとくだった。
現在同番組は12:00~14:00の放送だが、それが10月から二部構成になり、12:00~12:55が従来の「ミスDJリクエストパレード360」、そして13:00~14:00が「ミスDJリクエストパレード東北」として放送されることになった。
どちらもDJは千倉真理さんで変わらないが、前者が文化放送、後者が何とかいう局からの放送となる。
で、番組では「『東北』はRadikoプレミアムで聴いてください」と言っていた。でもこれって有料でしょ? どうも、月385円かかるみたいだ。
いやいやいやいや、テレビとラジオは無料、というのは私の中の常識である。たとえ385円といえども、そんなカネは出せないのだ。
何しろ私は、月550円の支出が不愉快で、日本将棋連盟の携帯中継にも加入していないのだ。
えー、なんで文化放送はこんなバカなシフトを組んだんだろう。いままで通り、ふつうに東京で2時間の放送じゃいけないのだろうか。真理さんは、この措置で満足しているのだろうか?
文句があるなら、10月から「360」の1時間だけ聴けばいいのだが、「東北」の方で面白い話が出たら、それを聴けないのもシャクに障る。
真理さんは、「皆さん、ついてきてください!」と語った。私は80年代のミスDJのヘビーリスナーで、2016年に復活したミスDJも、放送3回目から1回も欠かさず聴いている。しかし今回の措置はどうだろう。ついていけそうにない。
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西山女流二冠の、挑戦者決定戦の成績

2022-09-22 23:17:50 | 将棋雑記
きのう行われた第30期倉敷藤花戦、西山朋佳白玲・女王VS伊藤沙恵女流名人は西山女流二冠が勝ち、挑戦者決定戦に駒を進めた。西山女流二冠は今年度、実に4度目の挑戦者決定戦進出である。3月の女流王位戦でも挑戦者決定戦を戦っており、2021年に女流棋士に転向してから、まざまざと実力を見せつけている。
ただ9月11日の記事では、西山女流二冠が必ずしも勝負強いとはいえない、と書いた。
そこで西山女流二冠の、過去の挑戦者決定戦の結果を調べたのが、下である(左が勝ち)。

2014年 第4期女流王座戦 加藤桃子VS西山朋佳
2016年 第9期マイナビ女子オープン 室谷由紀VS西山朋佳
2016年 第6期女流王座戦 里見香奈VS西山朋佳
2018年 第11期マイナビ女子オープン 西山朋佳VS岩根忍
2019年 第41期女流王将戦 西山朋佳VS伊藤沙恵
2019年 第9期女流王座戦 西山朋佳VS伊藤沙恵
(↓女流棋士に専念)
2021年 第1期女流順位戦順位決定T準決勝 西山朋佳VS加藤圭
2022年 第33期女流王位戦 西山朋佳VS渡部愛
2022年 第4期清麗戦 里見香奈VS西山朋佳
2022年 第44期女流王将戦 西山朋佳VS渡部愛
2022年 第12期女流王座戦 加藤桃子VS西山朋佳
2022年 第30期倉敷藤花戦 (西山朋佳VS香川愛生)
※第4期女流王座戦は、里見香奈女流王座がタイトルを返上したため、西山奨励会二段が繰り上げで五番勝負に登場した。
第1期女流順位戦は第1期につき、準決勝を挑戦者決定戦相当として数えた。

以上、11局戦って6勝5敗。やはり、いい成績とはいえないだろう。まあ相手が里見女流五冠や加藤女流三段だから仕方ないにしても、2016年の第9期マイナビ女子オープン。対室谷女流二段(当時)戦あたりは、制しておきたかったところである。
だがこの将棋は室谷女流二段がうまく指し、勝つべくして勝った。まったく、このころの室谷女流三段は、まぶしいくらいに強かった。

今回の倉敷藤花戦に話を戻せば、反対の山の香川女流四段は2016年の女流王将戦を最後にタイトル戦の舞台から遠ざかっており、今回は久々のチャンスである。
両者の対戦成績は、西山女流二冠の4勝、香川女流四段の1勝。ふつうに考えれば、西山女流二冠が有利なのだが……。
挑戦者決定戦は28日。
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9月21日の記事

2022-09-21 13:27:22 | 将棋雑記
同じ題材で恐縮だが、当ブログの「9月21日」の記事を集めてみた。

2009年9月21日
「18日の「将棋ペンクラブ大賞・贈呈式」(後編)」
幹事指定の居酒屋へ入ると、大きなテーブルがタテにふたつ並んでおり、その右奥に、児童文学作家の川北亮次さん、湯川博士統括幹事がすわっていた。意外なことに、ほかには誰もいなかった。怪訝に思って振り向くと、うしろに控えている会員らは、尻込み?してか、誰も席につこうとしない。いつの間にか、私からすわる形になっていた。
ここは左のテーブルに着くのが得策ではある。しかしそれでは、湯川幹事をあからさまに避けることにならないか。

2010年9月21日
「長い1日④・将棋ペンクラブ大賞贈呈式に参加する」
駒込からは東京メトロ南北線に乗って四ツ谷へ向かう。東京の地下鉄は年々路線網を拡げているが、この南北線ができたときは、格段に移動が便利になり、とても重宝した。
四ツ谷には午後6時15分ごろに着いたろうか。将棋ペンクラブ大賞贈呈式の開場は6時30分だから少し早いが、まあほどよい時間である。

2011年9月21日
「A氏夫妻と飲む(前編)・タイミングが悪かった」
「紀伊半島」と「キイハンター」は似ている。

「将棋ペンクラブ」幹事の中に、作家のA氏がいる。以前も書いたが、数年前の関東交流会・懇親会のとき、たまたまA氏が私の前に座った。
乾杯のあと、機関誌「将棋ペン倶楽部」の中で、印象に残った作品の話になった。
「中学生のオトコの子が、近所のおじいさんと将棋を指す話があったんだけど、あれはおもしろかったなあ」
とA氏。
「それ、だんだんオトコの子が強くなって、ある日事件が起こるヤツでしょ? 『運命の端歩』ってやつ」
と私。
「詳しいですね」
「だってそれ書いたの、私だもん」
「ええーっ!? あなたが!?」
「うん」
「あ、たしかに(名札に)大沢って書いてある!!」

2012年9月21日
「私がいままで読んだ中で、ためになった棋書ベスト3」
私は将棋の書籍は滅多に買わないが、それでも数十冊は自宅にある。きょうはその中から、ためになった3冊を紹介しようと思う。

第1位「米長将棋勝局集」米長邦雄棋聖・王将・棋王著
講談社文庫。昭和59年発行。420円。

2013年9月21日
「沖縄旅行2013・11「究極の選択」」
立原の浜は、午後4時半ごろに上がった。「プライベートビーチ」だからもっと泳いでいられるのだが、物事は何でもほどほどがよい。潮も満ちてきたし、このあたりが潮時だと思った。
海水パンツにTシャツ姿、頭に麦わら帽子というオッサン度丸出しのまま、宿に向かう。途中に屋良の浜があったので、そこにも寄って、一休み。実にのどかだ。
宿に戻ってシャワーを浴び、しばらくすると夕食の時間である。一日海で泳いで、食事。ふだんの仕事に対するご褒美といってしまえばそれまでだが、あまりに休みを満喫し過ぎて、バチが当たりそうな気がする。

2014年9月21日
「第26回将棋ペンクラブ大賞贈呈式(中編)」
続いて森内俊之竜王の謝辞。しかし言葉が詰まって、出てこない。天野貴元氏の波乱万丈の人生を思い、こみ上げるものがあったのだろう。
次は森信雄七段の謝辞。
「最近は弟子の活躍で呼ばれることが多いんですが、今回は私が主役ですね。『逃れ将棋』の題名は、100ぐらい考えました。家で問題を考えるのが楽しかった。これからは将棋のいろいろなジャンルを見直したい」
森七段はかつて将棋ペンクラブの大賞を2度受賞しているが、過去は代読で、今回は初めての来京となった。それほど今回の受賞は誇らしいものだったのだろう。

2015年9月21日
「第27回将棋ペンクラブ大賞贈呈式(3)」
上手 △女流初段 熊倉紫野
下手 ▲一公

▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲7七銀△6二銀▲4八銀△5四歩▲5六歩△4二銀▲2六歩△3二金▲7八金△4一玉▲6九玉△5二金▲5八金△3三銀▲7九角△7四歩▲6六歩△3一角▲3六歩△4四歩▲1六歩(第1図)

熊倉女流初段は、茨城県古河(こが)市出身。師匠は高橋道雄九段。どちらも4月23日生まれで、師匠と弟子が同じ誕生日というのは珍しい。

2016年9月21日
「第28回将棋ペンクラブ大賞贈呈式(4)」
「今日は竜王戦(5組昇級決定戦)があったんですけど、増田君(康宏四段)にボロボロにされてしまいまして、贈呈式に間に合っちゃったんですね」
携帯中継もあったのに、早く終わって申し訳ない。私が本来ここにいてはいけないんです、ということらしかった。
もっとも教授のことだから、しっかり将棋は指したのだろう。
続いて上野裕和五段。「次は相振り飛車の本を出す予定です。現在はこれまで出た相振り飛車の本をすべて買って、勉強しているところです」
上野五段は、2013年の技術部門大賞受賞者。この前年の贈呈式で、「来年は大賞を獲ります」と宣言したのは記憶に新しい。次は相振り飛車の本で大賞を狙っているようだ。

2017年9月21日
「河口俊彦八段は、元宮崎県知事の東国原英夫に似ている」
15日(金)は、千代田区竹橋で「第29回将棋ペンクラブ大賞贈呈式」があった。
「第29回」とあるように将棋ペンクラブの歴史は古く、1987年11月、故・河口俊彦八段と観戦記者の東公平さんが発起人となり、観戦記の地位向上を目的として、同会が発足した。

その河口八段は、元宮崎県知事の東国原英夫に似ていると思う。

2018年9月21日
「決戦は金曜日」
11日(火)に台東区で受けた面接は、19日(水)に封書が届き、不採用となった。これは覚悟していたことで、先週中に連絡がなかった時点でアウトだと思った。だって本当に欲しい人材なら、すぐに連絡を寄越すはずだから。
落ちた今だから言うが、面接官は社長と年配の男性と若い女性だったが、年配の男性は途中でうたた寝を始めるし、女性はおもしろくなさそうに履歴書に目を落とすだけだし、第一社長から給料の話は出ないし、こりゃダメだと思った。

2019年9月21日
「タイトル戦の持将棋」
当ブログでは今月4日に、タイトル戦の第1局で千日手になったケースを紹介したが、今回は持将棋を調べてみた。
持将棋は局数が少なかったので、全局を記してみる。対局者の左側が持将棋局の先手。○●は指し直し局の勝敗。カッコ内は、シリーズの結果である。

2020年9月21日
「異例ずくめの社団戦(4)」

第3図からの指し手。▲6二金△7一歩▲6三角△7二歩▲同金△7一飛(第4図)

現在2勝2敗で最後の大一番。周りは人が集まり、固唾をのんで見守っている。時間もだいぶ押し、すでに20秒将棋になっていた。

2021年9月21日
「将棋版フォネティックコード」
将棋版フォネティックコード(通話表)を考えてみた。

・合駒の「あ」
・居飛車の「い」
・上手の「う」
・叡王の「え」
・王手の「お」
・角の「か」
・香車の「き」
・九段の「く」
・桂馬の「け」
・好手の「こ」


以上、13本。
2011年の記事に登場したA氏に、
「大沢さんの最近の『将棋ペン倶楽部』の投稿は面白くない。ブログのほうが面白いですよ。『将ペン』にも力を入れてくださいよ」
と言われたことがある。
私としてはどちらも力を入れており、むしろ将棋ペン倶楽部は訂正が利かないから、より時間をかけて書いている。しかし評価には、若干の乖離があるのだ。
とはいえ2019年アップの「タイトル戦の持将棋」は失敗した。これはA氏の言う通り、将棋ペン倶楽部に投稿すべきだった。当時は求職中だったので時間があり、けっこうな時間をかけた労作だった。内容もキッチリ完結しており、一本の話としてまとまっていたからである。
いまから将棋ペン倶楽部に投稿したら、反則だろうか。
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